皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害 分からない」についてです。

発達障害がある人は、手足が不自由な訳でも、車椅子に座っている訳でもありません。しかし、社会の中で生きづらい特性を持っているのは、紛れもない事実なのです。

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橋口
周りにいる発達障害の人も、見た目は至って普通です。
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小野田
それでは、実際にどんな悩みを持っているのか、注目していきましょう。

どんなことが起きる?

車椅子に座っている人が階段の前で困っていたり、白杖を持った人が横断歩道の前で待っていたりするのを見掛けたら、声を掛ける人も多いのではないでしょうか。明らかに障害があると分かると、手を差し伸べる人は多いでしょう。

しかし外見から判断するのは難しい発達障害の場合は、どんなことが起こるでしょうか。

誤解や偏見を受ける

見た目は「普通の人」ですから、発達障害の特性を目の当たりにすると「変わった人」「空気が読めない人」と思われてしまいます。忘れ物が多い、ミスが多いなど、学校や職場でも「ダメなやつ」と浮いた存在になってしまうこともあるしょう。

特に社会人で仕事をしていると、様々なことに責任が伴いますので、ミスが多いことは信頼を失うことにも繋がってしまいます。

支援を受けづらい

障害の有無が分からないので、声を掛けにくく、手を差し伸べる人も少なくなってしまいます。職場や学校で、先に「変な人」とレッテルを貼られてしまうと、より悪循環に陥ってしまうことも考えられます。

そもそもどんな特性があるの?

生まれつき脳の機能に障害があることで生じます。厚生労働省が発表している、主な種類や特性を紹介します。

自閉スペクトラム症3歳くらいまでに表れる。コミュニケーションが苦手、社会性の乏しさ、言葉の発達の遅れ、興味関心が狭く特定のものにこだわる。
注意欠如多動症注意力が散漫、忘れっぽい、衝動的・多動的で落ち着きがない。学校生活で支障をきたす場合が多い。
学習障害聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち、特定のものが極端に苦手。
チック症意図せず起こってしまう素早い身体の動きや発声。まばたきや咳払いなどの運動チックや音声チックがある。
吃音滑らかに話せない状態。音を繰り返す、音が伸びる、なかなか発音できない、など様々な症状がある。

参考:厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス

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都築
その人と少しでも関われば分かりそうな特性もありますが、殆どが一目見ただけでは分からなそうですね。

生きづらさを軽減させるために

発達障害の人が社会で生きづらさを感じてしまうのは、周囲の理解が得られないことが大きな理由にあります。

発達障害という言葉が日本に入ってきたのは、1987年にアメリカ精神医学会で発表された後からです。2000年代に入ると、メディアなどでも取り扱われるようになり、見聞きする機会が多くなりました。

しかし、他の病気や障害と比べ、認知され始めてから日が浅く、まだまだ正しく理解している人が少ないのが現状です。苦手なことがある発達障害の人も、適切な配慮があれば、生きづらさは軽減します。

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小野田
では、社会で生きづらさを軽くするために、どのようなことをしたら良いのでしょうか?

周囲の人に事実を伝える

「発達障害のため苦手なことがある」と伝えると、理解や支援を受けやすくなることがあります。人により特性の出方が違いますから、支援の内容を具体的に説明すると良いでしょう。周囲の人が幼い小学校低学年くらいまでは、公言した方が上手くいく可能性が高いそうです。

しかし、多感な年頃になってくると、公言することが本人にとって精神的な負担となることや、周囲からの誤解や偏見も生じやすい場合があります。まずは信頼できる先生や上司などから相談をすると良いでしょう。

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都築
とてもデリケートな問題なので、周囲に公言するか否かは慎重に判断する必要がありそうですね。

SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)を学ぶ

社会生活技能訓練とも呼ばれています。生活の中で起こっている問題や、今後起こりうる問題を想定し、訓練をします。内容としては、テーマに沿って参加者でロールプレイをしたり、ディスカッションをしたりするようです。

実際に体験をしながら適切な対応方法などを学んで、経験を積むことで、実生活にも活かせるようになると言われています。

SSTに関する記事はこちらからどうぞ。

障害者のための法律

いくつかありますが、ここでは2つ紹介します。

障害者差別解消法

障害のある人に合理的配慮などを行い、共生社会を実現することを目指した法律です。

障害の有無に関わらず、「全ての人は皆平等である」という当たり前の価値観を再認識し、社会全体で共有していくことが何よりも大切だ、という考え方です。

2016年4月に施行され、行政や国公立の学校などで義務化されました。民間事業者では努力義務でしたが、2021年5月の改正で義務となりました。

合理的配慮

障害のある人にとって、社会の中には生活しづらくなる要因(バリア)が多数あります。本人からバリアを取り除く対応をしてほしいと意思表示があった場合、負担になり過ぎない範囲で対応することを求めています

バリアとは社会的障壁とも言われ、設備などのハード面とルールや偏見などのソフト面の両方を指します。

参考:内閣府 「合理的配慮」を知っていますか?

具体的な対応などが知りたい場合は、こちらの動画をご参照ください。

社会的障壁

 内容具体例
物理的施設や設備など路上の放置自転車、幅の狭い通路、急勾配の通路、段差や階段、
電車とホームの隙間、滑りやすい素材の床、
車椅子利用者が届かない位置のボタン(エレベーターなど)
制度的ルールや条件など入試や試験などで、障害を理由に受験や資格などの付与を制限。
印字された文字のみの試験問題。
申込方法が来店のみなどの受付。盲導犬の入店拒否。
慣行的情報提供など
(公的に決まってはいないが、少数派が従うしきたり)
視覚でしか分からない署名や捺印。音声案内の無いタッチパネル式の操作盤。音声のみのアナウンス。点字・手話通訳のない講演会。分かりにくい案内や難しい言葉。注意喚起は赤色を使う。
観念的無知、偏見、無関心など「精神障害者は何をするか分からない」といった偏見。
白杖を持った人が困っているのを見掛けても無視。
障害がある人は可哀相な存在だと決めつける。
点状ブロックの上で長々と立ち話をする。

参考:政府広報オンライン 知っていますか?街の中のバリアフリーと「心のバリアフリー」

障害者雇用促進法

障害のある人の職業を安定化させるための法律です。1960年に身体障害者の雇用促進の努力義務から始まり、改定が繰り返され、2018年4月から精神障害者も含まれました。

本人の自立を実現するための職業リハビリテーションや事業主側の義務や差別の禁止などが定められています。

障害者雇用枠

障害者手帳、又は療育手帳を所有していると、最初から発達障害を公言した上で就職することもできます。通院時間を確保してもらえたり、障害に合わせたサポートが受けられたりします。
しかし雇用枠が狭いことや、簡単な仕事に回される場合もあり、必ずしも自分がやりたい仕事に就ける訳ではありません。誤解や偏見を受ける可能性もあります。

発達障害に関する法律をもっと知りたい人は、こちらに参考記事がありますのでお読みください。

証明する手段

見た目からはわかりづらい発達障害であることを証明する手段があります。

障害者手帳

障害者手帳とは身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3つを指します。この中で発達障害のある人が取得できるのは精神障害者保険福祉手帳です。知的障害があれば療育手帳の取得も可能です。

障害者手帳を持っていると、様々な公的サービスを受けられます。詳細が知りたい方は、下記記事が参考になります。

ヘルプマーク

支援を必要としている人が、ヘルプマークを公共の場で身に付けることによって、周囲の人に知らせるために作られました

見た目からでも分かる障害の人は勿論、見た目では分かりづらい発達障害の人、妊娠中の女性など、支援の必要がある人なら誰でもマークを付けることができます。

ヘルプマークの裏面には、どんな支援が必要なのか書かれているシールが貼ってあります。

マークの取得は自治体によって異なりますが、役所の窓口、保健センター、市民センターなどから申請できます。東京都発祥のマークですから、東京都内の地下鉄各駅でも申請できるそうです。

まとめ

  • 外見から判断できないことで誤解や偏見を受けやすく、支援を受けづらい。
  • 周囲の人の正しい理解が必要不可欠。
  • 障害者を守る法律がある。
  • 障害者手帳やヘルプマークを活用する。

外見で発達障害の有無は判断できないことから、傷ついたり苦労したりすることがあります。皆が正しい知識を持っている訳ではないことが、誤解や偏見、差別の原因にもなっています。

発達障害であることを周囲に伝えた後も、必ず理解や適切な配慮が受けられる訳ではないところも厳しい現実です。しかし、法整備がされ、少しずつですが人々の理解は進んでいます。

この記事が発達障害への理解に、少しでも役に立てたら幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。