皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害 文字 特徴」についてです。
「うちの子の字は、なんて書いてあるのか分からないくらい下手で…」
「本を読んでも、内容が理解できていないみたい…」
子どもが文字の読み書きが苦手である、ということは、幼児期にはさほど気にならないことかと思います。しかし、その困難が小学生あるいは中学生になっても見られるようなら、一転心配してしまうことでしょう。
ところで、普段私たちは何気なく生活していますが、考えてみると、世の中には文字があふれかえっていますよね。子どもたちの身の回り、特に学校教育の場においても、未だに紙媒体の教材が幅を利かせているのが現状です。
この記事では、文字を苦手とする子どもの事例を紹介しながら「限局性学習症(SLD)」について解説します。
目次
文字が読めない・書けない子どもの例
では早速、以下に2つの事例を簡単に紹介します。
Aさんの場合
小学生の女の子であるAさん。
Aさんは、ひらがなやカタカナで書かれた簡単な文章でも、それを読もうとすると、ところどころ文字が読み取れないために、たどたどしくなってしまいます。
そんなAさんですが、学校で毎日出される音読の宿題は、上手く読めないからと日々両親に口酸っぱく注意されるせいで、嫌いになってしまいました。また、授業中に皆の前で教科書を読み上げる場面では、上手く読めない自分を見てクスクスと笑うクラスメイトがいて、それは彼女の悩みでした。
Bさんの場合
小学生の男の子であるBさん。
Bさんは、学校の休み時間には誰よりも先にグラウンドへ飛び出して、友達と一緒に笑顔で走り回っているような、活発で明るい性格の持ち主で、体育の授業が一番好きですが、音楽の授業も気に入っているようです。
しかし、国語や算数の授業の時、彼の様子は一変してしまいます。
授業中、他の生徒たちは先生の板書をノートに写しながら授業に取り組んでいるのですが、Bさんだけは鉛筆を手に取ることもノートを開くこともしません。
それどころか、机に突っ伏して、一切顔を上げないこともありました。
実はBさんは、文字を書くことがとても苦手で、いつしかノートを取ることさえイヤになってしまっていたのでした。
この2つの事例に登場した彼らの困難の原因、それこそが「限局性学習症(SLD)」です。
学習障害と同じ?限局性学習症(SLD)について
限局性学習症とは、アメリカの精神医学会が定める「DSM-5」という精神障害の診断・統計マニュアルで定義された、発達障害の一種です。
数年前までは、一般的に「学習障害(LD)」と呼称されていたため、こちらの名称なら聞いたことがある、という人も多いかもしれません。現在でも学習障害として認識されている、この限局性学習症について解説します。
・知的発達に遅れはない。
・聞く、話す、書く、読む、計算や推論する能力のうち、いずれかの習得と使用に困難を示す。
・中枢神経系の何らかの障害が原因であると推定される。
・視覚、聴覚、知的、情緒などの障害や、環境的な要因が原因ではない。
文字の読み書きの障害
限局性学習症の定義の中で、読み書きに関する障害は以下の様に分類されています。
・読字障害(ディスレクシア)
・書字障害(ディスグラフィア)
それぞれ、どのような特徴があるのか、見てみましょう。
・似た形をしている文字(「る」と「ろ」、「シ」と「ツ」など)の判別が難しい。
・文章を読んでいると、どこを読んでいるか分からなくなる。
・飛ばし読みなど、読み方に特徴があり、かつスムーズに読むことが出来ない。
・一文字ずつ区切るように読むため、音読の速度が遅い。
・文を読んだとしても、内容の理解が難しい。
・書く文字が鏡文字のようになる。
・誤字や脱字が見られ、書き順の間違いが多い。
・文字の書き写しが苦手で、時間がかかる。
・文字、特に漢字を覚えることが難しい。
・文字の大きさなどが不均一で、マス目の中に収まらない。
また上記した、読みと書きとの両方に困難が見られることも多く、その場合には、「読み書き障害」と言います。
対処方法は?
限局性学習症の原因ですが、すでに紹介したように、実はまだ完全には解明されていません。ですので、対処方法についても医学的治療等は現在のところありません。
まずは周囲からの理解
しかし他の発達障害と同様に、限局性学習症を抱える本人の特性を周りが理解し、サポートしてあげることで、本人の困りを低減することはできます。
以下では、読字障害や書字障害への支援方法を紹介します。
・行と行とが混ざって見えないよう、読んでいる行以外を紙などで隠してガイドする。
・文節ごとに区切りを入れる。
・プリントなどはレイアウトを工夫し、読みやすい文字サイズやフォントで作る。
・文字と紙の色を調整し、読み難さを感じにくいものを選ぶ。
・耳から聞く情報と合わせることで、読みの困難をフォローする。
・大きなマス目や補助線などがあるノートを使用する。
・鉛筆などに補助具を装着することで、書く動作を安定させる。
・授業中、無理にノートを取らせずに、カメラで黒板を撮影させるようにする。
・作文などの課題は、音声入力やパソコンのキータイプで作成する。
「書き」の困りにおすすめの商品
「書き」の困りについては、上述したノートや補助具など比較的簡単に手に入るグッズで、サポートすることができる場合があります。以下の商品を参考にしてみてください。
規格 | メーカー | 価格 |
JFL-48 | ショウワノート | 1,045円(5冊パック) ※Amazonの場合 |
小学生に定番で使われるショウワノートの漢字練習帳です。幅広い規格の商品があるため、おすすめです。
メーカー | 価格 |
大栗紙工 | 280円 |
「発達障害当事者の声から生まれた」mahora(まほら)ノート。学習障害に限らず広く発達障害当事者、また子どもからお年寄りまで使える、というコンセプトの商品です。
メーカー | 価格 |
トンボ鉛筆 | 385円 ※楽天市場の場合 |
鉛筆の正しい持ち位置を覚えるための「もちかたくん」と、持つときの正しい角度を覚えるための「ユビックス」という2つがセットになった商品で、同時使用も可能となっています。
また「右手用」「左手用」で別になっています。
二次障害について
他の発達障害にも見られるように、周囲からの理解や合理的配慮が促進されないと、場合によってはそのストレスから他の精神疾患など、二次障害を抱えることに繋がってしまいます。
冒頭のAさんとBさんの話は、その例の一つと言えるかもしれません。 前項で紹介したように、学校の授業等では、本人が苦痛を感じないために文字の読み書きを強要しない、またはそれらの困難を低減するための工夫を行うなど、合理的配慮が取り組まれるべきなのです。
二次障害について詳しく知りたい、という方は、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
- 文字の読み書きが苦手な子どもは、限局性学習症(SLD)の可能性がある。
- 限局性学習症は、原因が解明されおらず、医学的な治療はまだない。
- 本人の特性を理解し、合理的配慮を行うことで、本人の困りを低減する。
今回は、文字の読み書きが苦手な子ども、そして限局性学習症について紹介しました。
多くの人は、当たり前のように文字を読めて書けることでしょう。それはつまり、文字の読み書きに困難を抱える限局性学習症の人たちが認識する世界を理解できない人が、世の中にたくさんいるということです。
しかし、自分の辛さや困難が人に理解されない、ということは誰にとっても耐え難いことですよね。それはもちろん、限局性学習症の人たちも同じです。
「字を書くのが下手」「本が読めない」
そんな我が子に対する悩みの裏では、本人自身が苦しんでいるのかも知れない…。そう考えることから、始めてみましょう!