皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害 検査内容」についてです。
自分の子どもについて「発達障害かどうかを知りたい」と思ったとき、しかし「どうすれば分かるのだろう」という疑問が浮かびませんか?
発達障害とは、病気や疾患の類ではありませんが、医師などに診断してもらってはじめて分かるものです。その診断の際には多くの場合、検査が用いられます。
この記事では、発達障害の診断に用いられるいくつかの検査について、種類別に紹介したいと思います。
現に「検査を受けたい」と考えている方など、ぜひ参考にしてほしいです。
※発達障害の診断に際して、血液検査や脳波検査、MRI検査が用いられることがありますが、今回の記事では「心理検査」などの検査について取り上げます。
目次
発達障害の検査って?
発達障害であるかを調べるために用いられる検査は、いくつかの種類があります。そのほとんどが「面接形式」によるものです。
面接では心理士などの専門職員が、保護者に対して定型の質問をし、または子ども本人にテストのような課題を与え、得られた結果から評価をします。つまり種々ある検査で何をするかを一言で言い表すなら、「面接」あるいは「テスト」をする、ということになります。
例えば、後述する発達検査や知能検査もそれぞれに違いはあれど、保護者への面接、もしくは子ども本人に課題を与え、評価する、という内容になっています。
こちらの動画は、発達障害の当事者の方が、自身が検査を受けた時の話をしているものです。参考になるかと思いますので、ご覧ください。
スクリーニング検査について
次項より紹介する検査ですが、その多くが「スクリーニング検査」の性質を持っていると言えます。
スクリーニング検査は、「ふるい分け検査」とも言われます。これだけでも分かる方がいるかもしれませんが、今回紹介する検査に関してその意味とは、「同年齢の他の子たちのデータと比較する」ことで、その子が発達障害であるか否かの診断をする指標とする、ということです。
とは言え、これは決してネガティブな意味ではありません。なぜなら、子ども本人の現状を平均的なデータと比べることで、発達の凹凸を調べることができるからです。それらをしっかりと知ることは、子ども本人の困りごとを周囲が理解し、支援へと展開していくための第一歩と言えます。
どんな検査があるの?
発達障害の診断の際に用いられる主な検査は、「心理検査」に分類されるものです。そしてそれらは、「発達検査」と「知能検査」に大別することが出来ます。
この項では、発達検査と知能検査について、それぞれ紹介します。
※注意※
これから紹介する検査は、それぞれ「発達検査」と「知能検査」のうち、あくまで一部になります。また、使用される検査は各検査機関によって異なります。
発達検査
発達検査では、主に乳幼児期や学童期の子どもについて、同じ年齢の他の子と比較をすることで、現時点での発達の度合い(遅れなど)を評価します。
主な発達検査として、以下の種類があります。
対象年齢:0歳~4歳8カ月
特徴:乳幼児の発達について、「運動(移動運動・手の運動)」「社会性(基本的習慣・対人関係)」「言語(発語・言語理解)」の3分野6領域に分けた質問を行う。
対象年齢:7歳まで
特徴:主に保護者などの養育者に対して、子どもの「運動」・「探索」・「社会」・「生活習慣」・「言語」の5領域の質問を行う。
対象年齢:0歳~成人
特徴:対象となる子どもが遊びの感覚で受けられる。「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」の3領域について評価する。本人の発達を全体的に捉えるためのもので、スクリーニングを目的としていない。
対象年齢:0歳~6歳
特徴:保護者に対して、およそ130項目の質問を行う。「運動」「操作」「理解言語」「表出言語」「概念」「対子ども社会性」「対成人社会性」「しつけ」「食事」について評価する。10~15分程度の短時間で検査することが可能。
対象年齢:0歳~6歳まで
特徴:「個人-社会」「微細運動-適応」「言語」「粗大運動」の4領域を評価する。
対象年齢:1歳未満
特徴:「刺激に対する反応」「乳児の運動」「社会性のめばえ」「身辺の自立」「まわりの様子の認知」「言葉のめばえ」の6領域について質問を行う。主とした目的はプレスクリーニング。
知能検査
知能検査では、名前の通り、本人の知能を調べます。知能とはいわゆるIQのことです。「IQテスト」と言えば、一般的にも認知されているかと思いますが、そのようなものです。
しかしこの知能検査は、それぞれの検査によって何をIQとするかが違います。主な知能検査として、以下の種類があります。
特徴:適用年齢は2歳~成人。全体的な知能の発達を検査する。各年齢の平均的な発達水準に対して現時点で本人が達している年齢、つまり「検査によって評定される本人の精神年齢」を、本人の「実年齢」で割った値に100を掛けて、知能指数(IQ)を算出する。(例:実年齢=4歳の子が検査の結果、精神年齢=5歳だった場合、5(精神年齢)÷4(実年齢)×100=125 IQ=125)
特徴:検査結果は、同じ年齢の集団と比較して算出される偏差知能指数(DIQ)で表される。「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリ」「処理速度」の4つの指標別の得点も分かる。成人用のWAIS(ウェイス)-Ⅳ、児童用のWISC(ウィスク)-Ⅳ、幼児用のWPPSI(ウィプシー)-Ⅲがある。
特徴:子どもの知的能力を、認知処理能力(継次処理、同時処理)と習得度(=基礎学力)の2側面から測定できる。教育的な支援に直接的に結びつけることができる。適用年齢は2歳6か月~12歳11カ月。日本版のKABC-Ⅱでは、認知処理能力について、さらに学習能力と計画能力が測定され、また適用年齢の上限は18歳11カ月まで拡大されている。
検査では発達障害か分からない?
さて、ここまでいくつか検査を紹介してきました。ですが、皆さんには一度立ち止まって、知っておいて欲しいことがあります。
それは、「発達/知能検査をすると発達障害かが分かる」という認識は正しくない、ということです。
発達検査や知能検査は、あくまで医師などによる診断のための指標なのです。
さらに、お茶の水女子大学名誉教授である榊原洋一氏は、近年では、注意欠如・多動症(ADHD)の診断において、WISCなどの知能検査が不必要に、あるいは過剰に行われているのではないかと指摘しています。
とは言え、種々の検査結果は、後に療育サービスや支援を受ける際の参考にすることができるので、一概に無用であるとは言えません。また、発達障害と併せて知的障害が疑われる場合、知能検査の結果が「療育手帳」の交付の基準となります。
つまり、これらの検査は診断の過程で受けることが出来るので、むしろおおいに活用するべきと言えます。ただし、発達検査や知能検査は指標であって、その結果は発達障害かどうかを示すものではない、という点を押さえておきましょう。
発達障害の「特性」を調べる検査
この項では、発達検査と知能検査について知っていただいた上で、新たに2つの検査について紹介します。
以下の検査では、発達障害児・者の「特性」を調べることができます。
AODS-2
国際的に有用だと認められている、自閉スペクトラム症に特化した検査。「言語と意思伝達」「相互的対人関係」「遊び/想像力」「常同行動と限定的興味」「他の異常行動」の5領域について、1時間程度の実施時間で評価する。
MSPA(エムスパ)
「コミュニケーション」「集団適応力」「共感性」「こだわり」「感覚」「反復運動」「粗大運動」「微細協調運動」「不注意」「多動性」「衝動性」「睡眠リズム」「学習」「言語発達歴」の14項目について、評価。発達障害の特性の程度と要支援度の評価尺度。
MSPAについては、こんなツイートもあります。
自分でも検査は出来る?
様々な検査があることを知ると、「それ、自分で出来ないのかな…?」と思われる方もいるのではないでしょうか。
しかし残念ながら、これまで紹介してきた心理検査(発達/知能検査)や前項のAODS-2、MSPAは、医師や心理士などの専門家でなければ扱うことができません。そもそも一般人では検査セットを購入することすらできず、仮に入手することができたとしても、専門的な知識や見地に基づいた分析が必要となるため素人では手に余ると言わざるを得ません。
セルフチェックについて
発達障害である可能性について、あくまで専門家の力を借りずに簡易的に調べたい、という方には、軽度発達障害フォーラムのサイト内にある、オンラインチェックをおすすめします。このオンラインチェックでは、「学習障害」「ADHD」「PDD(現・自閉スペクトラム症)」についてチェックすることが出来ます。
しかし、サイト内にも注意書きがありますが、オンラインチェックで得られる結果から発達障害かどうかを判断することはできません。子どもへの理解を深め、支援していくために活用するツールとして捉える必要があります。
またこちら動画で紹介されている有名なテストは、「発達障害かどうか」を計るものとして参考になるかと思います。また、特に自閉スペクトラム症の子の感覚を知ることもできて面白いです。よろしければご覧ください。
検査を受けるには?
さて、前項での結論は、「個人ではセルフチェックの活用などが限界である」ということです。となると、「では、検査はどこで受けられるのか」ということになるかと思います。
検査を行えるのは、医師または心理士などの専門職の人だけ、ということはすでに紹介しましたし、さらに診断を行うことができるのは当然ながら医師だけなので、「検査を受ける(=診断を受ける)」には病院へ行く、というのが答えになります。
しかし、病院ならどこでもいいのかと言えば、決してそうではありません。医師や病院にも専門がありますので、以下のような病院選びが必要です。
・本人が子どもの場合(児童期まで)
→小児科、児童精神科、小児神経科など
・本人が大人の場合、または子どもだが中学生・高校生以上の場合
→一般の精神科、心療内科など
・その他
→大学病院、総合病院など
大阪府の医療機関
ここでは、大阪府にある発達障害の診断が可能な医療機関を紹介します。以下は、主に児童精神科の病院です。
・たちメンタルクリニック
所在地 | 大阪府大阪市天王寺区上本町6丁目6-26 上六光陽ビル601 |
公式サイト | http://tachi-clinic.com/ |
・静波こころの診療所
所在地 | 大阪府大阪市北区錦町3-7 グランフォースビル3F |
公式サイト | http://shizunami-kokoro-clinic.com/ |
・けいクリニック
所在地 | 大阪府大阪市城東区鴫野西5-1-24 ビエラタウン鴫野JR鴫野駅NKビル2F |
公式サイト | https://www.kei-mental-clinic.com/ |
・住道こころのクリニック
所在地 | 大阪府大東市赤井1-5 ラプラス住道105号 |
公式サイト | https://www.suminodo-kokoro.com |
・さわだメンタルクリニック
所在地 | 大阪府堺市北区百舌鳥梅町3丁1-3 中もず牧原ビル2階 |
公式サイト | https://www.sawada-mental-clinic.com |
検査の費用
今回、紹介した検査のうち、以下のものは保険適用となっています。
医療診療報酬点数(令和2年改定) | |
80点 | ・遠城寺式乳幼児分析的発達検査 ・津守・稲毛式乳幼児発達診断法 |
280点 | ・田中ビネー式 |
450点 | ・ウェクスラー式 ・K-ABC ・MSPA |
医療費は、「医療診療報酬点数×10」で求められます。
例)田中ビネー式の知能検査を実費負担3割で受けた場合
280点(診療報酬)×10=2800円(医療費)の3割となるので、840円が実費負担額となります。
ですが現在、全国のほとんどの自治体では児童の医療費について何らかの助成が行われていますので、実際に負担する額は、上記のものとは異なります。お住まいの自治体の児童に対する医療費助成について、確認してみてください。
まとめ
今回の記事では、以下のことを紹介しました。
- 発達障害の診断で行われる検査の概要
- 発達検査について
- 知能検査について
- 発達/知能検査から得られる結果の注意点
- 発達障害の特性を調べる検査(AODS-2、MSPA)
- セルフチェックについて
- 大阪府内の「検査」を受けられる医療機関
- 検査にかかる費用
医療機関を受診することは、中々ハードルが高いと感じてしまうかもしれません。
それでも、子ども本人の発達を支援していくため、あるいは児童発達支援や放課後等デイサービスなどの福祉サービスを利用するため、検査によって子どもの特性を知り、診断を受けるということは、とても意義があることだと思います。