皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害聴覚過敏」についてです。
発達障害の中には感覚過敏もしくは感覚鈍麻を持ち合わせている人もいます。後ほど詳しく述べていきますが、特にASDの方に多いとされています。
これをお読みの方は日頃の視覚や聴覚などに「辛いな」「耐えられない」などと思う方はいるでしょうか。
明るいところでとても眩しく感じてしまう視覚過敏、特定の肌触りは受け付けない触覚過敏、 味覚に偏食がある味覚過敏などなど……。様々な感覚過敏があり、それによって日常生活に支障がでる方もいるのが現実です。そしてそれらは他の人からにはわかりません。普通の人には「普通だ」と感じても感覚過敏を持った方にとっては苦しみを抱えていることも多いようです。
この記事では、特に理解がなされにくく誤解を生みやすいと言われる発達障害における聴覚過敏について、詳しく取り上げていきます。発達障害の聴覚過敏について理解を深め、聴覚過敏を持った方への適切な工夫や対処ができるようになりましょう!
目次
発達障害の聴覚過敏とは『不快感』を伴う特性です
聴覚過敏のない方は、車の音、電車の音、生活におけるさまざまな音にさほど「うるさい」「不快だ」「耐えられない」などと思わずに普通にやり過ごすことができているのかもしれません。ちょっとうるさい音でも我慢できるでしょう。
聴覚過敏をお持ちの方は、場合によってはそれらの音が耐えきれなくなるほど苦痛だったり、その場から一刻でも早く離れたくなるようです。普通の人と聴覚過敏をお持ちの方の聞こえ方はとは一体何が違うのでしょうか。
聴覚過敏とはどういう状態?
聴覚過敏とは『周りの音が激しい苦痛や不快感を伴って聞こえる状態』です。しかし明確な定義ははっきりと決まってはいません。医師や専門家による定義は様々というのが現状です。
では一応の定義である『周りの音が激しい苦痛や不快感を伴って聞こえる状態』とありますが、聴覚過敏の人にはどのように聞こえているのでしょうか。音の聞こえ方というのは聞こえる当事者にしかわからないものですから、当事者の声を集めて見ました。以下のとおりです。
- 大勢のなかでは相手の声を選んで聞くのが難しい
- 救急車等のサイレンの音が苦手で怖い
このような声が見受けられます。
当事者が感じる音の恐怖
聴覚過敏をお持ちの方のツイートから伺えるのは、特に救急車やパトカーなどのサイレンの音など特定の音に過剰な反応を示してしまうことです。
つまり、
大きな音や特定の音を嫌がる、怖がる
聴覚情報を取捨選択できない
ということが挙げられます。
救急車やパトカーは必要な音ですので街中でなっていても仕方がないものです。しかも日常生活を送っていれば何度となく聞こえます。そのような日常から聞こえる音・多くの人にとっては気にならない程度の音でも、異常に大きく聞こえてしまい耐えられないようです。
もちろん聴覚過敏をお持ちの方全てが、一定の音に不快感を持つ……と一括りにはできません。音の聞こえ方が全ての音に過敏な場合、特定の音だけに過敏な場合、それぞれ個人差があります。
言葉で説明されても、聴覚過敏の方がどのように聞こえているのか、当事者でないとわかりませんよね。そこでYouTubeで聴覚過敏の聞こえ方を疑似体験できる動画が上がっていましたので共有したいと思います。
私も聞いてみましたが、周りの雑音が大きすぎて聞きたい声が聞こえなくなってしまいましたよね。話しかけている女性の声は全く聞こえません。このように、必要な音が聞こえなくなってしまい、都会の雑踏のような雑音が大きくなってしまうのです。
日常生活に支障をきたしかねない聴覚過敏
日常生活を送る中で、人はさまざまな音が聞こえる中で暮らしています。聴覚過敏でいると、その日常の音さえ過敏に聞こえてしまい、日常生活に支障をきたしかねない状態になってしまいます。
身近な例でどんな症状が出てしまうのか
聞こえ方が極端なため、特定の生活音にも大きく反応してしまうこともあります。その場合、身近なところで生活に支障をきたしてしまうようです。
身近な音でどのような症状が出てしまい、過敏に反応した結果どうなるのかを解説します。
買い物客の話し声、カートのきしむ音、エスカレーターの動く音、音楽、館内放送など、様々な音がまるで洪水のようになっていて、極端に疲労してしまう。
→ 買い物に行けない・行くことが苦痛となる。
パーティーや宴会はさまざまな人がそれぞれ会話をしているため、会話の中で雑音が気になってしまい、一つの音が聞き取れない。
→ 目の前にいる人との会話に集中できない
ショベルカーやドリルの音が地鳴らしのように鳴り響き、大きな音に驚く。また音が大きすぎるために耳を塞いでも落ち着かない。
→ 頭痛を伴うような苦痛になってしまう。その場を離れようにも時間がかかる。
突然聞こえる警報器のカンカンという音に驚く。
→ 踏切から離れる、電車を待つなどの行動がすぐに取れなくなる。
駅の雑踏での騒音や人の多い朝の通勤ラッシュの騒音
→ 体調が悪くなるなり電車に遅れかねない
スーパーや踏切や電車などは生活に根ざしているものであって、変えることはできませんよね。聴覚過敏を持った方は生活がしにくくなってしまうことも考えられます。
聴覚過敏で無理をした結果
聴覚過敏によって聴覚が刺激された結果、ストレスを抱えてイライラしてしまうことや、ぐったりと疲れ切ってその後寝込んでしまうこともあるそうです。
疲労がたまったり不安が強くなったりすると、聴覚過敏症状が出やすくなることが多いです。体調が悪かったり、ストレスが高まった状態の時に症状が強くなることもあります。
音でストレスを抱えてしまい、普通の人より疲労が溜まり、また聴覚過敏がひどくなるという負のループになってしまう恐れもあります。
お子さんはどうでしょうか?
ここで、お子さんが聴覚過敏の可能性があるのか、チェックをしてみましょう
これらの行動をしていたら、以上のような悩みを抱えた聴覚過敏の可能性があります。
子どもの聴覚過敏チェックリスト
いかがでしたか? お子さんは当てはまっていたでしょうか。
後述しますが、放っておくと悪化しかねない他、周りからの理解も得られにくく本人が苦労することになってしまいます。
当てはまっていなかったのならとても安心ですね。
気になる方は本人から話を聞いてみたり、医師に相談してみるのもいいかもしれません。
実はなかなか理解されない聴覚過敏の苦しみ
聴覚過敏をお持ちの方が苦手な音は人によって異なります。大きな音は平気でも特定の音に大きく反応したり、突然音がすると体が止まるほど驚いてしまう人もいます。
しかし、音が聞こえるのも苦しいですが、それより辛いのは我慢しなければならなかったり、理解がされないことのようです。音は主観的なもので音の聞こえ方は人それぞれです。しかし、人はどうしても自分が聞こえた音の感じ方が相手にも同じように聞こえたと思ってしまいます。
同じ音を聞いている人からしてみたら、普通の聞こえ方の人は「我慢できる」と思ってしまいます。そのように思われた音にあまりにも驚いていたり戸惑ったりしていると「慣れていない」「我慢ができないんだ」の一言で片付けられ「そのうち慣れるよ」と言われてしまって配慮がなされないこともあります。
もっと酷いと「我慢ができないなんてわがままだ」「怠けている」と思われることも。
特に小さい子どもだと伝え方が不十分なため、声の大きい(と思っている)子に対して注意をしてしまい周りからの反感を買い、逆に責められる……という悲しい例もあるようです。
周囲からの理解が得られにくいのがこの特性の厄介な点です。
謎が多い特性です
発達障害の聴覚過敏はなぜ起こるのでしょうか。原因はさまざまです。
ASDの方に多い特性です
この聴覚過敏は発達障害のASDに併発することが多いようです。
DSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)によると、発達障害における聴覚過敏は、主にASDをお持ちの方に多いとされています。よって発達障害のASD(自閉スペクトラム症)の特性の一つとして挙げられています。
とはいうものの、確かにASD(自閉スペクトラム症)の人に多い特性ではありますが、聴覚過敏だからといってASDである、ASDだから全ての人に聴覚過敏があるとは言えません。
詳しい原因はわかっていません
ASDの人に感覚過敏が多いことは知られていますが、残念ながら詳しい原因はわかっていません。耳から入った音が脳で処理される際に感覚が敏感になるため、耳の機能異常もしくは脳の情報処理に原因があると考えられていています
よって「親の育て方が悪い」とか考えることは間違いです。聴覚過敏があることをその子の生まれ持った「個性」と捉えて、うまく向き合っていく方法を探っていきましょう。
聴覚過敏を克服するために
ここからは対処法について述べていきます。聴覚過敏は特性の一つであり治すことは難しいものですから、正しい対処法で聴覚過敏を克服していきましょう。
聴覚過敏を放置していると事故につながることも
聴覚過敏は苦手な音が聞こえた時に耳を塞いでしまいます。子どもの場合だと耳を塞ぐために姿勢を崩したり、前後左右を確認することなく走り出して逃げようとするなど、危険な行動を取りかねません。
場合によっては慌てて怪我をしてしまったり、事故になってしまうことも。
苦手な音や不快な音を放置してしまえば苦手意識をより持つことになり、聴覚過敏の症状を強めてしまう恐れもあります。
悪化につながるため、無理はさせない
大切なことは、子どもが嫌がること・嫌がる環境を無理強いしないことです。嫌なことや怖いと感じることから無理に慣れさせるのは困難ですし、時間も精神的負担もかかってしまいます。
嫌がることを繰り返しやらせたり、慣れさせようとしたりしては、それでは「自分にはできない」「どうしても慣れない」と考えてしまって自己肯定感が減って自信が持てなくなってしまいます。
感覚過敏は脳の刺激の受け取り方の特性でもあるので、努力で無理やり治すことは難しいです。そのために適切な対処法や周囲の工夫が必要となります。
大丈夫、さまざまな対処法があります
ではどのように対処するのがいいのでしょうか?
落ち着ける避難所のような場所を作ってあげるたり、静かなところに移動させてあげたりしましょう
イヤーマフ・耳栓・ノイズキャンセルイヤホン・ヘッドホンを着用しましょう
また、それをつけていることを周りの人に伝えておきましょう
イヤーマフについてご紹介します。
イヤーマフは子供用から大人用までさまざまなタイプがありますが、中でも評価が高かったもの(星4以上)をご紹介します。まずは「ペルター イヤーマフ H510A 黄色 強度騒音」です。
参考新品価格:4348円(トランスタイル楽天市場店 2021/06/26現在)
値段は少し高めかもしれませんね。
こんなレビューがあります。聴覚過敏の方に多くつけられていて、満足度は高いようです。
高評価
・聴覚過敏の娘(支援学校)に購入。どうしても耳を塞ぎっぱなしの時に大活躍です。
・聴覚過敏の4歳の男の子です。きつくなく必要なとき使ってます。使いやすく気にいってるみたいです
・聴覚過敏があり、耳をよく塞ぐストレスから解放された気がします。
・びくっとすることがなくなりました。
ただこのような声もあり、締め付けが少しきついと感じる方もいるようです。
低評価
・少し、締め付けがきついみたいです
・息子に使わせたくて、買いましたが小さくて使ってくれませんでした
購入を検討される際はレビューや評価をご参照ください。
イヤーマフ以外にも、YouTubeの「あっちゃんファミリー」チャンネルでは対策グッズ(完全ワイヤレスイヤホン、イヤーマフ、デジタル耳栓)について紹介されています。こちらもよろしければご覧ください。
テレビの音がうるさければ、音を小さくしたり消したりしてあげましょう
ストレスで聴覚が過敏になっている時や該当の音を聞いてストレスが溜まった時に、その子なりの発散できる方法を作っておきましょう
本人の状態を周囲の人と共有しておきましょう
本人の辛さがあまりにも強い場合、病院で薬物療法を行いましょう
また、感覚過敏の方の治療法として「感覚統合療法」というものがあります。
感覚統合療法
周囲からの様々な刺激・感覚を整理して、無意識に適切な行動にうつす際の、頭の中でのプロセスを「感覚統合」と言います。感覚統合にはたくさんの感覚の中でも「触覚」「前庭覚」「固有覚」が特に重要とされ、それらを遊びや運動を通して学び練習することを感覚統合療法と言います
kidsrepubli H Pより
家族や周囲の人ができる配慮
誤解を生みやすいこの聴覚過敏では、本人と家族など周囲の人とのコミュニケーションが必要不可欠です。何の音がうるさいと感じているのか、どんな音が特に苦手なのか、把握しておきましょう。
家族や周囲の人ができる配慮としては、
なんの音が嫌なのか、どのように聞こえるのかを尋ねましょう
急に話しかけないようにして、最初に呼びかけるなどして心の準備をさせましょう
大きな声で怒鳴ることはだた恐怖を植え付けるだけです
大きな音が出ることが事前にわかっているなら、声をかけて伝えましょう
なるべく苦手な音が出ないように工夫してあげましょう
以上のことが有効ではないでしょうか。本人や周りの環境にあったものを採用していきましょう。
合わせて見ておきたい記事として、当サイトで以前書かれた「音に敏感な子」という記事もとても参考になります。よろしければご覧ください。
子どもの接し方や話しかけ方については以下の記事もとても参考になります。
まとめ
この記事では発達障害の聴覚過敏についてまとめていきました。
- 発達障害の聴覚過敏とは『不快感』を伴う特性である
- 聴覚過敏は日常生活に支障をきたしかねない
- 実はなかなか理解されない
- 発達障害の聴覚過敏は謎が多い
- 本人や周囲の人ができる対処法と工夫
ここまでお読みいただきありがとうございました。実際に困っている聴覚過敏の方、その傾向がある発達障害の方、支援する方などのお役に立てたら幸いです。