皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害 保育士」についてです。
元気いっぱいの子どもたちをお世話する保育士のお仕事はやりがいがある反面とても大変なものです。
近年、「発達障害」ということばが多く聞かれるようになりました。割合的には保育園でもクラスに一人は発達障害を抱えた子どもたちがいてもおかしくない時代です。
そこで今回は、「保育士として発達障害のお子様とどう向き合っていくのか」について学んでいきましょう。
目次
発達障害と向き合うために保育士が知っておきたいこと
まず、発達障害は一つの障害を指すことばではなく、三つの障害をまとめて呼ぶことばだという点に注意が必要です。
発達障害の種類
発達障害は、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の三つの障害の総称です。
自閉症スペクトラム障害
自閉症スペクトラム障害は、自閉症、アスペルガー症候群などをまとめて指すことばです。
知的障害を伴うこともあります。
早い子では一歳半ごろには傾向が窺われ、三歳以降に診断を受けるといいます。
強いこだわりがあったり、目的のない行動を繰り返したりする特徴があります。また、コミュニケーションや社会性に障害があることも特徴の一つです。
具体的には、以下のような行動が見られます。
- 視線が合わない
- 同じ行動を繰り返す
- 表情に乏しい
- 友だちのすることに興味を示さない
- 人の真似をしない
- 決まったやり方などに異常なまでにこだわる
- 突然大きな声を出したり、泣いたり笑ったりすることがある
注意欠陥多動障害(ADHD)
注意欠陥多動障害(ADHD:Attention Deficit Hyperactivity Disorder)とは、じっとしていられない、集中力がない、衝動的に行動してしまう、などの特徴がある障害です。
知的障害を伴うこともあります。
四歳以降に正式に診断され、七歳ごろまでにわかることが多いといいます。
具体的には、以下のような行動が見られます。
- 遊びなどにすぐ飽きる
- 指示を理解できず、従うことができない
- 忘れ物が多い
- 聞き逃しが多い
- 手足を落ち着きなく動かす
- 友だちの邪魔をする
- 順番が待てない
学習障害(LD)
学習障害(LD:Learning Disability)は、知的な発達には遅れがないにも関わらず、読み書きや計算などに欠陥が生じる障害です。
本格的に障害の影響がわかってくるのは、読み書きや計算を本格的に習い始める小学校からのことが多いです。しかし、読んだり、書いたり、数字に興味を持ち始めたりする三歳ごろに発見されることもあるようです。
注意しなければならないのは、学習障害はやる気がないせいではなく、本人はまじめに取り組もうとしているのにできない、という点です。
具体的には、以下のような行動が見られます。
- ことばの言い間違いや、聞き間違いが多い
- 似ている文字を区別できない(「わ」と「ね」、「シ」と「ツ」など)
- 文章を一文字ずつ区切って読む
- ひらがなやカタカナを書き間違えてしまう
- 文字を読むことはできても書くことができない
- 数字という概念が理解できない
- 時計を読むことができない
三つの発達障害について、以下の記事で詳しくまとめられています。より詳しく学びたい方はご覧ください。
どんな対応をすればいいの?
発達障害といっても、三つの障害があり、その症状もさまざまであることがわかりました。
特徴や傾向があるといっても、「この発達障害の子に対してはこうする!」という単純な正解はありません。
そんな中で、保育士はどのような対応をすればよいのでしょうか?
園全体で関わる
担任の先生一人だけではなく、保育園全体が一つとなって対応することが大切です。その上で、具体的な対処を決めて、園内で統一することが必要となります。
そうすることによって、保育士によって対応が変わって子どもを混乱させてしまうことがなくなる、というのが大きな理由です。
PDCAサイクルを使ってみる
発達障害についての書籍はたくさんあります。また、セミナーや勉強会も多く開かれています。実際に発達障害の子どもと接した経験なども、長く保育士をしている方にはあるでしょう。
そういったもので学んだ知識などを利用して対応をしてみても、うまくいかないこともあります。
Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の四つのプロセスを繰り返すことでものごとを改善していく手法をPDCAサイクルといいます。
発達障害の子どもと向き合う中では、各プロセスで以下のようなことをします。
Plan(計画) | 書籍やセミナーなどで学んだことやこれまでの経験と、実際の子どもの行動から、対応方法を計画する |
Do(実行) | 二週間から三週間ほど、実際に計画を実行してみる |
Check(評価) | うまくいっているか、うまくいかない場合はどう改善したらよいかを検証する |
Action(改善) | 対応方法の改善を行ったり、変更をしたりする |
この積み重ねによって、一人の子どもに対する対応方法が見つかるだけではなく、応用力も身に付きます。
子どものできることを尊重してあげる
何かが苦手な子どもがいると、つい先回りをして危険や困難なことを取り除いてあげようとしたり、つきっきりになってしまったりするかもしれません。
ですが、すべてにサポートをすることはできませんし、つきっきりになってしまうと特別扱いになりかねません。なにより、子ども自身が、「自分でやりたい」と思っているのを邪魔してしまうかもしれません。
そのため、できることは尊重してあげて、できないことや困っているときに手を差し伸べるようにしましょう。
メモをとる
園全体での対応にもつながるのが、気になる行動をしたときにメモを取ることです。
このメモの積み重ねが他の保育士や保護者、発達支援センターなどとの連携を取る際に情報共有の良い材料となります。
日時や状況、どんな行動だったかをメモしておきましょう。
保護者と接する際にはどうすればいいの?
子ども自身への対応をするのと同時に重要となるのは、保護者と接する際にどうするか、です。
保護者よりも保育士は先に気がつきやすい
普段生活をする家庭ではあまり困らない場合でも、保育園での集団生活となると途端に困ってしまうことがある、ということは多々あります。
発達障害も、集団生活をする中で他の子どもとは異なる部分が浮き彫りになることで発見されることもあります。
しかし明らかに支障がある場合は、園で相談の上、保護者に伝えるかどうかを検討して行きます。
伝えるときの保護者への配慮
発達障害を自分の子どもが抱えているかもしれない、というのは、保護者にとってはとてもショッキングなことで、不安になって当然のことです。
伝える場合は、以下のことに注意しましょう。
味方になるという意思と姿勢を見せる
保護者は、「他の園に移ってほしいといわれたらどうしよう」と不安になるかもしれません。
そういった不安を取り除くためにも、まずは「自分たちが責任をもってこれからも見守っていく」という意思と姿勢を伝えるようにしましょう。
どんな行動が気になったか伝えるときには
発達障害かもしれないという可能性を伝えるときには、当然どんな行動が気になってそう思ったのかを伝える必要があります。
しかし、気になる行動をただ伝えるだけでは、保護者を不安にさせてしまうだけです。
そこで、伝えるときには、「どんな行動が気になったか」に加えて、「どういう対応をしたらどんなふうに変わったか」を伝えるようにしましょう。
受け入れてもらえないときは
子どもが発達障害かもしれない、ということは、伝えてもすんなりとは受け入れられないことがほとんどでしょう。
それどころか、頑なに発達障害の可能性があることを否定したり、攻撃的な態度をとってしまったりすることもあるかもしれません。
そういったときには、一度諦めることも必要です。
時間はかかるかもしれませんが、いつかは保護者も受け入れて、頼ってくる日が来ます。そのときに助けになることができるように、子ども自身に対する支援をしながら、保護者の味方になるという姿勢を崩さないようにしましょう。
伝えるタイミングは?
発達障害の兆候が見られた場合に、できるだけ早く保護者に伝えなければ、と思ってしまうかもしれません。
けれども、発達障害の診断ができるのは、三歳半ごろからだといわれています。それよりも早く医療機関の受診をしても、発達障害だと診断できないこともあります。
そのため、一歳から二歳くらいのときであれば、無理に医療機関の受診を勧めることはせず、保育園や保育士ができる支援をその場その場でしてみましょう。
まとめ
発達障害を抱えた子どものお世話は大変な場面もあります。発達障害にも個人差があり、これをすればいい!という万能策がないのが現状です。保育士としてできることは、次の3つでした。
- 発達障害の知識を深めること(発達障害は三つの特徴の総称)
- 園で連携して個性を尊重し、特徴を見守ってあげること
- 危険行為などがあれば補助や修正を促す、保護者に伝える
どのようにしてあげるのが最適なのかを、一緒に考えてあげましょう。