皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害 ホースセラピー」についてです。
家で犬や猫などのペットを飼っているという家庭は多いですよね。
ペットはその存在だけで家族の癒しとなり、かけがえのない存在であるとも言えます。
そんなペットや動物たちと発達障害の子どもが、ふれあいを持つことについて考えたことはありますか?
ペットだけでなく、大型動物と触れ合うことで心身をより健やかにしようという試みもあるんです!例えば、馬と触れ合う「ホースセラピー」などがあります。
この記事では発達障害の子どもが動物を飼ったり、触れ合うことのメリットや、発達障害であるがための困りごとなどについて解説していきます。
目次
【発達障害の人にもおすすめ】ホースセラピーとは?
「ボースセラピー」という言葉の聞いたことがありますか?あまり馴染みのない言葉ですよね。後述するアニマルセラピーのなかでも、馬と行うセラピーのことを「ホースセラピー」と言います。
ホースセラピーではどんなことをするの?
ホースセラピーというのだから、「馬に乗るんだろうな」と想像している方は多いのではないでしょうか。もちろん、馬に乗ることもできますが、それだけではないんです!
ホースセラピーでやることの例
- 馬を間近で見る
- 共有の時間を過ごす
- 身の回りのお世話をする
- 厩舎作業
- 乗馬
- 人が乗馬するのを見学する
等々
馬の身の回りのお世話をすることもできます。自分が馬に乗るための装具を装着したり、ブラシをかけたり。馬にかかわること全般を体験することが可能です。
こんな風に思う方も、徐々に慣れていくことができるので安心です。
▼ホースセラピーを体験する子どもの動画です。
ホースセラピーの効果
では、ホースセラピーにはどのような効果があるのでしょうか?
身体的な効果
一番イメージしやすいのが身体的な効果でしょう。
- バランス感覚が身につく
- ストレッチ効果
- 全身の筋肉の発達
- 循環器、呼吸器、新陳代謝の改善
このようなものが挙げられます。馬に乗ると適度な揺れを感じることができます。この揺れが刺激となり、各臓器へ良い影響を与えると言われています。
発達障害の子どもは運動が苦手な場合も多いので、身体的な効果があるのは嬉しいですよね。運動が苦手でも動物に興味があれば、ホースセラピーはおすすめです。馬と触れ合うことで自然と全身の運動になります。
しかし、運動が”極端に”苦手な場合、筋力やバランス感覚が原因ではない可能性があります。『[発達障害]運動が極端に苦手|発達性協調運動障害をご存じですか?』で触れていますので、よろしければ併せてお読みください。
心理的効果
ホースセラピーを含め、動物と触れ合うことで心に対しても良いアプローチができます。『心の癒し』の効果ですね。
- 達成感
- 満足感
- 自信
- 不安や恐怖心が少なくなる
- 感情や意思の表現を学ぶ
- コミュニケーション能力の向上
大きな動物と触れ合うことは、恐怖心を抱きそうなイメージもありますよね。実際目の前にすると怖がるお子さんもいると思います。
馬は情緒が安定している動物と言われます。表情も豊かなため、非言語的コミュニケーションの訓練にもなるかもしれません。
また、馬は群れで生活しているため、他社と接することを好みます。その一方で、相手との距離に慎重な側面ももっています。
犬などの小動物と比べ、突然パーソナルスペースへ飛び込んでくることも少ないですよ。
選ばれし、ホースセラピーの”お馬さん”
どんな馬でもホースセラピーに向いている、ということはありません。人間にも向き不向きがあるように、馬にも個性があります。
早く走ることが得意な馬は競走馬に向いているでしょうし、人が苦手で気性が荒い馬はホースセラピーには向きません。
人が好きで気性が穏やかな馬がホースセラピーに向いています。噛んだり、蹴ったりしない馬です。大きすぎると乗馬した時の高さが怖いこともあるので、背の低い馬もホースセラピーに向いています。
ホースセラピー体験ができる施設にいるお馬さんは、これらの資質を備えた選ばれし”お馬さん”なのです。資質に合った場所で活躍している馬と触れ合う時間は、貴重で心穏やかなものになるでしょう。
ホースセラピーは発達障害の子どもの習い事にもおすすめ
ホースセラピーは発達障害の子どもの習い事にもおすすめできます。
『発達障害のわが子に、何か習い事をさせたいな』と思っている親御さんは多いと思います。乗馬は大人になってからの趣味にも良いですし、これまでにご紹介したように様々な効果が期待できます。
体験に行ってみて、お子さんが楽しそうであれば習い事として定期的に通ってみるのも楽しいですよ!
▼ホースセラピーを受けられる施設は多くありませんが、こちらで実施施設を検索できます。
参考:『ホースセラピー施設検索』ホースセラピーねっと
触れ合うことで治療する!アニマルセラピーとは?
アニマルセラピーの一種である「ホースセラピー」について詳しくご紹介してきましたが、「馬以外の動物について知りたい!」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方のためにアニマルセラピーについても解説しますね。
アニマルセラピーとは、動物たちと触れ合いやゲームなどを通して癒しを得たり、生活の質を向上することなどを目的としたものです。
動物と触れ合うことは、それだけで私たちの心に「楽しい」「嬉しい」などの感情の動きが生じます。こうした「プラスの感情」を感じ取れる機会を発達障害の子どもにも与えてあげることが大切です。
アニマルセラピーにはどんな効果がある?
アニマルセラピーには以下の3つの効果が期待できます。もちろん、ホースセラピーでもこれらの効果が期待できます。既にご紹介した効果と重複する部分もあるので、ここではさらっとお伝えしますね。
- 生理的効果・・・リラックスすることができる、感覚刺激に対する反応の改善
- 心理的効果・・・自己肯定感の向上、感情表現が豊かになる
- 社会的効果・・・協調性が生まれる、コミュニケーション能力の向上
アニマルセラピーでは発達障害の中でも、注意欠如多動障害において子どもの症状が改善されたという報告もあります。
上記のような効果から、アニマルセラピーは介護福祉や医療など様々な分野で注目を集めています。
飼えなくても大丈夫!動物と触れ合える場所は至る所に!
家で動物を飼うことができなくても、身近に動物と触れ合える場所はたくさんあります。
例えば、動物園ではふれあいコーナーが多く、普段では触れ合えないような動物とも接する機会があります。また、犬カフェや猫カフェといった、特定の動物と触れ合える場所も今は多いです。
家庭の事情等で動物を飼うことができなくても大丈夫です。動物がいる場所にこちらから出向くことで、子どもが動物と触れ合える機会を作ってあげましょう。
アニマルセラピーは個人的に受けることができる?
アニマルセラピーは様々な団体が全国各地で活動しています。
しかし、その団体数がまだまだ少ないのが現状です。
セラピー自体が保険適応でなく自己負担になる、動物を入れることができない病院が多いなどの問題から、日本でのアニマルセラピーの普及率は海外と比べるとかなり遅れをとっています。
アニマルセラピーを主催する団体の多くが、介護施設や病院などへ直接出向いている場合がほとんどです。中には個人宅へ出向き、セラピーを行う団体もあるようですが、その数はまだまだ少数です。
しかし、「ホースセラピー」「イルカセラピー」であれば、こちらから出向くことによってセラピーを受けられる場合があります。
こちらは看護学校の生徒たちが、イルカセラピーを体験している様子です。
こちらのサイトでは、アニマルセラピーを受けられる団体が地域別にまとめられています。
アニマルセラピーを実施しているところをまとめてみました|株式会社うぇぶりょく
発達障害の子どもが動物と触れ合う5つのメリット!
発達障害の子どもを持つご家庭でも、ペットを飼っているご家庭は多いのではないでしょうか。
子どもが人だけでなく、動物と触れ合う機会は大切にしたいものですよね。ここでは発達障害の子どもが動物と触れ合う5つのメリットについて紹介します。
身体機能の向上、運動不足の解消
ペットの散歩を日課にしている家庭も多いのではないでしょうか。
ペットと一緒に散歩することによって、身体機能の向上や運動不足の解消が見込めます。
発達障害では運動を苦手としている子どももたくさんいます。スポーツでの激しい運動をさせるより、日常的にペットと散歩をさせてみるといった小さなことから始めてみましょう。
ストレスや不安の解消
発達障害の子どもはストレスや不安を溜め込みやすく、それをなかなか思うように解消することができません。
ペットと一緒にいたり、動物に触れ合うことによって子どもの抱えるストレスや不安の解消が期待できます。ある研究結果によると、友人家族といるよりもペットといた方がストレスレベルが低くなるという報告もあります。
達成感とやりがいを感じることができる
散歩や餌やりなどの「役割」を子どもに与えることによって、達成感とやりがいを感じてもらうことができます。
発達障害の子どもは特に達成感とやりがいは大切なもので、本人の自己肯定感の向上に大きな影響を与えます。
子どもが「役割」を達成した時には「頑張ったね!」「すごいね!」と褒めてあげることが子どもの成長につながっていきます。
喘息やアレルギーのリスクが低下する
「ペットを飼うと喘息やアレルギーは大丈夫なのかな?」と心配される親御さんもいることでしょう。
実は幼少期よりペットを飼うことで、ペットを飼ってない子どもに比べると喘息が発生する可能性が13%低くなるという研究報告もあります。また、同様にアレルギーに関しても発生率が低くなるということが報告されています。
しかし、アレルギーには様々な種類があるため、一概に発達障害の子ども全員にアレルギーが発生しないとは限りません。
ペットの毛やフケなどは、人体にとってアレルギーの元のひとつであることは変わりありません。
ソーシャルスキルが身につく
自分の感情や意見などを相手に伝えたり、相手の気持ちを想像して行動することができる能力の向上が期待できます。これらの能力は一般的にはソーシャルスキルと呼ばれるものです。
例えば犬の場合だと、自分から指示を出したり、意思を伝えようとしなければコミュニケーションは取れません。自分から意思疎通を行う必要があります。こうした場合「お手」や「おかわり」など犬に指示を出すなど、まずは親が見本を見せてあげることが大切です。
発達障害の子どもの場合、ソーシャルスキルは動物と関わるだけではなく、SST(ソーシャルスキルトレーニング)にて日常生活での困りごとに対して訓練していくこともできます。
SST(ソーシャルスキルトレーニング)については別記事にもまとめられていますので、参考にしてみてください。
以下の動画では発達障害(自閉症)持つ子どもが犬とお散歩する様子や、子どもが犬と関わることによる気づきなどを親の視点でまとめています。
子どもと動物が触れ合う時の困りごとと対応策
発達障害の子どもが動物と触れ合う中で気をつけておきたいことがあります。それは発達障害の特性です。その特性から動物を傷つけてしまったり、動物を怒らせてしまって噛まれたり、引っ掻かれたりと怪我につながってしまうことがあります。
触れる際に力加減ができない
特に自閉症スペクトラム障害の子どもには、感覚過敏や感覚鈍麻によって力加減ができない場合があります。動物に触れる際に強く掴んでしまったり、動物を抱き上げてもそのまま落としてしまうといったことが考えられます。
こうした場合の対策方法は、日頃から親子のスキンシップを持つようにすることです。
例えば…
- 子どもから抱きしめてもらう
- 手を握ってもらう
- 子どもに肩たたきをしてもらう
子どもが主体となってスキンシップしてもらうことが大切!
子どもの力が強ければ、「痛いよ!」「もうちょっと優しくね!」と声かけすることによって、力加減のコントロールができるようにしていきます。
動物に対しても、「いつも手を握るくらいの力で抱きしめてね」と伝えれば、子どもも理解しやすくなります。
感情が読み取れない
他人や動物の持つ感情を考えたり、把握したりすることが苦手な子どももいます。他人や動物が嫌がっていても、それに気づくことができずに行動をしてしまうことがあります。
例えば…
- 動物を叩く、蹴る
- 抱いた後に放り投げてしまう
- 動物にまたがったりする
子どもは悪意があってこれらの行動に出ているわけではない!
そういった場合の子どもには、行動の危険性やどんな触り方をするのかを具体的に説明してあげましょう。また、自ら動物を触っている様子を子どもに見せることで、「こうやって触れればいいんだな」と子どもに理解してもらいます。
身近にいる!発達障害の子どもに触れ合ってほしい動物たち!
私たちの身近にはたくさんの動物がいますよね。では、発達障害の子どもはどんな動物と触れ合うのが良いのでしょうか。
犬や猫
ペットと言われて、多くの人が想像するのはこの2匹ではないでしょうか。
犬や猫は触れ合いを通して、幸せを感じることができる「エンドルフィン」や「オキシトシン」などの脳内物質の分泌が促進されるため、リラックス効果やストレスの軽減が期待できます。
▼こちらは障害者施設へセラピードッグが訪問した様子を撮影した動画です。
イルカ
イルカは水族館のショーなどでもお馴染みですよね。
イルカは頭がよく、好奇心が旺盛。一般の人と障害のある人を見分けることができ、その人に合わせた行動を取ることができる、なんて話もあるくらい賢い動物なのです。
馬
記事冒頭でご紹介した「ホースセラピー」です。普通に生活していると、あまり馴染みがない動物なのではないでしょうか。
しかし、乗馬で得られる馬が歩く時の揺れには、私たちの脳や体に良い刺激を与えるとして注目されています。近年では障害のある子どもに対して「ホースセラピー」と称して馬と触れ合える機会を取り入れている団体も増えています。
まとめ
- 身体機能の向上、ストレスの軽減など、動物と触れ合うメリットはたくさん!
- 発達障害の子どもの中には力加減ができない、感情が理解できずに動物の嫌がる行為をしてしまう子どももいるので対策は必須!
- 犬や猫、イルカや馬など身近に触れ合える動物はたくさんいる!
- 家で動物を飼えない時は、動物園やカフェで触れ合いを体験してみよう!
- アニマルセラピーも人を癒す力があるが、主催する団体はまだまだ少ない!
- 「ホースセラピー」「イルカセラピー」はこちらから出向くことでセラピーを受けられる場合もある!
発達障害の子どもが動物を飼う、触れ合うことについてのメリットなどについてお伝えしました。
動物は発達障害の子どもに限らず、私たち人の心や生活を豊かにしてくれるパートナーと言えますね。この記事を通して、発達障害の子どもが動物と触れ合うことで、少しでも生きづらさを和らげることができればと願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。