皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害セルフチェック」についてです。
「私、もしかして発達障害?」と気になっている場合には、まずはセルフチェックをしてみましょう。セルフチェックは、ご自身の不安や困り感を解消する第一歩につながるでしょう。
「やっぱり発達障害かも」と思った場合は、納得して受診することができる可能性もありますので、心配なら手軽なセルフチェックから試してみましょう!
目次
発達障害のセルフチェックをしてみよう!
「もしかして自分は発達障害?」「うちの子は発達障害なのかも」と気になっている場合には、まずはセルフチェックをしてみましょう。
セルフチェックは2種類あります。
- 世界的な基準に基づいたもの
- 個人が作成したもの
世界的な基準に基づいたものであれば、受診時、医師に自分の状態を伝えやすくなります。
しかし、世界的に利用しやすいチェック項目になっているので、内容が自分の生活状況に合っていないということも考えられます。また、お子さんの場合も、これらの項目に照らし合わせてチェックするのは難しいです。
そんな場合は、医師や教員の作成した、生活場面にフィットしたセルフチェックも活用してみましょう。
ここでは、ASD、ADHD、LDについて、WHO監修・DSM-5に定められたセルフチェックと、教員が作成したセルフチェックの両方をご紹介しますので、ご自分に合ったものでチェックしてみてください。
ASDについてのセルフチェック
ASDのセルフチェックについて、くわしく見ていきましょう。
AQセルフチェック
AQとは、Simon Baron-Cohen & Sally Wheelwrightによって作成された、自閉症スペクトラム指数をはかる自己回答形式の質問紙です。
50個の項目において、ご自身がそれぞれ「あてはまる」「どちらかと言えばあてはまる」「どちらかと言えばあてはまらない」「あてはまらない」のどれに当たるかを考えてみましょう。
「あてはまる」または「どちらかと言えばあてはまる」に当たる場合には、チェックをつけましょう。
1.何かをするときには、一人でするよりも他の人といっしょにする方が好きだ。
2.同じやり方を何度もくりかえし用いることが好きだ。
3.何かを想像するとき、映像(イメージ)を簡単に思い浮かべることができる。
4.ほかのことがぜんぜん気にならなくなる(目に入らなくなる)くらい何かに没頭してしまうことがよくある。
5.他の人が気がつかないような小さい物音に気がつくことがよくある。
6.車のナンバーや時刻表の数字などの一連の数字や、特に意味のない情報に注目する(こだわる)ことがよくある。
7.自分ではていねいに話したつもりでも、話し方が失礼だと周囲の人から言われることがある。
8.小説などの物語を読んでいるとき、登場人物がどのような人か(外見など)について簡単にイメージすることができる。
9.日付についてのこだわりがある。
10.パーティーや会合などで、いろいろな人の会話についていくことが簡単にできる。
11.自分がおかれている社会的な状況(自分の立場)がすぐにわかる。
12.ほかの人は気がつかないような細かいことに、すぐに気づくことが多い。
13.パーティーなどよりも、図書館に行く方が好きだ。
14.作り話には、すぐに気がつく(すぐわかる)。
15.モノよりも人間の方に魅力を感じる。
16.それをすることができないとひどく混乱して(パニックになって)しまうほど、何かに強い興味を持つことがある。
17.他の人と、雑談などのような社交的な会話を楽しむことができる。
18.自分が話をしているときには、なかなか他の人に横から口をはさませない。
19.数字に対するこだわりがある。
20.小説などを読んだり、テレビでドラマなどを観ているとき、登場人物の意図をよく理解できないことがある。
21.小説のようなフィクションを読むのは、あまり好きではない。
22.新しい友人を作ることは、むずかしい。
23.いつでも、ものごとの中に何らかのパターン(型や決まりなど)のようなものに気づく。
24.博物館に行くよりも、劇場に行く方が好きだ。
25.自分の日課が妨害されても、混乱することはない。
26.会話をどのように進めたらいいのか、わからなくなってしまうことがよくある。
27.誰かと話をしているときに、相手の話の「言外の意味」を理解することは容易である。
28.細部よりも全体像に注意が向くことが多い。
29.電話番号をおぼえるのは苦手だ。
30.状況(部屋の様子やものなど)や人間の外見(服装や髪型)などが、いつもとちょっと違っているくらいでは、すぐには気がつかないことが多い。
31.自分の話を聞いている相手が退屈しているときには、どのように話をすればいいかわかっている。
32.同時に2つ以上のことをするのは、かんたんである。
33.電話で話をしているとき、自分が話をするタイミングがわからないことがある。
34.自分から進んで何かをすることが楽しい。
35.冗談がわからないことがよくある。
36.相手の顔を見れば、その人が考えていることや感じていることがわかる。
37.じゃまが入って何かを中断されても、すぐにそれまでやっていたことに戻ることができる。
38.人と雑談のような社交的な会話をすることが得意だ。
39.同じことを何度も繰り返していると、周囲の人からよく言われる。
40.子どものころ、友達といっしょに、よく「〇〇ごっこ」(ごっこ遊び)をして遊んでいた。
41.特定の種類のものについての(車について、鳥について、植物についてのような)情報を集めることが好きだ。
42.あること(もの)を、他の人がどのように感じるかを想像するのは苦手だ。
43.自分がすることはどんなことでも慎重に計画するのが好きだ。
44.社交的な場面(機会)は楽しい。
45.他の人の考え(意図)を理解することは苦手だ。
46.新しい場面(状況)に不安を感じる。
47.初対面の人と会うことは楽しい。
48.社交的である。
49.人の誕生日をおぼえるのは苦手だ。
50.子どもと「〇〇ごっこ」をして遊ぶのがとても得意だ。
自閉症スペクトラム指数(AQ)日本語版の標準化ー高機能臨床群と健常成人による検討ー
50項目のうち、33個以上にチェックがつくと、ASDの症状をもつ可能性があります。
個人作成のASDセルフチェック
ここでは、ADHDについてのセルフチェックを作成された教員の方の動画を紹介します。
お子さんの場合はこちらの方が実生活に沿ったものになっていますので、活用してみてください。
ADHDについてのセルフチェック
ADHDのセルフチェックについても、くわしく見ていきましょう。
ASRSセルフチェック
まずは、WHOや専門家によって作成されたセルフチェック(ASRS-v1.1)です。
1~6の項目でご自身が「全くない:1点」「めったにない:2点」「時々:3点」「頻繁:4点」「非常に頻繁:5点」の、どの点数に当たるか考えてましょう。
1.物事を行なうにあたって、難所は乗り越えたのに、詰めが甘くて仕上げるのが困難だったことが、どのくらいの頻度でありますか。
2.計画性を要する作業を行なう際に、作業を順序だてるのが困難だったことが、どのくらいの頻度でありますか。
3.約束や、しなければならない用事を忘れたことが、どのくらいの頻度でありますか。
4.じっくりと考える必要のある課題に取り掛かるのを避けたり、遅らせたりすることが、どのくらいの頻度でありますか。
5.長時間座っていなければならない時に、手足をそわそわと動かしたり、もぞもぞしたりすることが、どのくらいの頻度でありますか。
6.まるで何かに駆り立てられるかのように過度に活動的になったり、何かせずにいられなくなることが、どのくらいの頻度でありますか。
成人期のADHDの自己記入式症状チェックリスト(ASRS-v1.1)
- 『3点以上』でチェック
- 『3点以上』でチェック
- 『3点以上』でチェック
- 『4点以上』でチェック
- 『4点以上』でチェック
- 『4点以上』でチェック
それぞれの項目において、チェック条件となる点数を示しましたので、その点数以上の場合はチェックをつけてください。
6つの項目の中で、4つ以上チェックがつく場合は、ADHDの症状をもつ可能性があります。
個人作成のADHDセルフチェック
セルフチェックの作成者ご本人が解説されている動画を2つご紹介しますので、参考にしてみてください。
お子さんには、これらの方がチェックしやすいと思います。
LDについてのセルフチェック
LDのセルフチェックについて、くわしく見ていきましょう。
DSM-5のセルフチェック
DSM-5では、LDについて下記のような診断基準が示されています。
DSM-5とは、アメリカ精神医学学会が作成した「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版」のことです。
こちらはセルフチェック用のものではないですが、ご自身で確かめるのにも役立つと思います。
・文字や単語、文章を読むときに正確でなかったり速度が遅かったりする。
・単語を読み間違えたりためらいながら読み上げる。
・当てずっぽうで読むことがある。
・発音が正確でない。
・読んで意味を理解することが難しい。
・文章が正確に読めていても文章に登場するものの関係性や意味理解ができていない。
・文字の一部分を付け加えたり、入れ忘れたり、置き換えたりすることがある。
・文章を書くことが難しい。
・文法や句読点を複数間違える。
・段落ごとに内容がうまくまとまっていない。
・伝えたいポイントが明確でない。
・数の概念、数値、計算を学ぶことが難しい。
・数字やその大小、関係性の理解が弱い。
・1桁の足し算を暗算でなく手の指を折って数える。
・計算の途中で迷ってしまい別の方法に変える。
・数を使って推論することが難しい。
・数量の問題を解くために数学の概念や事実、方法を使うことが大変難しい。
kaien ENABLING EXCELLENCE
上記のうち1つ以上に当てはまり少なくとも6か月以上持続していると、LDと診断される可能性があります。
個人作成のLDセルフチェック
LDについても、教員の方々が作成されたセルフチェックの動画をご紹介します。
こちらも具体性があるので、お子さんへのチェックであれば、当てはめて考えやすいでしょう。
しかし、LDは学習場面においてその特性が現れやすいため、就学前のお子さんにセルフチェックを当てはめるのは難しいと思います。お子さんの年齢も加味しながら活用してください。
そもそも発達障害はどんなもの?
そもそも発達障害とはどんな障害を指すのでしょうか。
脳の機能的な問題が関係して生じる疾患であり、日常生活、社会生活、学業、職業上における機能障害が発達期にみられる状態をいう。
e-ヘルスネット[情報提供]
低年齢で症状が現れる、脳機能の障害だと言えます。その症状によって、多くの場合はASD、ADHD、LD、その他(トゥレット症候群など)と診断されます。
では、発達障害の主な症状であるASDとADHD、LDについて、その障害特性を見てみましょう。
ASD
ASD(自閉スペクトラム症)の方には次のような特徴があります。
<言語やコミュニケーションの障害>
・言葉の遅れ
・反響言語(オウム返し)
・会話が成り立たない
・格式ばった字義通りの言語
<社会性が低い>
・他者と感心を共有できない
・友達ができにくい
・一方的な関わり方をする
・感情の共有が苦手
<興味関心・こだわり>
・一つの興味や事柄に関心が限定
・こだわりが強い
<感覚の問題>
・感覚過敏もしくは鈍麻
(参照:e-ヘルスネット[情報提供])
▼ASDについて詳細をまとめていますので、参考にしてみてください。
ADHD
ADHD(注意欠陥・多動性障害)傾向のある方には、以下のようなタイプがあります。
- 不注意優勢型
- 多動・衝動優位型
- 混合型
・うっかりまちがいが多い
・忘れ物をしたり、約束を忘れたりすることが多い
・気がそれやすく、長時間集中し続けることが苦手
・整理整頓が苦手
・ひとつの物事にじっくり取り組むのが苦手
・ひとつの場所にじっと留まっていられない
・じっとしていることができず、貧乏ゆすりなどそわそわ動いてしまう
・気持ちのコントロールができず、カッとなって言い返したり、思ったことを口にしてしまったりする
・思いついたら即行動
上記2つのタイプの特徴を持つタイプ
(参照:kaien ENABLING EXCELLENCE)
LD
LD(学習障害)は、発達障害の最新の診断基準を示すDSM-5においては、SLD(限局性学習症)を呼ばれるようになりました。
「限局性」という言葉に示される通り、SLDは、知能の全般的な遅れは見られないものの、読む・書く・計算するといった特定の能力においてのみ、大きな困難を有することを指します。
SLDのタイプは大きく分けて以下の2つになります。
- 読み書き障害…読んだり書いたりすることに困難さが表れる
- 算数障害…計算や数の概念を捉える、推論することに困難さが表れる
それぞれの特性を見てみましょう。
・文字の形をとらえることが苦手。
・文字や漢字を思い出すのに時間がかかる。
・文字を1文字ずつ追っていく読み方をする。
・文章を読むのに時間がかかる。
・計算に時間がかかる。
・簡単な計算でも暗算できない。
・数字の大小や関係性など、数に関する概念の理解が困難。
・数字のもつ順序の理解が難しい。
(参照:kaien ENABLING EXCELLENCE 、en+courage発達障害や働きづらさを抱えた方の就職を応援)
ですから、セルフチェックを活用する際には、チェック項目の内容がご自身の生活にフィットしたものを使用すると、自分に当てはめて考えやすいですね。
やっぱり発達障害かも|それなら受診すべき?
ここまでのセルフチェックをしてみて「やっぱり自分は発達障害かもしれない」「うちの子はかなり当てはまるな」と思われた方は、それなら受診すべきなのか、ということが気になりますよね。
その答えは「受診しなければならないわけではない。でも、受診した方が良い場合もある」というものです。なぜなら、発達障害があるかもしれないご本人の状況によって違うからです。
発達障害かも|子供の場合
セルフチェックで、発達障害を疑われているのがお子さんの場合は、なるべく早く受診することをオススメします。
その際、医療機関にかかる前にまずは身近な専門家に相談してみましょう。身近な専門家とは、以下のようなところです。
- 担任の先生
- スクールカウンセラー
- 保健センター
- 児童相談所
- かかりつけの小児科
まずは、お子さんの様子をご家族以外でよくわかっている担任の先生に相談できるのが良いでしょう。担任の先生から、学校や園での様子について、話を聞いておきます。
医療機関にかかる前に、保健センターや児童相談所、かかりつけの小児科に相談すると、ご自宅から通いやすい医療機関を相談してもらえるかもしれません。
とは言っても、受診することで、お子さんに障害者というレッテルが貼られてしまうような不安を感じている親御さんもいるのではないでしょうか。
しかし、受診することで適切な支援を受けやすくなります。適切なサポートを受けることで、発達障害を一次障害とした二次障害(精神症状や身体症状、引きこもりなど)を防止しやすくなります。
お子さんの場合、発達障害は早期発見が大切になるので、勇気を出して一歩踏み出してみてください。
▼お子さんが発達障害かもしれないと思った時の行動が具体的に示されていますので、参考にしてみてください。
発達障害かも|大人の場合
セルフチェックをされた方が大人の場合は、一概に受診すべきとは言えません。
受診すべきかどうかの判断基準は「本人に困り感があるかどうか」です。
本人に困り感がある場合
ご本人に困り感がある場合には、早めに受診しましょう。発達障害には適切な支援が必要です。
その支援を受けるためにも、一度医療機関を受診してみてください。また、医療機関につながることで、ご自身の困り感の解決につながる方法を一緒に考えてもらうことができます。
本人に困り感がない場合
ご本人に困り感がない場合は、無理に受診を勧めません。
それまでの生活経験により、自然とご自身の特性について理解し、それに合った色々な手立てをご自身で講じている可能性があります。ご本人に困っていることがないのであれば、敢えて受診する必要はありません。
ただ、受診することで診断名がつくと、これまではご自身で何とかしていたことが、サポートで楽にこなせるようになったり、もっと良い方法を教えてもらったりできるかもしれません。
また、国や自治体の制度により、手当てを受け取ることもできるかもしれません。ご自分にとって、受診がメリットになると思えるならば、受診するのも良いと言えます。
▼障害者手帳を手にすることについてまとめていますので、参考にしてみてください。
▼発達障害のある方が得られる手当てについてまとめています。
大人の場合は、受診がご自身にとってメリットになるかどうかが、受診のポイントになるでしょう。
まとめ
今日の記事をまとめると以下のとおりです。
- セルフチェックには、世界的な基準に基づいたものと、それらをもとに具体的な生活場面を想定した、個人作成のものがある。
- セルフチェックは、発達障害それぞれの障害特性をもとに、自分でチェックしやすいような文言に直して作成されている。
- 発達障害が疑われる場合は、子供であれば身近な専門家に相談の上、早めに受診。大人の場合は、ご自身に困り感があるかどうか、受診にメリットがあるかどうかで受診するかを判断。
まずは、セルフチェックをした上で、やはり不安だという場合は、迷わず受診しましょう。受診すれば、気になられていることについて、はっきりするかもしれませんよ。