皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます! 今回のキーワードは「自閉症 遺伝する」についてです。
「子どもは欲しい。でも自閉症が遺伝しないか心配…」 「上の子が自閉症だけど、下の子はどうなるの?」
このような悩みを抱えている方は数多くいらっしゃいます。 「家族を悪者にしたくない・・・」という思いから、誰にも相談できずにいる方も多いですよね。
この記事では、まず「自閉症って、遺伝するのかな?」という疑問に1つの答えを示し、次に遺伝の仕組み、環境要因について解説します。
知識を押さえ、今まで誰にも聞けなかった悩みを解消しましょう!
目次
自閉症をもたらす誘因
自閉症の明瞭とした原因は未だに分かっていません。
しかし、遺伝的要因があることは明らかになっています。
双生児研究(ふたご研究)で分かったこと
自閉症の遺伝については、たくさんの双生児研究(ふたご研究)が行われてきました。
研究の内容は、遺伝子情報が同じとされる一卵性双生児のうち、一人が自閉症である場合、もう一人もまた自閉症である確率は何%であるか、というものです。
結果は、
・二卵性双生児 0~30%
・普通の兄弟 5~10%
参考:LITALICO発達ナビ 自閉症は遺伝する確率があるの?きょうだい、父親、母親との関係は?、AERA dot.「兄が発達障害。自分も遺伝しているかもしれない」という相談に精神科医の答えは? 医療が届かずに悩んでいる方へ 一精神科医の切なる想い
数字に開きがありますが、遺伝子情報が近いほど遺伝しやすいと考えることができます。
上記から推測すると、自閉症の方がいる家系は、生まれてくる子どもの発症リスクは高くなると言えるでしょう。
一方で、研究結果をご覧になると、顔や体つき、体質などの情報が同じとされる一卵性双生児でさえ、100%遺伝するとは言えないことが分かります。
膨大な数が、突然変異する
自閉症は、何百もの遺伝子の突然変異によって引き起こされます。
もう少し詳しく言えば、自閉症の特徴を伝達する遺伝子が、「偶然且つ複数」遺伝した場合、診断される場合があるのです。
誰もが発達障害らしさを持っている
自閉症の中核的症状として、「言葉の遅れ」「コミュニケーションの難しさ」「強いこだわり」の3つが挙げられます。
もしかすると、皆さんの中にはこう思った方がいらっしゃるかもしれません。
「これって私のことかも・・・」
お気づきの通り、人は誰でも「発達障害の特徴」を少なからず持っています。 中には、注意欠陥多動性障害(ADHD)や限局性学習障害(LD)の傾向がある方もいらっしゃいます。
発達障害の特徴については、以下の記事で確認できます。
この誰もが持っている発達障害の特性が複数、または社会生活に困難を生じる程度に濃く発現すると、診断が付きます。
自閉症が遺伝し、診断されるまで
自閉症は、「言葉の遅れ」を発現させる遺伝子と、「コミュニケーションの難しさ」を発現させる遺伝子、「強いこだわり」を発現させる遺伝子が、たまたま数百くらいの規模で子どもに伝わり、日常生活に支障をきたす場合に診断されます。
この遺伝は親から受け継がれるだけでなく、突然ある世代から始まることもあると考えられています。
発症要因は他にも存在する
先ほどまでは遺伝的要因について説明しましたが、自閉症の発症原因については、色んなことが考えられています。
判明している環境的要因
現在(2021年)の時点で分かっている環境的要因として、
・妊娠初期の喫煙 →発症リスクが1.4倍となることが分かっている。 →妊娠中の母親の受動喫煙では、3.47倍となる。
・特定の物質 →てんかん薬等に含まれるバルプロ酸を、胎児の脳が発達する期間に妊婦が服用すると、発症確率が上がる。
等が報告されています。
とは言え、これらが必ずしも自閉症を誘発するとは限りません。 明確になってない部分が多く、より一層の研究が必要です。
こちらの動画では、中国の遺伝学者ウェンディ・チャンが、自閉症についてプレゼンテーションしています。(環境的要因の解説は11:20頃~)
否定されている環境的要因
1940~1970年代までは、「自閉症は親の育て方が悪いから発症する」という考え(自閉症心因論)が蔓延していましたが、現在は否定されています。
そして、近年は新型コロナウイルスの流行により、ワクチンの影響を心配する声もありますが、多くの研究でワクチン接種と自閉症の関連性はないことが明らかになっています。
まとめ
今回は自閉症の遺伝と環境的要因について解説しました。
・複数の遺伝子の突然変異によって発症する
・様々な環境的要因が考えられる
それぞれの家庭によって事情は違いますが、やはり近親者からの遺伝を心配する人も多くいらっしゃるでしょう。
不安を感じたら、一人で悩まずに、お近くの児童精神科や療育機関、発達障害者支援センター、保健センター等に相談してみてください。
専門的な知識を持つスタッフが、あなたの悩みに寄り添い、適切なアドバイスをしてくれます!