皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害絵カード」についてです。

発達障害児の中には言葉の発達がゆっくりな特性を持った子もいて、言葉の意味を正しく理解することが難しい子もいます。その発達障害支援の中で「絵カード」というものが幅広く使われています。

この記事にたどり着いた方は「『絵カード』ってよく聞くけどなに?」「発達障害の子どもに使ってみたい」と思われているのではないでしょうか。この記事では絵カードを発達支援の中で使う目的やメリット、どんなカードがあるのかについて探っていきたいと思います。

発達障害の子とって絵カードは安心ツール

発達障害の子どもには、その発達障害の症状から、言葉だけで何を伝えたいのかを読み取ることが苦手な子どもがいます。

どう動いたらいいのか迷ってしまったり、その場や空気を読んだ上での適切な行動が理解できなかったり。次どうすればいいのか迷っていたり。

また、発達障害の子どもは見通しを立てることが苦手な子もいることから、次の行動がわからないとパニックを起こしてしまったり、癇癪を起こしてしまったりします。

そこで発達障害支援や保育園などで幅広く利用されているのが『絵カード』です。

絵カードには行動のお手本となるべき動きが描かれており、それを見せることで、

  1. 今その場で行って欲しい行動を示す
  2. 適切な行動へ導く手順を具体的に示す

……といったことを伝えることができるのです。

事前に何をすればいいのか本人がわかっていると、本人も周りの支援者も安心ですよね。

絵カードは言葉が分からない──または通じない──状態の子にとって行動を示してくれる安心ツールなのです。

発達障害の子どもに対する接し方については以下の記事も参考になります。よかったらお読みください。

絵カードを使うメリットはこの2つ!

使うメリットは主に2つあります

メリット

・目で見てわかることができる
・癇癪を起こした時にも有効

目で見てわかることができます

発達障害を持っている子どもは、普通の子に比べて言葉の成長に遅れがあったりだったり、語彙の数少なかったする傾向があります。

特にASD(自閉スペクトラム症)の子は周りとのコミュニケーションをとることが難しい側面もあるので、言葉の発達が著しく遅れてしまいかねません。

同じ年齢の子でも、同じ言葉で説明しても理解してくれるかどうかは異なってしまうのです。

そのため、絵カードは絵と簡単な言葉で描かれているので、多くの子にとって理解しやすいツールとなります。一目見ただけでどんな行動をすればいいのかわかりやすいものとなるのです。

一般的に視覚情報の方が理解しやすい

これは一般的に言われることですが、人は耳で聞いた情報よりも目で見た情報の方が、格段に理解する情報が多いと言われています。『百聞は一見にしかず』ということわざがあるように。つまり言葉で説明するより目で見た方が情報を受け取りやすいのです。

そんな時に絵や映像、マークなど目で見たものは理解しやすいのです。例えば「ご飯を食べる前にはちゃんと手を洗おうね」と口で言うよりも、「手を洗うイラストを見せる」ほうが何を求められているのか理解しやすいようです。

絵カードはその原理に基づいて、絵やイラスト、とても簡単な説明文だけで表現しています。その結果、言葉だけで理解するのが難しい発達障害の子に伝えることができるのです。

癇癪が起きた時にも有効です

発達障害の子は状況がわからずパニックを引き起こしたり、大きな声で喚いたりしまったり、不安が募ると癇癪を起こすこともあります。

そのような状態の時は、相手の声を聞くことができません。言葉が耳に入っていかないでしょう。

落ちついて聞くことができないそんな時に、本人に今の状況でどうして欲しいのか・何をやって欲しいのかを伝えるために絵カードを見せると、内容を理解して落ち着いてくれることもあります。本人も癇癪を起こしたいわけではありません。ただ不安なのです。

保護者の方も、絵カードを静かに見せればいいだけなので、その子に対して強く怒ったり言葉を浴びせたりすることなく物事を伝えることができますね。

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小野田
癇癪を起こしてしまった場所によっては静かにしなくてはならない場面もあるかもしれませんしね。

発達障害を持っていない子にも有効です

発達障害の子だけでなく、発達障害でない子にとっても”あると嬉しいもの”となっています。

例えばおつかいや子ども同士の喧嘩の謝り方など初めてのことを成し遂げるために、どんな行動をすればいいのかを示してくれる手順を頭の中でイメージをしやすいように、絵カードを使うことがあるようです。どんな子どもにとってもそうですが、言葉だけで説明されるよりも絵で見た方がわかりやすいようですよ。

まだ言葉が通じない幼い子どもを持った保護者の中には、トイレの仕方や食事の仕方について書かれた絵カードを利用される方もいるみたいです。発達障害を持っている子だけではなく、幅広く使われています。

そもそも絵カードってなに?

絵カードとは?

絵カードとは表裏に絵が描かれていて、わかりやすく絵と簡単な言葉が描かれているものです。

絵カードには行動を示した絵と簡単な説明がかかれ、行動の例を絵で表しています。

絵と言っても可愛いイラストだけではありません。写真で作られていることもあります。

ここから説明していきますが、市販で売られているものから、自分で作ることもできる、手軽に利用できる発達支援道具です。

どうやって使うの?

絵カードはどんな行動をとって欲しいのかを示すときに使いましょう。

例えばお昼ご飯の時、弁当や水筒を準備する動作を絵カードで見せてみましょう。絵を示すことによってどんな行動をして欲しいのかを伝えます。保育者や保護者がことばを添えながら表面の行動の絵を提示し、子どもがその行動をできたら裏返してあげます。できたら「やったね!」「できたね!」とほめてあげます

そうすることで、子どもは達成感を味わえ、「その場や空気に合わせた行動ができた!」と自信がもてるようになります。慣れてきたら次同じような場面が起こった時、同じような手順で行動することができるようになることもあるかもしれません。一人でできるようになったら、それは大きな成長ですね。

言葉で説明しなくてもいいくらいその行動が身につきやすくなるのです。

絵カードは支援グッズの一つ

絵カード一つとっても、その子に合ったものを使ってあげましょう

絵カードにも色々種類があります。「絵」と言っていますが、必ずしも絵(イラスト)だけではありません。写真もあれば手書きの絵もあります。文字があるものからないものまで様々ですし、色もカラーかモノクロもあります。

写真がいいのか、かわいいイラストがいいのか。カラーがいいのかモノクロがいいのか。発達障害の症状がその子によって異なるように、どんな絵カードが好みなのかもその子によってそれぞれです。

その子に合ったものを使用していきましょう。

絵カードを買ったり作ったり

ここからは市販で売られているものから絵カードのアプリ、作成サイトなどを紹介していきます。

市販品を買う

絵カードと言って有名なのは、世界文化社から発売されている「発達障害の子が迷わず動ける!絵カード PriPri発達支援」シリーズです。「食事・トイレ」から始まり「コミュニケーション」「ルール・約束」など現在6種類の絵カードが販売されています。

「発達障害の子が迷わず動ける!絵カード PriPri発達支援」シリーズ一覧

シリーズ著者価格出版社発売日
食事・トイレ佐藤曉2200円世界文化社2018年7月
着替え佐藤曉2200円世界文化社2018年12月
清潔・片付け佐藤曉2200円世界文化社2019年2月
気持ち佐藤曉2200円世界文化社2019年6月
コミュニケーション佐藤曉2200円世界文化社2019年10月
ルール・約束佐藤曉2200円世界文化社2020年2月
集団の生活佐藤曉2200円世界文化社2021年2月
あそびの道具佐藤曉2200円世界文化社2021年2月

数ヶ月おきに発売されているようで、これからも種類が増えるかもしれませんが、2021年7月現在ではこの6種類が発売されています。以下は「食事・トイレ」の購入サイトに繋がっています。

「PriPri」とは保育士を目指す方向けの保育雑誌です。書店でのシェアも高く保育士からは高い支持を得ています。そんな世界文化社から出ているこれらの絵カードは書店でも売られていますよ。

こんな声が届いています

・絵カードの用途としてはとても良いと思う。
・ゲーム感覚で自分の気持ちを話す練習が出来ています。
・カードを使うことでかなり指示が通りやすくなりました。

カードなので、ゲーム感覚で練習できるという面も素敵ですね。カードを使うことでできるようになることが増えていくようです。

一方こんな声もあります

・高い。男の子か女の子のどちらかを選べて半値にして欲しいです。
・左上にリングを通せる穴が欲しい。
・カードのサイズがひと回り小さけれぼいう事なしです。

2200円はやっぱりやや高いかもしれませんね。男の子用と女の子用が一緒になっているため、不満を抱える購入者もいらっしゃるみたいです。

絵カードを自分で作る

上のカードでは値段が高いな……と思った方、オリジナルのカードを作ってはみませんか?

ここでは無料の絵カードメーカーがあるので紹介します。ただこれはあくまで一例ですので、もっと探して見ればさらにいいものが見つかるかもしれません。

ザ・プロンプト

自閉症支援に特化した絵カードのサイトです。絵カードの作成とダウンロードができ、絵カードの作り方・使い方など関連情報も提供中。自閉症の子どもを持つご家庭や特別支援に関わる先生は、ぜひ絵カードセンターを活用してください。視覚支援、PECS(ペクス)の絵カード、TEACCH(ティーチ)構造化の絵カードにも使えます。

絵カードセンター

絵カードセンターでは絵カードを作成するために様々なイラストがあり、一日のスケジュール表やカレンダーでよく使うイラストが揃っている模様です。なんとスマホで撮った写真からでも絵カードが作成できるとのこと。文字入れも自由自在。絵カードのサイズは、3種類から選べ、様々なサイズも取り揃えておりダウンロードすることができます。オリジナルの絵カードを作ることができます。

ザ・プロンプトはYoutubeも出しているようですので、参考までにご覧ください。

自分で作る

もっとオリジナルで作りたいという方は、自作してみるといいかもしれません。

上記で紹介した市販品の絵カードはやっぱりお金がかかってしまいますよね。お金をかけたくない方や市販で売られているカードでは物足りないと言う方は、ぜひ作ってみましょう。

用意するものは

  • 写真やイラスト(行動を表現した素材)
  • 用紙
  • 手で貼れるラミネート
  • できれば貼ることができるようにマグネット

と、とても簡単で、写真やイラストを用紙のサイズに切って、手で貼れるラミネートでコーティングすれば完成です。

ただ注意点を1つ。ここで重要なのはわかりやすくシンプルな絵にすることです!

あまり情報が多いと何を伝えたいのかが結局わからなくなってしまい、発達障害の子にとってはストレスを抱えてしまいかねません。

絵カードの「アプリ」を使う

現在では手軽に使えるアプリも出ており、無料でダウンロードできるサイトもあります。

こみゅ(LITALICO lnc.)

これは「気持ちを伝えるカードアプリ」として発達障害支援に力を入れているリタリコが提供するアプリです。

絵カードを使って、発語が難しい子どものコミュニケーションをサポートすることができます。

日常で使えるカードは200種類もあるほか、絵カードには音声がついているほか、好きな写真と録音で自分だけのカードを作ることができるそうです。

絵カードを持ち歩くには重たくてかさばるという方にとって、スマホ一つで絵カードのように利用できるので、とてもおすすめです。

紹介動画は以下の通りです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は発達障害の支援法の一つ、「絵カード」の活用についてお伝えしてきました。

  • 発達障害の子とって絵カードは安心ツール
  • 絵カードを使う2つのメリット
  • そもそも絵カードってなに?
  • どんな絵カードがある?

絵カードを用いることによってコミュニケーションを円滑にしたり、新しいことにチャレンジしたり、行動の順番を学んだり……できることが増やしていけるツールだということが、お分かりになったかと思います。その子の成長の促進剤として有効に使っていきたいものですね。

この記事を読んで「ぜひ絵カードを使ってみたい!」と思っていただけたら嬉しいです。

最後になりましたが、お読みいただきありがとうございました。