皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所となることを願って投稿させていただきます。
今日のトピックは「発達障害の原因が妊娠中にあるのか」についてです。
発達障害の原因は妊娠中にあると、多くの人が思っているかも知れません。なぜそう思われているのでしょうか。発達障害の原因が本当に妊娠中にあるのか、何に注意した方がいいのか見ていきましょう。
目次
発達障害の原因は妊娠中にあるのか?

発達障害はどのようにして起こるのでしょうか。
出産前に赤ちゃんが発達障害であるかどうかは知ることができません。画像検査で判明する訳でもないので、まだ謎が多い障害なのです。しかし、生活環境やしつけなどの後天的ではなく、先天的な脳の機能障害が関わっていることが現在明らかになっています。
大阪大学やマサチューセッツ工科大学の研究結果で、注意欠如・多動症(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)に関してどのような仕組みで起こるかが発表されています。難しい言葉などを省いて簡単に説明をすると次のとおりです。
- 胎児の成長過程で何らかの異常が発生
- 原因分子が増え、神経の発達に問題が起きる
- 神経や脳の成長に関わる細胞が減る
- 以上の事が起こると発達障害を持って生まれる
よって、この「何らかの異常」が発達障害の原因になってきますが、現段階では明らかになっていません。
また、「脳の機能障害を引き起こしているのは、1つだけの要因ではなく、他の要因も組み合わさっているのではないか」という説が一番有力になっています。
そのため、原因である「何らかの異常」に当てはまりそうなことが何であるのか、回避できる方法はあるかしっかり理解しておきましょう。
参照元:大阪大学 神経発達障害群の染色体重複による発症の機序を解明
原因と思われる妊娠中の行動

では、どのようなことが原因として考えられているのでしょうか。
上記のように、これから紹介するものは直接的な原因であるとは言い切れません。なぜなら、発達障害は多くの要因を持って起こるということが一番有力とされているからです。
しかし、これらのことに気をつければ、発達障害のリスクが減るかも知れないとも言われているので、それを前提に見ていきましょう。
ウィルス感染
先に述べたマサチューセッツ工科大学の研究結果で、妊娠中の炎症が自閉症を発症させていると発表されました。
また、 母子感染(胎内感染)で胎児もそのウィルスに感染して、成長に影響を与えるだけでなく、胎児に何もできずに感染したままになってしまうとも言われています。
特に気をつける感染症は以下の4つです。
- 風疹
- 水疱瘡
- 梅毒
- サイトメガロウィルス
感染症の予防対策としては次のことができます。
- 妊娠前に予防接種を受ける(風疹、水疱瘡、梅毒)
- 子供と同じ食器を使うことを避ける(サイトメガロウィルスは小さな子供の唾液や尿に触れる感染経路が最も多いため)
- 人混みを避ける
- 体を清潔に保つ (手洗いはこまめにすることを徹底する)
- 家族にも対策をしてもらう
妊娠中は免疫力が下がっているので感染症にかかりやすくなっています。
また、インフルエンザに関しては妊娠中でも予防接種は可能ですので、症状軽減のためにもインフルエンザが流行る時期と妊娠期間が被ることがわかったら、早めに接種することをおすすめします。
喫煙・飲酒
喫煙や飲酒は、妊娠が発覚した時にまず医者に止めるように言われることだと思います。
しかし、妊娠が発覚する前までの最初の数ヶ月に、喫煙や飲酒をして、胎児に悪影響を及ぼしてしまうというケースが多いようです。
飲酒の場合は、胎児性アルコール症候群による発育障害や中枢神経障害のリスクがあります。ほろ酔い程度の量やほんのわずかな量でも胎児に大きく影響するので、発達障害の発生の可能性があると言われているのです。
喫煙の場合は、発育障害や神経発達障害、奇形のリスクがあります。
妊娠中は禁煙していても、前に喫煙者だった場合や、家族が喫煙者で副流煙を多く吸っていた場合、子供は多動性障害を持って生まれる確率が上がるという統計結果が出されています。
そのため、妊活中の方は母親だけでなくご家族も含めて早めに禁酒と禁煙をした方が良いですね。もちろん、妊娠がわっかたらすぐに止めてください。
薬、水銀
薬も水銀も同じ理由になりますが、胎児はそれらを消化できずに蓄えてしまい、成長に悪影響を与えてしまいます。
薬は種類によるのですが、胎児の血液まで届くものもあります。ですが、最近では妊婦でも飲める薬も開発されているので、市販の薬を自己判断で服用するのではなく、必ず医師に相談して適切に服用してください。
水銀は、知られている通り魚に含まれており、小さい魚から大きな魚へ段々と量を増して蓄積されていきます。日本人が摂取してる量なら問題がないとされていますが、やはり妊娠中は控えた方がいいでしょう。特に気をつけた方がいい魚の種類は次の通りです。
- マグロ
- キンメダイ
- メカジキ
- ユメカサゴ
- クジラ
- サメ
栄養不足
ここからは、妊娠中の母親の栄養不足について説明します。
妊娠中の食事に気をつける方は多いですが、本当にバランスの良い食事になっていますか。コンビニのお弁当や冷凍食品などの添加物を多く含むものを食べていませんか。
添加物も上記の薬や水銀と同じく胎児は消化できずに蓄えてしまい、胎児の成長に必要な栄養が届きません。
また、よく勘違いしてしまうのが、野菜ジュースやフルーツジュースを飲めばビタミンが補われると思われがちです。直接、野菜や果物を搾ったような手作りのジュースならいいのですが、市販の野菜ジュースやフルーツジュースはビタミンはわずかしか入っておらず、砂糖や添加物が多く含まれているのです。
そのため、ビタミンやミネラルのように直接食材から摂れる栄養素は調理を工夫して食材自体から摂るようにしましょう。
もし、食材から直接栄養素を摂れないが胎児の成長に必要な栄養はサプリなどで補いましょう。特に、妊娠前から妊娠初期までに重要な栄養は葉酸です。これは胎児の脳や神経の成長に大きく関わる栄養であり、神経閉鎖障害や自閉症のリスクを減らす研究結果があります。
枝豆やほうれん草などの野菜にも含まれていますが少量だったり、茹でればさらに減ってしまうので、妊婦が必要とされている量には及びません。そのため、妊娠を望んだ時から葉酸のサプリを飲み始めることを多くの医師がおすすめしています。
次に紹介する葉酸サプリは、葉酸だけではなく、妊活や妊娠に必要な栄養も入っている優れもので人気のサプリです。
遺伝・高齢出産

よく取り上げられる要因の中に、遺伝的要因と高齢出産があります。
片方もしくは両方の親や血縁関係者で発達障害を持っていると、子供も発達障害を持って生まれる割合が高いので、遺伝性であると言われています。
両方の親が発達障害を持っていなくても発達障害の子供が生まれたり、親が発達障害を持っていても発達障害を持たずに生まれる子供もいるので、確定事項という認識はありませんが、比較的有力な要因と考えられています。
しかし、遺伝は対策のしようがないので、もし血縁関係に発達障害の方がいると知っていれば、自分の子供が生まれた時にどんな支援ができるかを調べた方がいいかもしれません。
そして、高齢出産に関しては、スウェーデンやアメリカなどの医科大学や研究所から、高齢出産だと発達障害を発症する確率が上がるという研究報告がありました。
女性の卵子だけでなく、男性の精子の衰えとも関係しているからとされています。医療技術の発展で、高齢での出産が可能になった今、この点に関しても考えていかなければいないですね。
出産後にも原因が!?

発達障害は先天的な脳の機能障害だということで説明してきましたが、中には、「家庭環境や保護者の接し方でリスクが上がる」という見方の情報を見た方もいるでしょう。しかし、現在の医学では間違っているということになっています。
この場合は、家庭環境や親の接し方で、発達障害の症状を抑えたり、生活への支障を少なくしたりできる可能性があるということだと考えてください。つまり、発達障害である主な要因ではなく、発達障害の症状の鎮静か悪化を左右することになり得るということです。
栄養不足
ここからは、子供が生まれた後について話します。
現在、日本のほとんどの家庭ではバランスの取れた食事をするのは難しくなっています。そのため、多くの人が栄養不足によって病気にかかりやすくなったり、精神的に不安定になったりしています。
よく言われていることは、カルシウムが不足すると、集中力や落ち着きがなく情緒不安定になりやすくなります。これらの症状は発達障害の子供によく見られる症状です。
また、小麦や白砂糖を含む食べ物ばかりの偏った食事も、脳の機能を下げます。そのため、栄養不足を改善すればそれらの症状をよくできる可能性があるかも知れません。発達障害の子の健康のためにも、バランスの良い食事を心がけて損はありませんね。
カルシウム不足が気になるかたは、カルシウムが多く含まれている食材を多くしたり、カルシウムが多く取れるものを普段の食事と組み合わせてみてもいいかも知れません。
小麦や白砂糖を抜くためには、急にすべてなくすことは難しいので、少しずつ食事に含める量を減らしていきましょう。
また、グルテンフリーの食材を使うこともおすすめします。グルテンフリーのおかずやお菓子を作るために、小麦粉の代わりに米粉を使われることが多いので、日本人の口には合うと思います。
虐待
ここで言う虐待は、身体的な暴力(蹴ったり殴ったり)や性的虐待だけでなく、言葉での暴力も含めます。
アメリカのハーバード大学と日本の熊本大学の共同研究で、このような虐待を小さい頃(4歳ぐらい)から受けた20歳前後の23人を対象に、脳の状態を調べました。結果は、その1割以上の人の脳が萎縮していました。
脳が委縮するとADHDの方とよく似た症状が現れます。この場合、発達障害ではないけど似たような症状を持っていることから「グレーゾーン」と言われる可能性があります。
もちろんのことですが、虐待は絶対にしてはいけません。大変な時があっても我が子への愛を忘れないでください。
コミュニケーション不足
コミュニケーション不足は、大脳の海馬とその周辺の発達の遅れに影響します。結果として、それは社会性の欠如やコミュニケーション能力の不足の原因になります。
コミュニケーションを取っていると思う保護者も、長時間テレビやスマホで教育系の動画を子供に見させたままにしていませんか。
一見それらは良く見えても、子供が発話や意思疎通をしずらい環境になっています。一方通行になってしまっているということですね。
直接顔を見て大人が話す言葉を繰り返したり、子供が返事をしたり、主体的な会話ができるコミュニケーションが、海馬などの発達に重要なのです。
まとめ
今日の記事をまとめると次のとおりです。
- 発達障害になる直接的な原因はまだわかっていないが、先天的な脳の機能障害によるものであり、複数の要因がある
- 妊娠中のことが直接影響するとは限らないが、気をつけた方がいいと言われてることに注意し、家族にも協力してもらう
- 生まれてからは、家庭環境や保護者の接し方で発達障害の症状の鎮静や悪化を左右する可能性がある
お母さんのためにも胎児や子供のためにも、身体的、精神的な健康に気をつけることが一番重要になってきます。
妊婦や家族で対策できることはやって、生まれた後、家庭でできるサポートもあるので、愛情を持って接しましょう。我が子を思えばどんな努力も惜しみないですよね。