皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!

今回のキーワードは「発達障害 IQ」についてです。

IQは「Intelligence Quotient」の頭文字で、日本語に訳すと「知能指数」と言います。                                      問題解決力、計画立案力、推理力、言語力、学習機能などを全てひっくるめた「知能」の発達具合を数値化して表したものです。

世間一般的には、頭の良さを表す指数としての意味で使われることが多いですよね。

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橋口
色んな頭の良さを総合したものが「知能」なんですね。
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小野田
発達障害の特性を知るのにも重要な指標の1つだよ。

今回は、知能検査の中でも特にメジャーな「ウェクスラー式知能検査」を中心に、発達障害とIQの関係性について解説します。

発達障害のIQの高さは人によって違う

発達障害の方は、一概にIQが高いとも低いとも断言できません。

確かに、知的障害と併発されている方もいらっしゃいますし、従来の「カナー型自閉症」と呼ばれていた自閉症は、多くが知的に遅れがあります。

ですが、IQ100以上の方は勿論、生まれつきIQ120以上のギフテッドの方もいます。

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小野田
「アスペルガー症候群」や「高機能自閉症」は、知的な遅れがない自閉症です。

▼アスペルガー症候群や高機能自閉症を含む自閉症スペクトラム症については、こちらの記事も参考にして下さい。

近年では発達障害の方が芸能界や経済界で活躍したり、「あの歴史上の偉人は実はADHDだったのではないか」など、どちらかというと「発達障害=天才」という見方が強いかもしれません。

サヴァン症候群のように、何らかの障害があるものの、一部の突出した才能に恵まれた方もいます。

しかし、発達障害は得意不得意の差が激しく、凸凹が著しい特徴があります。

仮に知能指数が高くても、飛び抜けた才能があっても、発達障害が「個性」で済まされない理由は「発達のばらつき」にあるのです。

ウェクスラー式知能検査で分かること

知能を計測する上で、最も利用されているのが「ウェクスラー式知能検査」です。    ウェクスラー式知能検査は2歳6ヶ月~7歳7か月向けの「WPPSI‐Ⅲ」、6~16歳向けの「WISC‐Ⅳ」、16歳以上向けの「WAIS‐Ⅳ」の3種類があります。

これらが日本のみならず世界中で用いられる理由は、単純に知能の高さを見るだけではなく、発達が著しい機能や、未発達な機能が一目で分かるからです。

ここからは、ウェクスラー式知能検査で分かる知能の種類について解説します。

▼発達障害の検査についてはこちらの記事もご参考下さい。

IQは大きく2つに分けられる

IQは、「言語性IQ」と「動作性IQ」の2つに区別されます。

言語性IQ

知識の豊富さや、耳で聞いた情報の認識及びアウトプット力の指数を表す。

動作性IQ

目で見た情報を認識し、見通しを立てる力、動きの機敏さなどの指数を表す。

言語性IQと動作性IQの双方の値を加味して算出されるのが、私たちが普段IQと呼んでいる数値です。

つまり、全体的に見ると知能水準は高いのに、言語性IQと動作性IQのどちらかが極端に低いということもあり得ます。

4つの群指標

言語性IQと動作性IQは、更に以下のように分類されます。

言語性IQの分類

・言語理解…言葉の意味を理解し、推理、思考する力
・作動記憶…耳から入ってきた情報を一時的に記憶し、作業をする力
      ※「ワーキングメモリ」と呼ばれることもある

動作性IQの分類

・知覚推理…目で見た情報を把握し、視覚情報から非言語的な概念を読み取る力
・処理速度…動作を速く、正確にこなす力

上記の4つをまとめて「群指標」と呼ばれています。

苦手を理解するには、全検査IQよりもそれぞれの指標の値がかなり重要です。

こちらの動画では、WISC‐Ⅳの結果の見方や、検査内容の一部が分かりやすく説明されています。

WISC‐ⅣやWAIS‐Ⅳの結果からお子さんの個性を知ろう

発達障害のあるお子さんは苦手な所や困った部分についつい目が行ってしまいがちですが、もっと良い部分も見つけたいですよね。

ウェクスラー式知能検査を実施することで、得意なこと、苦手なことを客観的に知ることができます。

先述した通り、お子さんの得意不得意を分析するには、「言語理解」「作動記憶」「知覚推理」「処理速度」に着目することが重要です。

ここからは、各数値が高いと何が得意か、低いとどの部分で支援が必要になるかについて解説します。

下記の表は、知能水準の分類表です。数値の高さの目安としてご参考下さい。

IQ分類理論上の割合(%)
130以上非常に優れている2.2
120~129優れている6.7
110~119平均の上16.1
90~109平均50.0
80~89平均の下16.1
70~79境界域6.7
69以下精神遅滞2.2

言語理解が得意な子・苦手な子

言語理解が高いお子さんの特徴

・語彙力が豊富である
・文章や人から言われた事柄について理解するのが得意
・作文や人に物事を説明するなど、言葉を使った表現が得意

言語を使って知識を習得し、アウトプットすることを得意とします。

発達障害の方の一部には、会話だけでは障害があるように見えない方もいらっしゃいますが、表現力があり、コミュニケーション面ではあまり問題が目立たないケースが考えられます。

また、学校の成績が優秀な「頭の良い子」という印象を与えるお子さんもいます。

言語理解が低いお子さんのつまづき

・教科書の内容や先生の指示が理解できない
・自分の伝えたいことを上手く伝えられない
・言葉の意味を間違えて使う
・文章問題が苦手になる
・時間や量の概念が分からない

言語理解が低いお子さんは、言葉を理解し、表現することが苦手です。      

単に語彙が少ないだけでなく、例えば「あれ」「さっき」といった指示語が具体的には何を指すのか分からないこともあります。

自分の感情を上手く伝えられずに、他の子に暴力を振るってしまったり、爪を噛む、毛を毟るといった自傷行為をしてしまうお子さんもいます。

▼発達障害と爪噛みに関する記事はこちらです。

お子さんが分かる語彙を使い、ゆっくりはっきりと話すことや、指示が理解できたかの確認が必要です。

もしうまく伝わらないのであれば、絵や写真、簡単な文字を使って説明してみましょう。

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都築
理解度に合わせた工夫が必要ですね!

作動記憶が得意な子・苦手な子

作動記憶が高いお子さんの特徴

・指示を聞きながら「じゃあ次はこうしよう」と頭の中で同時に考えることができる
・耳で聞いた事柄を忘れない
・優先順位を考えて行動できる

主に耳から入る情報を記憶し、作業する能力に秀でています。

作動記憶が高いお子さんは、親御さんから頼まれた用事や、先生からやるように言われた宿題を忘れずに済ませられます。

一度聞いたことをを正確に覚えて、きっちりやり遂げる能力があるのです。

他にも、物事の〆切や重要なポイントなどをしっかりと押さえているので、スケジュールや見通しを立てて行動することに長けています。

作動記憶が低いお子さんのつまづき

・人の話を聞いていないと誤解される
・頼まれたことを忘れる
・口頭の指示を理解できない
・優先順位をつけられない

作動記憶が低いお子さんは、聴覚から入ってくる記憶の保持が苦手です。

先生や友達の話を聞けない子ども達は、「聞いても意味が分からない」「話の内容を覚えられない」のかもしれません。

他にも、一度に複数の動作をするのが難しく、物事の順序を組み立てられないといったことが起こり得ます。

口頭だけでなく絵や文字を用いる、口頭の説明はできるだけシンプルにするなど、聴覚的情報の割合を下げると情報の伝達がスムーズになります。

▼以下の動画では、遊びながら作動記憶(動画ではワーキングメモリと呼ばれています)を伸ばす方法が紹介されています。

知覚推理が得意な子・苦手な子

知覚推理が高いお子さんの特徴

・人の顔、特徴を覚えやすい
・空間を認識しやすく、地図を読んだり設計図を描くのが得意
・グラフや表の意味をすぐに読み取れる
・細かい部分に気が付く
・周りの状況に合った行動がとれる

目から入ってくる情報の記憶や、非言語的な思考力や推理力に秀でています。

知覚推理が高いお子さんは、絵や図から情報を正確に読み取り、表現することができます。                                      空間認識力もあり、プラモデルなどの立体を組み立てるのが得意な子もいます。

また、目の前の状況を把握するのに長けており、場に応じた発言や行動をとることができ、周囲から「気配り上手」と評されることもあります。

細かい部分に人一倍気づきやすい所もあるでしょう。

知覚推理が低いお子さんのつまづき

・忘れ物やなくし物が多い
・状況把握が困難で、空気が読めない発言や行動をとる
・グラフや図表の理解が苦手
・ノートや話の内容をまとめられない

知覚推理が低いお子さんは、目から入ってくる情報の認識や、非言語的な思考が苦手です。

片付けを例に挙げると、「使った物は元の位置に戻しましょう」と言っても、そもそも元の位置がどこだったか覚えていなかったり、散らかっている物自体を認識していなかったりします。

グラフや図表を見て、「このデータは何を伝えたいのか」を読み取ることも苦手です。人によっては、文字の認識が難しく、読み書きに支障が出るケースもあります。

また、目の前の状況を把握することが難しく、人間関係の構築に支障が出る場合があります。                                      物事の関係性を読み取ることができずに被害的な感情を抱き、他の子に暴力を振るうなどの不適切な行動に出るかもしれません。

宮口幸治氏の「境界知能とグレーゾーンの子どもたち」では、ある男の子が「僕が来たらみんな一斉に逃げ出した。僕の悪口を言っていたに違いない!」と思い込みますが、実はかくれんぼをしていて、偶然みんなが散らばっただけだった、というシーンがあります。

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楽天kobo1760円(税込)
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こんな方におススメ

・発達障害や境界知能のお子さんの対応について知りたい方
・問題行動を起こす子の背景について知りたい方
・具体的なケースを参考にしたい方
・忙しくて文章を読む時間が取れない方

▼良い口コミの紹介

  • 困っている子どもの行動の背景や、子どものサインへの気付き、対応の工夫が分かる
  • 少しでも多く親御さんの目に届いて欲しい
  • 子どもの特性を知って、伸ばす方法がしっかり提案されている

▼悪い口コミの紹介

  • 内容が薄い
  • 悩みが半分しか解決しなかった

対応策としては、図を用いるのではなく、言葉を使って説明しましょう。        見通しを立てるのが苦手な場合、「やることリスト」を書いて提示するのも有効です。

また、友達とトラブルを起こしてしまった場合、お子さんがどのように状況を捉えたか、しっかり耳を傾けた上で、一緒に状況を整理したり、「本当はこうだったんじゃないかな?」とアドバイスすると良いでしょう。

処理速度が得意な子・苦手な子

処理速度が高いお子さんの特徴

・物事を素早く処理できる
・マルチタスクが得意
・黒板に書かれた文字
・板書をノートに書き写すのが早い
・どこに注意を向けるべきか判断できる

処理速度が高いと、目で見た情報を短期的に記憶し、素早く処理することができます。

黒板の文字をノートに書き写すには、書かれている内容を頭の中で記憶しなければなりません。                                     処理速度が高い子は、一度黒板を見ただけで頭に入ってくる情報量が多く、迷うことなくノートに書くことができます。

授業のスピードは学年が上がるごとに速くなり、内容量も多くなってきます。       そんな状況下で、「特に重要なポイントはどこか」「どのスペースなら書き写すことができるか」などを瞬時に判断する「選択的注意力」も処理速度に関係します。

処理速度が低いお子さんのつまづき

・探し物がなかなか見つからない
・板書をノートに書き写すのが遅く、授業のスピードについていけない
・作業が遅い
・どこに注意を向ければよいか分からず、集中力が続かない
・思考の切り替えができない

処理「速度」と言うだけあって、作業スピード、または視覚情報の判断の遅さが生活に悪影響を及ぼします。

処理速度が低いお子さんは、物事を速くこなすことが苦手であり、板書をノートに書き写す以外にも、課題やテスト問題を時間内に終わらせられないことがあります。

この特性を理解せずに、「あと○分だよ」「早くしなさい!」など、プレッシャーを与えると、焦ってミスをしてしまいます。

加えて、選択的注意にも困難を抱えるので、かばんの中に入っているはずの物が見つからない、失敗した時の気持ちの切り替えが苦手といった困りごとも出てきます。

対策としては、前もって時間を多く与える、時間的プレッシャーを与えないなどが挙げられます。                                    物理的に注意を向けさせるのであれば、パーテーションを利用するのも効果的です。

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こんなお子さんにおススメ

・なかなか宿題をやらない
・集中力が続かない
・色んな物が気になってしまう

▼良い口コミの紹介

  • ポケットに今日するプリントだけ入れてたら、とても見やすい
  • 周りに人がいてもあまり気にならない
  • 予想より密閉感があり、集中できる  

▼悪い口コミの紹介

  • 自閉症の息子はポケットが気になって集中できなかった
  • 体格が大きくなるにつれて、周りが見えるようになってしまう

知能検査は医療機関やカウンセリングルームで実施される

ウェクスラー式知能検査をはじめとする知能検査は、「児童精神科」「児童思春期精神科」「発達障害外来」など専門性のある医療機関で受けることができます。

その他、カウンセリングルームや大学の心理相談センターなど、臨床心理士や公認心理士が在籍する機関で実施されています。

困ったときはお近くの関係機関に相談してみましょう。

大阪府のホームページでは、発達障害に係る医療機関の一覧を掲載しています。

まとめ

  • 発達障害のお子さんは、IQの高さに関係なく発達に凸凹がある
  • IQは知能検査を受けることで分かる
  • ウェクスラー式知能検査では、IQは言語性IQと動作性IQに分けられる。
  • 言動性IQは「言語理解」と「作動記憶」、動作性IQは「知覚推理」と「処理速度」の4つの指標に分類される。
  • 全検査IQが高くても、4つの指標のどれかが著しく低い場合、日常生活において支障をきたしやすい
  • 知能検査は、児童精神科やカウンセリングルームなどの心理職が在籍している機関で受けることができる

今回は、発達障害とIQにはどんな関係があるのかについて説明しました。

IQは、あくまでも診断材料の1つという位置付けであり、その結果だけで発達障害であるか否かを決めつけるものではありません。

しかし、知能検査の結果を通して、お子さんの物の捉え方や、どんなことに適性があるか、どういった点に配慮が必要かを知ることができます。

ぜひ今後の育児の参考にしてみて下さいね。

最後までお読みいただきありがとうございました。