皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害 テスト 子供」についてです。
お子さんを育てているときに、他のお子さんと違っているところなどを目にして、少し気になる、なんてことがあるのではないでしょうか。
もしかしたら発達障害かも、とお思いになるかもしれません。
インターネットが発達したこの時代、検索するとたくさんのチェックリストやテストが出てきて、混乱してしまいますよね。
今回は、子どもが発達障害を抱えているかどうかを調べるテストについて、まとめてみました。
少しでもお役に立てれば幸いです。
目次
発達障害の子どもが行うテストの基準
テストには、どんなことを見るのかという基準が存在します。
そのため、発達障害かどうかを診断するためのテストにも、基準というものも存在します。
それが、DSM-5、またはICD-10というものです。
DSM-5とICD-10という診断基準
DSM-5やICD-10は、世界的に発達障害の診断基準として使われているものです。
DSM-5は精神疾患、ICD-10は疾患全般についての診断基準、分類となっています。
DSM-5とは
DSM-5の正式名称は「精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」といって、アメリカ精神医学会というところが出版しているものです。
アメリカで作られたものではありますが、今では国際的に使用されています。
1952年に最初の版が出版されて、現在は2013年に出版された第五版が最新版として利用されています。
精神疾患を22個のカテゴリーに分けていて、その中に「自閉スペクトラム症」や「注意欠如・多動性障害」、「限局性学習障害/限局性学習症(Specific Learning Disorders)」が含まれています。
発達障害に限らず、なぜ精神疾患に対してDSM-5を診断基準として使うのか、ということについて説明した動画があります。
どうして診断基準なんてものがあるのか、なぜ使うのか、気になった方はご覧になってください。
ICD-10とは
正式名称は「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)」といって、WHO(世界保健機関)が作成したもので、精神疾患だけではなく、疾患全般に対応しており、14,000種類もの疾病が分類されています。
1900年に第一版が採択されたとても古いものですが、2021年現在は2018年に発表された第十一版があります。
しかし、実際の現場で使用されているのは、1990年に発表され、2003年に改訂された第十版です。
法令や行政が障害や疾病について取り上げるときは、基本的にはICD-10が決めた「疾病コード」というものを使います。
注意点
どちらも、自己診断には使えない、という注意点があります。
DSM-5には、「熟練した臨床家」が使うためのものである、という記述が初めにあります。
熟練したお医者さまが診断基準の一つとして使用するものであって、自己診断をするために一般の人が使うものではないということです。
ICD-10も、一般の人向けに書かれたものではありません。
そして何より、診断というのはお医者さまがするものです。
DSM-5やICD-10に基づいたセルフチェックなどもありますが、それらについても、あくまでも疑いがあるかを確かめ、医療機関への受診をするかどうかの目安にするにとどめたほうがよいでしょう。
実際のテストにはどんなものがあるの?
ここでは、専門機関が実際に行うテストについて見ていきます。
行うのはお医者さまですが、保護者の方も一緒に受けることになるので、どれがどんなものなのか、基本的なことだけ押さえておきましょう。
検査には、二種類あります。発達検査というものと知能検査というものです。
発達検査
発達検査は、知的な能力だけではなく、子どものこころと体、社会性などがどのくらい発達しているかを調べる心理検査の一つで、0歳児から対象となります。
主に、乳幼児がどのくらい発達しているかを把握するための材料として使用されます。
何歳くらいまで発達しているかを示す発達年齢(Developmental Age:DA)と、発達年齢を本人の実際の年齢で割って百倍した数値である発達指数(Developmental Quotient:DQ)によって表されます。
以下は、発達障害を調べる発達検査の例です。
新版K式
京都市児童院(現在は京都市児童福祉センター)というところで開発された、発達の偏りや遅れを調べる検査です。
「姿勢・運動」、「認知・適応」、「言語・社会」の三つの領域で発達の遅れや偏りを評価するものです。
検査は検査する人と被検査者、つまりお子さんの一対一で行われます。
音が鳴るおもちゃやミニカーなど、子どもが興味を示すものを使って、普段通りの行動を観察することで検査します。
対象となる年齢は生後100日後から成人まで、かかる時間は個人差はありますが、15分から1時間程度です。
発達に偏りや遅れがあると判断された場合などは、一度の検査で障害の有無を決めるのではなく、経過観察をして何度か検査を受けるようです。
KIDS乳幼児発達スケール
公益財団法人発達科学研究教育センターというところが発表した検査です。
約130項目の質問に対して、保護者が日常生活に照らし合わせて〇か×で回答していきます。
質問の内容は様々で、体全体の動きや手指などの動き、ことばの理解、話せる言語、言語の理解、友だちとの協調性、大人との関係、社会生活での基本的なルール、食事の基本的なルール、といったことについてです。
対象となる年齢は0歳1ヶ月から6歳11ヶ月まで、かかる時間は個人差はありますが、10分から15分程度です。
専門機関以外でも、自治体にある児童発達支援センターや家庭児童相談室などでも実施していることがあるようです。
遠城寺式乳幼児分析的発達検査
これは九州大学の遠城寺宗徳教授らが発表した、日本初の乳幼児向けの発達検査です。
対象となる年齢は0ヶ月から4歳7ヶ月まで、かかる時間は個人差がありますが、30分程度です。
検査をする人が、保護者と子どもの関わりを観察します。
特に特別な器具を使ったりはしません。
移動運動、手の運動、基本的な習慣、対人関係、発する言語、言語の理解といったことについてみていきます。
簡単なテストを、4~5ヶ月の間隔で行います。
知能検査
知能検査は、物事に対する理解や課題を解決できるかなどの認知能力を調べる心理検査で、主に、2~3歳以上の子どもが対象になります。
検査によって違いはありますが、知的発達の水準を年齢で表した精神年齢(Mental Age:MA)や知能指数(Intelligence Quotient:IQ)の数値を使って表されます。
以下は、知能検査の中で発達障害を調べる検査の例です。
WISC
「Wechsler Intelligence Scale for Children」の略です。
ウェクスラー式知能検査という、70年以上の歴史を持つ知能検査のうちの、児童用のものです。
対象年齢は5歳0ヶ月~16歳11ヶ月で、時間は、60分から90分ほどかかるようです。
「言語理解指数(VCI)」「知覚推理指標(PRI)」「ワーキングメモリー指標(WMI)」「処理速度指標(PSI)」という四つの指標と全体的な認知能力を表す「全検査IQ(FSIQ)」を合わせた五つの項目の合計得点によって知的な機能を測定します。
- 「言語理解指数(VCI)」は言語によって理解したりや推理、思考したりする力の指標です。
- 「知覚推理指標(PRI)」は、視覚的な情報を把握したり推理したりする力の指標です。
- 「ワーキングメモリー指標(WMI)」は、一時的に情報を記憶して処理する力に関する指標です。
- 「処理速度指標(PSI)」は、視覚情報を処理するスピードに関する指標です。
WISCについては、詳しい記事がありますので、ぜひご覧ください。
田中ビネー知能検査
心理学者の田中寛一によって出版された個別式の知能検査で、日本人の文化や生活様式に合わせた検査になっています。
対象となるのは、2歳から成人までと幅広いです。
検査を受ける子どもの生活年齢(CA)に合った年齢の問題から取り組んで、一つでもクリアできない問題があった場合には年齢の級を下げることで、すべての課題をクリアできる年齢の下限を特定します。
課題をクリアできた場合には、上の年齢の問題に進んで、上限を特定します。
これによって、精神年齢(MA)を算出して、生活年齢(CA)と比較することで知能指数(IQ)とするように作られています。
繰り返し実施するかですが、同じ問題を何度も繰り返し受けることで答えを覚えてしまうことがないように、一年以上あけるようにすることが望ましいとされています。
テストを受ける意義
ここでは、テストを受ける意義についてまとめます。
子どもを支援するため
診断を受けて、発達障害かそうでないかがわかることも大切です。
しかし、もっと大切なのは、子どもの特性を知ることで、どこが強みで、どこが弱みかを知ることです。
それを知ることで、発達障害であろうとなかろうと、子どもに合った日常生活での補助や進路選びなどをすることができるようになります。
子どもが困っているときに、「何が原因で困っているのかがわかるようになる」ことで、「どう手助けすればいいのかわかるようになる」という意義があるのです。
公的なサービスを受けるため
もう一つは、公的なサービスを受けるために診断が必要になる、という点です。
医療費の助成や、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳などの取得など、公的なサービスを受けるためには、医師の診断が必要になります。
療育手帳や精神障害者保健福祉手帳のメリットについて書かれた記事があります。
よろしければご覧ください。
発達障害と診断された場合に国や自治体から受けられる手当の制度についてまとめられた記事があります。
よろしければご覧ください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
少し難しい内容だったので整理すると、以下のようになります。
- DSM-5やICD-10はテストの名前ではなく、医師が使う診断基準や分類の名前
- 発達障害を診断する検査には「発達検査」と「知能検査」がある
- 診断はあくまで医師がするもの
- セルフチェックをしても、決めつけず、疑いを持つ程度に留める
テストの結果からお子さんの強みと弱みを知って、適切な支援をしてあげられるようにすることが、何より大切なのではないでしょうか。
ここまでお読みいただきありがとうございました。