皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害 漢字」についてです。
小学生から学校で教わるようになる漢字。始めのうちは簡単なものから覚えていくことになりますが、発達障害の子どもの中には、「上手く漢字を書けない」という悩みを持っている子も少なくありません。
この記事では発達障害の子どもと漢字が書けないことの関係や、漢字を書けるようになるための対策などを紹介します。
目次
発達障害の子どもが漢字を書けないのはなぜ?
発達障害にはいくつか分類がありますが、そのうち「学習障害」のあるお子さんが漢字に苦手意識をもつことが多いようです。
学習障害はさらに分類され、そのうちの「読み書き障害」では、文字の読み書きに支障が出てきます。(学習障害の分類については、後ほど詳しくご説明しますね!)
ここでは、文字を書くときの症状例のみ先にご紹介します。
・左右が逆になる鏡文字
・書き順の間違い
・文字の大きさのバラつき
・マス目に字がおさまらない
これらは決して本人の努力不足ではありませんし、わざと行っているわけでもないのです。そのため、周囲が子どもに対して理解をしてあげる必要があります。
▼「漢字が書けない」など学習にかかわる悩み事は、学校とも連携して対応する方が効果的な場合もあります。学校との連携方法・対応策の作り方についてお悩みなら、こちらの記事も参考にしてください。
発達障害の子どもは漢字をどう捉えているのか
学習障害、中でも読み書き障害が子どもの「書けない」に影響していることがわかりました。さらに、読み書き障害があると、漢字の捉え方が私たちとは異なってきます。
読み書き障害の子どもは漢字を見た時に、脳内で三次元処理されて「絵」「図」のように立体的に見えている場合があります。そのため、線が一本多い、または少なかったり、読み書き障害の症状例にもあげた鏡文字になってしまうことがあります。
私たちは絵や物を見た時、その奥行きや広がりなど立体的に感じることがありますよね。それは脳が見たものを三次元処理しているためです。学習障害のお子さんでは、これと同じことが文字を見たときにも起こっているのです。
つまり、「漢字のシルエットはわかるけど、細かいところまではわからない」という状態に陥っているのです。
漢字が書けるようになる対策方法4つを紹介!
ここからは発達障害のあるお子さんが漢字を書けるようになるための具体的な対策方法を3つ紹介します!
漢字イラストカードを使ってみよう!
まず、おすすめしたい対策方法は漢字イラストカードを使ってもらうことです。
漢字イラストカードは最初に絵を見てもらい、その絵から何の漢字を表しているかという「漢字の意味」を通して、漢字に興味を持ってもらうためのツールです。
また、「書いて覚える」のではなく、「見せて覚える」ので、変にプレッシャーを感じることなく学習に取り組むことができます。
学年別でイラストカードが用意されています。上級生になると、覚える漢字も多くなるので「上・下」に分けて出版されているものもあります。
・ゲーム感覚で楽しめる!
・漢字が大きく見やすいので、漢字をなぞって覚えられる!
・カードのおかげで子どもが自ら進んで勉強するように!
参考価格:3,080円〜5,280円 ※学年によって価格は変動します
(楽天市場2022年11月現在価格)
指書きで脳に感覚刺激を与える!
鉛筆などの筆記具を持たず、指で書いてみることも効果的です。
漢字が書けない子どもの中には、鉛筆を持つことに抵抗を持っていることがあります。まずはその抵抗感を取り払うために、漢字を指でなぞったり、書き順を手の動きで覚えてもらいましょう。
指には脳からたくさんの神経が通っています。指書きすることで、触覚や視覚などの刺激を脳に与えることにもつながります。
パーツごとに漢字を攻略!
漢字は多くのパーツから成り立っていますよね。例えば、小学一年生で習う「音」という漢字。「音」という漢字は「立」と「日」が縦に並んでいるのがわかります。
このようにパーツごとに漢字を組み合わせて覚えさせます。それぞれのパーツを子どもに意識させ、声に出して練習させると聴覚の刺激を取り入れることができるので効果的と言えるでしょう。
発達障害にも対応「漢字アプリ」を使ってみる
紹介するアプリの名前は「Oska Writing」です。このアプリは「K-ABC」という発達障害の子どもたちに用いられる検査に出てくる内容と同じことが学べます。
アプリで学べる内容は2種類「継次(けいじ)処理」と「同時処理」あり、お子さんの苦手な分野が分かりやすいのが特徴です。
継次処理とは「つぎつぎと、順番にやっていく処理」のことで、このアプリでどちらが苦手かが分かり、練習もできるメリットがあります。
小1漢字とひらがな・カタカナは、無料で利用でき、小2~中学生の漢字は、有料版は3,000円となりますが、試してみる価値はあります。
【無料版】小1の漢字とひらがな・カタカナのみ
【有料版】小2~中学生の漢字
漢字の反復練習は逆効果?
先ほどご紹介した、漢字を書けない対策の中に「繰り返し書いて覚える」という反復練習は含まれていません。なぜなら、漢字の反復練習は読み書き障害の子どもには逆効果になることもあるからです。
私は小学生の時の反復練習で漢字を覚えたので、みんな同じ練習で覚えられると思っていました・・・
一般の子どもであれば、反復練習させれば個人差はあっても漢字は覚えていくものです。しかし、読み書き障害のある子どもは学び方を工夫する必要があることを理解しておきましょう。
そもそも、読み書き障害があると、反復練習しても上手く書けない場合が多いのです。また、書けない反復練習自体をストレスに感じ、拒否してしまうケースもあります。
ストレスを感じていては、学ぶモチベーションも当たり前のように低下してしまいますよね。
学習障害の分類
後半に差し掛かってきましたが、学習障害の分類についてもご紹介しておこうと思います。
これまで「読み書き障害」とひとつにまとめてご紹介してきましたが、実はこれは「読むことに障害がある」ものと「書くことに障害がある」ものの2つを併発している状態を示しています。
学習障害は、主に3つに分類できます
- 読字障害
- 書字表出障害
- 算数障害
それぞれについて、少し詳しく見ていきましょう。
読字障害
文字通り「読むことが困難」である学習障害です。ディスレクシアと呼ばれることもあります。「ディスレクシア(dyslexia)」とはギリシャ語で「読むのが困難」という意味の言葉だそうです。
学習障害の3つの分類のうち、この読字障害の頻度が最も高いと言われています。
・形の似ている文字の区別が難しい
・小さい文字(「っ」「ゃ」など)の識別が難しい
・音声など、耳からの情報は理解しやすい場合が多い
・長い文章を読んでいる時に、どこまで読んだかわからなくなる
書字表出障害
文字を読むことはできるけれど、書くことができない場合はこちらに分類されることが多いです。お子さん自身は正確に文字を書いているつもりなのに書けていなかったり、鏡文字となることで違和感が出てきます。
そもそも”書くという動作”が苦手で、脳から手を動かす指示の伝達が上手くいっていないことが原因ではないかといわれています。
・鏡文字を書く
・書くのが遅い
・書き写しができない
・漢字が苦手で覚えられない
・文字の大きさを揃えられない
算数障害
数字の概念の理解や、算数が苦手な学習障害です。論理的思考や推論など、考えてから答えを導き出すことが苦手で、数式て使う記号(「+」、「-」など)の理解も難しいことがあります。
直接的に数字に関係していなくとも支障がでることもあるようです。算数障害がある場合、視覚認知機能が弱いといわれています。そのため、「バランスよく書く」ことが難しく、例えば筆算で桁数がずれることにつながることがあります。
・数えることができない
・繰り上げや繰り下げの計算ができない
・数の大小が理解できない
・図形やグラフの理解が難しい
・文章問題を理解できない
・式や数字のバランスよく書けない
▼算数障害について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
併発する場合
学習障害の分類をご紹介してきましたが、これらは必ずしも1つだけが現れるわけではありません。
学習障害のうち、いくつかが併存する場合もありますし、他の発達障害と併存する場合もあります。
学習障害同士での併存
先ほどもお伝えした通り、「読み書き障害」は複数の学習障害が併存している場合を指す言葉です。
ここまで読んでいただいた方はお分かりかもしれませんが、「読字障害」と「書字表出障害」が併存している場合を、まとめて「読み書き障害」ということが多いです。
読字障害があると、「読めないから書けない」という風に書くことにも苦手意識が出てしまうことが多く併存しやすいと言えます。
たとえば、日本人がハングル文字を書くためには勉強が必要です。学んだことがなく、普段見る機会・読む機会がなければ、文字を読めません。その状態の人がハングル文字をバランス良く書くのは難しいですよね。そんな感覚に近いかもしれません。
他の発達障害との併存
他の発達障害のうち、注意欠如・多動性障害(ADHD)と学習障害の併存も多いと言われています。ADHDのある方のうち、30%以上が学習障害を併存しているのではないかと言われるほどです。
自閉症スペクトラム(ASD)との併存もあることがわかっています。その他、チックやトゥレット症候群との併存ももちろんあり得ます。
重要なのは、分類自体ではなく、お子さんに合った対応を探すことです。お子さんの特性の傾向がわかる方が、対策の検討や情報収集がしやすいでしょう。
家庭だけでなく、教育現場でも理解が求められている!
漢字が書けないことによって、読み書き障害の子どもは大変辛い思いをしている場合もあります。
例えば、学校。漢字を上手く書けないばかりに、周りの子どもたちから心ない言葉をかけられ、自分に自信を無くして不登校になってしまう子どもが多くいるのが現状です。このことから、まだまだ読み書き障害、学習障害の理解の浸透が浅いと言えます。
もしも、読み書き障害の子どもを周りの子どもやその親、先生などがある程度理解をしていればどうでしょうか。少なくとも、読み書き障害のある子どもが学校に行かなくなる可能性は低くなるはずですよね。
子どもに配慮しなければならないのは、何も家庭だけではありません。学校などの教育現場にも、読み書き障害の子どもへの配慮が求められているのです。
こちらの動画では、読み書き障害のある少年の入試と学校側の対応について解説されています。
まとめ
- 「学習障害」が原因で漢字が書けないことがある
- 漢字を「絵」や「図」など三次元的に捉えてしまうため、上手く書けない!
- 反復練習はNG!ストレスを感じ苦痛になっていることも!
- イラストカード、指書き、漢字を足し算で覚えるように工夫して学ぼう!
- 教育現場にも理解が求められている
- まだ読み書き障害の浸透は浅い
発達障害の子どもと「漢字を書けない」ことについてお伝えしました。
発達障害のある子どもが漢字をちゃんと書けるようになるためには、一般の子どもと同じように練習させていてはダメです。その子に合った方法を考えてあげましょう。
そして何より、楽しんで学べることが一番だと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。