皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害 法律」についてです。

突然ですが、皆さんは日々生活をしている中で、法律を意識することはどれくらいあるでしょう?

…おそらく、ほとんどないのではないでしょうか。

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小野田
しかし、私たちが暮らす日本社会において、全ての事物が法律によって規定されていると言っても過言ではありません。
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橋口
となると、発達障害について言及した法律があるのか、気になりますね。

今回は、そんな発達障害に関係する法律について紹介したいと思います。

それでは見ていきましょう!

そもそも発達障害に関係する法律ってあるの?

皆さんは、日本の法律が一体どれくらいあるか、ご存じですか?

なんと、その数…2000以上!

参考:e-GOV法令検索|DB登録法令数

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小野田
驚きの数字ですね。
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橋口
この中に発達障害関係の法律があるのか、全て確認するとなると気の遠くなる作業になりますよ…。

と言うことで、調べて、まとめてみました!

以下が、発達障害に関係する法律の一覧です。

  • 【発達障害者支援法】
  • 【障害者基本法】
  • 【障害者総合支援法】
  • 【児童福祉法】
  • 【障害者虐待防止法】
  • 【障害者差別解消法】
  • 【障害者雇用促進法】
  • 【視覚障害者等の読書環境の整備の促進に関する法律】
  • 【障害のある児童及び生徒のための教科用図書等の普及の促進に関する法律】
  • 【著作権法】
  • 【学校教育法】
  • 【精神保健福祉法】

まとめたとは言え、これでも十分多いですし、1つ1つ条文を読むという訳にもいきませんね…。

そこで!

この記事ではこれらの法律について、一部詳しく、一部簡単に紹介します。

注意

上記の一覧の中には、厳密には発達障害に関係しない法律も含まれていますが、必要であると判断したため記載しています。

【発達障害者支援法】

まず初めに、発達障害者支援法について解説します!

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小野田
その名称の通り、発達障害に関係する法律では中心的なものだと言えます。

参考:e-GOV 発達障害者支援法

目的と理念

発達障害者支援法の第1条では、この法律の目的として次のように述べられています。

目的

・早期発見と早期支援
・切れ目ない支援
・学校教育などにおける支援
・就労の支援
・生活全般の支援
・発達障害者支援センターの指定
・以上のことから、共生社会の実現に資する

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小野田
共生社会とは、障害の有無によらず全員が参加できる社会のことです。

参考:共生社会の形成に向けて:文部科学省

続いて、同法第2条の2で述べられている理念について見てみましょう。ここで述べられているのは、発達障害者に対する支援についての理念です。

理念

・発達障害者(児)の主体性が尊重されること
・社会的障壁の除去に資すること
・個別性重視、関係者連携、意思決定支援を前提として、途切れることのない支援が行われること

定義

同法の第2条では、次の言葉についての定義を述べています。

(言葉)(定義)
発達障害・広汎性発達障害(自閉スペクトラム症など)
・限局性学習症
・注意欠如・多動症
・その他の脳機能の障害
発達障害者(児)・発達障害や社会的障壁による生活上の困難がある者
・発達障害児は、このうち18歳未満の者
社会的障壁・発達障害者(児)が日常生活や社会生活を送るうえで障壁になるもの
発達支援・特性に応じた発達や社会生活に関する支援
・医療、福祉、教育などの面から行う
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橋口
「発達障害者(児)」は、その発達障害だけでなく社会的障壁によって困りを感じている人を指す言葉ということです。

「国及び地方公共団体」と「国民」の責務

同法の第3条では、国や地方公共団体への責務が述べられています。

国・地方公共団体

・発達、就労、生活、家族に対しての支援などに必要な措置を行うこと
・発達障害者などからの相談に総合的に対応できる体制の整備をすること
・発達障害者(発達障害児の場合はその保護者)の意思に応じて支援を行うこと
・発達障害者の権利を保障するために関係機関と連携、協力すること

また、同法第4条では、国民の責務が述べられています。

国民の責務

・発達障害についての理解を深める
・発達障害者(児)の社会参加に対する協力の努力義務

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橋口
この条文から、私たち1人1人も、発達障害者(児)に対する支援を行う一員だと考えられますね!

児童の早期発見・支援

同法の第5条と第6条で、児童に対する発達障害の早期の発見と支援について、市町村の責務が述べられています。

早期発見と支援

・母子保健法、学校安全法に規定される健康診断は、発達障害を早期に発見することに資すること
・発達障害の疑いがあった場合には、保護者の相談などに応じること、また必要なら発達障害者支援センターや専門的医療機関を紹介すること
・ただし、その際には児童やその保護者の意思を尊重すること、また配慮をすること

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小野田
発達障害は、後の生活上の困りを軽減することためにも、早いうちに支援を受けることが重要だとされています!
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橋口
ですから、これは大切な取り組みと言えますね。

保育・教育・学童保育

同法第7条~9条では、発達障害児の保育、教育、学童保育の利用について述べられています。

第7条の保育の項目は、市町村の責務を示しています。

保育

・発達障害児が保育所を利用する場合、その子が他の児童と生活する中で発達できるよう適切な配慮をすること

第8条の教育の項目では、国や地方公共団体、さらに大学と高等専門学校の責務を示しています。

教育

・発達障害児の年齢や特性に応じた教育を行うこと
・発達障害ではない児童と一緒に教育を受けられるよう支援すること
・個別の教育支援計画などの作成を促進すること
・その他の支援体制を整備すること
・大学や高等専門学校においても、特性に合わせた適切な配慮をすること

第9条の放課後児童健全育成事業(学童保育)の項目では、市町村の責務を示しています。

学童保育

・発達障害児も利用できるように配慮をすること

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小野田
どの項目でも、発達障害児(者)でもそれらを他の児童と共に利用することができるように支援するということが言われています。
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橋口
共生社会を実現するための、インクルーシブ(包括的)な取り組みを目指していることが分かります!

就労の支援

同法10条では、発達障害者の就労の支援について、国や都道府県、市町村、さらに発達障害者を雇用する事業者の責務が述べられています。

就労の支援

・国や都道府県は、ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターをの関係機関との連携を図り、就労機会の確保、またその後の就労定着のための支援を行う
・都道府県や市町村は、就労への準備の支援が学校で取り組まれるようにすること
・事業者は、発達障害者に対して適切な雇用管理を行い、その安定した雇用に努めること

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橋口
就労は、自立した社会生活を送るために大切ですよね!
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小野田
また、就労は誰にとっても権利として認められていることです。当然、発達障害者にもその権利があります

生活の支援

同法第11条では、発達障害者に対する生活の支援について、市町村の責務が述べられています。

生活の支援

・社会生活を営むために必要な訓練を受ける機会を確保する
・生活を営むための住まいの確保などの支援を行う

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橋口
就労の支援と同様に、発達障害者が主体的に生活するための権利を保障しています!

家族に対する支援

同法第13条では、発達障害者の家族への支援について、都道府県や市町村の責務を述べられています。

家族に対する支援

・児童相談所などと連携しながら、発達障害者の家族に対して、相談などの適切な支援に努めること

発達障害者支援センター

同法第14~18条では、発達障害者支援センターについて、都道府県知事が指定するもので、かつ社会福祉法人などの法人が運営するとして規定されています。

第14条では、その行う事業が述べられています。

発達障害者支援センター

・発達障害の発見と支援へ繋げるため、専門的な相談などを行う
・発達や就労に関する支援を行う
・関係機関等に従事する者への情報提供や研修を行う
・関係機関間の連絡調整を行う

その後に続く、第15~18条では、発達障害者支援センターの運営に関する規定が述べられています。

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小野田
発達障害に関する相談をしたい、という場合には、発達障害者支援センターに問い合わせてみると良いでしょう。

▼この他、24時間電話対応している相談先などについて、こちらの記事で取り上げています。

大阪府の発達障害者支援センターの一覧

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小野田
ここでは、RISE(ライズ)が施設を展開する大阪府内の発達障害者支援センターを紹介します
(住所) (電話番号)
大阪市中央区内本町1-2-13 谷四ばんらいビル10階A06-6966-1313
(住所) (電話番号)
大阪市平野区喜連西6-2-55
大阪市立心身障がい者リハビリテーションセンター2F
06-6797-6931
(住所) (電話番号)
堺市堺区旭ヶ丘中町4丁3番1号 堺市立健康福祉プラザ内3F072-275-8506

参考:発達障害者支援センター・一覧|国立障害者リハビリテーションセンター

その他の法律

ここからは、発達障害者支援法以外の、発達障害に関係する法律について見ていきたいと思います!

【障害者基本法】

障害者基本法は、発達障害に限らず全ての障害者が自立した社会生活を送れるように支援するための、基本的な原則などを定めた法律です。

同法の内容で、今回、紹介したいのは次の点です。

障害者基本法

・この法律内における「障害者」の定義の中で、発達障害も精神障害含まれる形で対象となっている(第2条1)
・国民の理解を深め、また障害者の活動促進に資するための事業を行う期間として、毎年12月3日~12月9日を「障害者週間」と定めている(第9条)
・障害児が特性などに応じて、出来る限り障害者ではない児童などと一緒に教育を受けられるよう配慮する(16条)
・障害児が、身近な場所において支援を受けられるようにする(17条)

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橋口
教育についての記述(16条)は、【発達障害者支援法】と同様ですね!
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小野田
ちなみに、以前は「障害者」の定義に発達障害は含まれていませんでしたが、平成23年の同法改正によって発達障害も対象になりました。

参考:e-GOV 障害者基本法

【障害者総合支援】

障害者総合支援法は、障害者基本法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、児童福祉法、またその他の障害に関する法律などの視点を、障害福祉サービス事業として総合的に取り扱っている法律です。

ちなみに、この障害者総合支援法における「障害者」の定義でも、発達障害は精神障害含まれる形で対象となっています(第4条)。

参考:e-GOV 障害者総合支援法

【児童福祉法】

児童福祉法は、その名称の通り子どもの権利、また福祉が保障されることを規定している法律です。

児童福祉法の内容で、今回、紹介したいのは次の点です。

児童福祉法

・この法律内における「児童」の定義は18歳未満の子どものこと(第4条)
・この法律内における「障害児」の定義は、発達障害を含む障害のある児童のこと(第4条2)
・発達障害児の支援として代表的な「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」は同法で障害児通所支援として規定されている(第6条の2の2)
・都道府県に設置義務のある「児童相談所」について定めている(第12条)
・「児童発達支援センター」についても児童福祉施設として同法で規定している(第7条、第43条)

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橋口
「児童発達支援」と「放課後等デイサービス」については、児童福祉法が根拠になっているんですね!
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小野田
「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」の利用を考えている方は、ぜひRISE(ライズ)にお問い合わせください!

参考:e-GOV 児童福祉法

【障害者虐待防止法】

障害者虐待防止法では、障害者の虐待を禁止し、または発生した場合には早期に発見することで、障害者の権利を保障することを目的とした法律です。

この障害者虐待防止法における「障害者」の定義は、障害者基本法の定義にならうものとされているため、発達障害を含んでいると言えます(第2条)。

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小野田
虐待には、「身体的虐待」「心理的虐待」「性的虐待」「ネグレクト(放置など)」「経済的虐待」があるとされています。

参考:e-GOV 障害者虐待防止法
   大阪市:障がい者虐待の種類

【障害者差別解消法】

障害者差別解消法は、障害者に対する障害を理由とした差別の解消を促進することを目的とした法律です。

同法は、国や地方公共団体などの行政機関とその他の事業者に対して「不当な差別の禁止」(第7条、第8条)を、また「合理的配慮」について、国や地方公共団体に対しては義務(第7条2)、その他の事業者はに対しては努力義務(第8条2)としています。

ちなみに、この障害者差別解消法における「障害者」の定義でも、 発達障害は精神障害含まれる形で対象となっています (第2条1)。

参考:e-GOV 障害者差別解消法

【障害者雇用促進法】

障害者雇用促進法は、障害者が社会において自立した労働者となれるよう、国や地方公共団体、また事業者の責務(第5条、第6条)、さらに「職業リハビリテーション」(第8条)などの支援、「障害者職業センター」(第19~22条)という施設について規定した法律です。

ちなみに、この障害者雇用促進法における「障害者」の定義でも、 発達障害は精神障害含まれる形で対象となっています (第2条1)。

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橋口
【発達障害者支援法】の就労の支援とも関係する法律ですね!

参考:e-GOV 障害者雇用促進法

【障害者による文化芸術活動の推進に関する法律】

障害者による文化芸術活動の推進に関する法律は、障害者が文化芸術作品を鑑賞、創造、発表できる機会を拡大、確保することで、障害者が個性や能力の発揮すること、また社会参加を促進することを目的とした法律です。

この障害者による文化芸術活動の推進に関する法律における「障害者」の定義は、障害者基本法の定義にならうものとされているため、発達障害を含んでいると言えます(第2条)

また同法内にて、人々の本来の創造性が発揮された文化芸術作品が高く評価されていること、その中心になっているのが障害者の作品であるということが述べられています(第3条2)。

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橋口
例えば、絵を描くことが好きな発達障害の子どもさんについて、その絵が評価される機会があるべきですよね。
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小野田
大阪府には、障害者芸術文化活動普及支援事業の支援センターとして、
「国際障害者交流センター ビッグアイ」があります。

参考:e-GOV 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律

【視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律】

視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律は、視覚障害等の障害に応じた配慮がなされた書籍を普及させ、読書環境を整備することで、視覚障害者等でも文字(活字)文化に触れることができる社会の実現を目的とした法律です。

実は、この視覚障害者等の環境の整備の推進に関する法律における「視覚障害者等」の定義の中で、発達障害もその対象となっているのです(第2条)

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小野田
限局性学習症の1つである「読字の障害」がある子どもさんが、その対象となると言えます。

参考:e-GOV 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律

【障害のある児童及び生徒のための教科用図書等の普及の促進等に関する法律】

障害のある児童及び生徒のための教科用図書等の普及の促進等に関する法律は、障害(主に視覚障害)のある児童または生徒に配慮した特別な教科書等の発行や、それを使用した小中学校や高校における支援について定めた法律です。

また、発達障害やその他の障害のある児童や生徒に対しても、支援が充実するよう、必要な調査、研究を行うことを規定しています。

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橋口
前の【視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律】の考えを教育場面に適用したような法律ですね。
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小野田
ただし時系列からすると、先にこの、障害のある児童及び生徒のための教科用図書等の普及の促進等に関する法律が施工されています。

参考:e-GOV 障害のある児童及び生徒のための教科用図書等の普及の促進等に関する法律

【著作権法】

著作権法は、著作物や著作者の権利を保護することを目的とした法律ですが、視覚障害や発達障害、その他の障害がある児童または生徒が教科書等の著作物の使用が困難な場合、そのコピーや拡大を認める(第33条の3)と述べられています。

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橋口
前項で紹介した【障害のある児童及び生徒のための教科用図書等の普及の促進等に関する法律】の取り組みとも関連した内容になっています!

参考:e-GOV 著作権法

【学校教育法】

学校教育法は、幼稚園、小中学校、高校、特別支援学校、高等専門学校、大学における教育に関わる内容を定めた法律です。

また同法では、視覚障害、発達障害等により一般の教科書の使用が困難な場合、教科書等の拡大や音声変換、電子計算機(パソコン等)を用いることで学習の困難を低減することを推奨する内容(第34条3)が述べられています。

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橋口
前項で紹介した【障害のある児童及び生徒のための教科用図書等の普及の促進等に関する法律】や【著作権法】の項で見たことと同様の内容ですね!

参考:e-GOV 学校教育法

【精神保健福祉法】

精神保健福祉法は、精神障害者に対する医療・福祉支援について定めた法律です。また同法では、「精神障害者保健福祉手帳」についても規定しています。

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小野田
実は、これまで紹介してきた【障害者基本法】や【障害者総合支援法】などにおいて、発達障害は精神障害に含まれるものとして定義されています。
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橋口
つまり、発達障害者は「精神障害者保健福祉手帳」を取得することができるとされているわけですね。

参考:e-GOV 精神保健福祉法

▼発達障害者の障害者手帳取得については、こちらの記事で詳しく取り上げています。

療育手帳について

発達障害のある子どもさんで知的障害を併せ持っている場合、「療育手帳」を取得できます。しかし、療育手帳について、例えば【知的障害者福祉法】などで言及されていません。ですので、この記事では療育手帳に関する法律というものは紹介しませんのでご了承ください。

まとめ

この記事では、発達障害に関係する法律として以下のものを紹介しました。

  • 【発達障害者支援法】
  • その他の法律として、
    【障害者基本法】
    【障害者総合支援法】
    【児童福祉法】
    【障害者虐待防止法】
    【障害者差別解消法】
    【障害者雇用促進法】
    【障害者による文化芸術活動の促進に関する法律】
    【視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律】
    【障害のある児童及び生徒のための教科用図書等の普及の促進等に関する法律】
    【著作権法】
    【学校教育法】
    【精神保健福祉法】

どうでしたか?

意外に多くの法律で、発達障害が取り上げられていることが分かったのではないでしょうか。

いずれの法律も、発達障害者(児)への支援や配慮について言及しているものですから、今回紹介した内容が少しでもお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。