皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「歯磨き習慣」についてです。
毎日の歯磨きは、歯を健康に保つためにも欠かせませんよね。ですが、発達障害を持つお子さんの中には、歯磨きを嫌がってしまったり、習慣化できなくて毎日磨くことが続かないケースもあります。
生活リズムの一環で歯磨きが持続できないと、虫歯になりやすく、食事にまで影響が出てしまうかもしれません。できることなら改善していきたいですね。
この記事では、歯磨きが習慣化できないことと発達障害の関係、歯磨きを継続するためにできる対処法を、パターン別にお伝えしていきます。
目次
歯磨き習慣が身につかない理由は【発達障害】だから?
まず、発達障害の特性が歯磨き習慣に関わっている可能性はあります。しかし、その理由は様々に考えられます。発達障害の特性や生活環境はお子さんによって違いがあるためです。
発達障害の特性によって「歯磨きできない原因」は異なる
発達障害の特性・症状は、お子さん1人1人によって異なります。1人が複数の特性・症状を併せ持っていることもあり、程度にも個人差があります。
生まれつき脳の構造に特徴があり、できること・できないことの差が大きく開いてしまう障害の総称です。
特性に応じて「ADHD(注意欠如・多動症)」「ASD(自閉症スペクトラム障害)」「LD(学習障害)」と更に細かく分類されています。
どの特性・症状が「歯磨きできない原因」に結びついてしまっているかは、実際にお子さんの様子を見ながら探っていきましょう。
特性に合わせた対応が必要
対処法へと進む前に、まずはお子さんがどのケースに当てはまるか確認していきましょう。この記事では状況別に、
- 歯磨きが覚えにくいケース
- 歯磨きがやりにくいケース
- 歯磨き以外のことを優先してしまうケース
から、それぞれのパターンの解説と対処法をお伝えしていきます。
ケース別の原因と対処法
① 歯磨きが覚えにくいケース
お子さんが「歯磨き」という行為の動作や、なぜ歯を磨くのかの理由をしっかりと把握できていないケースです。発達障害の特性ごとに、次のような理由が考えられます。
- お手本をみて真似をするのが苦手
- 大人の行動に興味がない
- 指示・理由が理解しにくい
- 予想外の出来事が苦手
発達障害の特性で、他人の行動や周囲の出来事への興味が薄いことがあります。また、「口頭での指示が理解しにくい」「集中することが苦手」な特性を持っている場合もここに当てはまるかもしれません。
「お手本」をみて真似をするのが苦手
他人が行っている行動を模倣するのが苦手なパターンです。見たことを自分の行動として反映しにくく、その場で真似をするのが精いっぱいで、覚える余裕が無い可能性があります。
お子さんが得意な方法からアプローチしてみて下さい。歯磨きの手順をイラストにしてみる・文字に書き起こしてみる・身体を使ってゲーム感覚で覚えるなど、1人1人によって覚えやすい方法が違ってきます。
大人の行動に興味がない
子供は成長の段階で「周囲の大人・お兄ちゃん/お姉ちゃんの真似をする」ことで習慣を覚えていきます。しかし、他人への興味が薄いと注意深く相手の行動を見なくなり、「真似してみよう」という意欲がわきにくいことが考えられます。
興味のあることなら集中力が発揮できるかもしれません。好きなキャラクターを使って教えてみたり、ゲーム要素を取り入れたりなどの工夫で興味を引いてみて下さい。
指示・理由が理解しにくい
口頭での指示が理解しにくい場合や、なぜ歯磨きをしなければいけないのかが、上手くイメージできないこともあるでしょう。
歯磨きの手順を細かく分けて、具体的に説明してみると伝わりやすいかもしれません。たとえば、「歯ブラシに水をかけます」「歯磨き粉をつけます」といった感じですね。手順ごとにイラストを用意してみるのもおすすめです。
一度に伝えると情報量が多くなって伝わりにくいことも考えられますので、1番目の手順ができるようになったら次へ、と段階を踏んでみるのも良さそうです。
予想外の出来事が苦手
発達障害の症状の1つで、予想外の出来事が起こると混乱してしまうこともあります。急に歯ブラシが口に入ってきて驚いてしまい、覚えるどころではないのかもしれません。歯磨きが怖いと感じてしまう可能性もあります。
「歯ブラシを口に入れます」「上の歯から磨いていきます」と、事前に伝えてから実際の行動に移していくと、次に何が起こるのかが予想しやすくなるでしょう。いつも同じ手順で歯磨きするようにするのも良いかもしれません。
② 歯磨きがやりにくいケース
「歯磨き」の手順や理由が理解できていても、なかなか実行に移せないのかもしれません。次のようなことが考えられます。
- 手先を使った作業が苦手
- 歯ブラシの感触が苦手
- 場所・環境が苦手
- じっと立ったまま・座ったままの作業が苦手
- 口の中を怪我している
手先を使った作業が苦手
手先が不器用であったり、握る力が弱いといったことから歯ブラシが扱いにくいのかもしれません。上手く磨けないことで本人も「歯ブラシが苦手」と感じてしまっていると、なかなか習慣化しづらいでしょう。
グリップの大きな歯ブラシに替えてみたり、持ちやすくする補助用具を使ってみたりしてみるのも良いでしょう。かかりつけの歯科医師や保健士にも相談してみて下さい。
歯ブラシの感触が苦手(感覚過敏)
「感覚過敏」の症状があると、特定の感触が苦手であったり・苦痛を感じたりすることもあります。歯ブラシを口に入れる感触が苦手なのかもしれません。
違う感触の歯ブラシに替えてみましょう。
口内の感覚がとても過敏なようなら、少しずつ感覚に慣らしていく必要があるかもしれません。無理をするとお子さんのストレスになりかねないので、かかりつけの医師や保健士にも相談しながら対応していくと良さそうです。
場所・環境が苦手(視覚過敏・聴覚過敏)
「視覚過敏」「聴覚過敏」の症状がある場合、光や音など、歯磨きをする場所や環境が苦手なのかもしれません。
歯磨きをする部屋を移す・照明を替える、といった工夫を試してみると改善する可能性があります。
じっと立ったまま・座ったままの作業が苦手
歯磨きをする時にそわそわと落ちつかない様子なら、じっと立って行う作業や、座って行う作業が苦手であることも考えられます。
歌や動画を取り入れてみるなど、楽しく歯磨きできる環境を整えてみるとお子さんも歯磨きしやすいかもしれません。
歯磨きを咥えたまま歩いたり踊ったりすると、転倒して喉を突いてしまうおそれがあり危険ですので、ご注意下さいね!
口の中を怪我している
口の中を引っかくなどの癖や、痛くても周囲の大人に伝えられないことも考えられます。口の奥など外部からでは気付きにくいところに傷があるのかもしれません。痛いと歯磨きをするのが嫌ですよね。
一度、口の中に怪我などがないか確認してみて下さい。
③ 歯磨き以外の事を優先してしまうケース
歯磨きの手順や理由がわかっていて、なおかつ歯磨き自体に抵抗がなくても歯磨きが習慣化できないのであれば、他に優先したいことがあるのかもしれません。
- 衝動的に行動してしまう
- 他のことに集中してしまう
- 自分なりのルールで生活リズムが決まっている
衝動的に行動してしまう/他のことに集中してしまう
本人も「歯磨きしなきゃ」と理解していても、つい別のことを始めてしまったり、時間が経つのも忘れて他の事に集中してしまっているパターンです。どちらも発達障害の特性から本人にもコントロールが難しいのかもしれません。
歯磨きに集中できる環境を整えてみましょう。
歯磨きの間はテレビを消す・歯磨きをする場所に仕切りをつけて集中しやすくするといった工夫や、時間を決めて「アラームが鳴ったら歯磨きする」などの工夫も良さそうです。
自分なりのルールで生活リズムが決まってしまっている
強い「こだわり」があり、自分の納得した生活リズムが決まってしまっている可能性もあります。行動予定に歯磨きが含まれていないパターンです。
無理に強制するとストレスになってしまうこともありますので、本人のルールも尊重しながら、歯磨きを生活リズムの中に組み込んでいけるように働きかけていくと良いようです。
心配な時は……
歯磨きは健康にも関わる大事な生活習慣ですから、しっかり磨けていないとどうしても心配になってしまうと思います。発達障害の特性が「歯磨きの習慣がつかない原因」に結びついていると、なかなか改善が難しいこともあるでしょう。
自宅でできることを試してみても上手くいかない場合は、無理をせずに専門家にも相談してみて下さい。たとえば、下記のような相談先があります。
- 発達障害者支援センター
- 市区町村の保健センター
「歯磨きなんかで相談していいの?」とためらってしまうお母さん・お父さんもいらっしゃるかもしれませんが、歯は一生の食事について回るとても大切な部分です。
虫歯になってからでは治療も大変ですので、周囲と連携しながら、少しずつ歯磨きが習慣化できるように方法を見つけていきましょう。
まとめ
この記事では、歯磨き習慣についてお伝えしました。
歯磨きの習慣が身につかない原因は、発達障害の特性によっては様々なケースが考えられます。お子さんの特性に合った対処法を試していきましょう。
- 歯磨きが覚えにくいケースの対処
- イラストを使って小分けに説明する
- 好きなキャラクターで興味を引く など
- 歯磨きがやりにくいケースの対処
- 歯ブラシを替えてみる
- 環境を変えてみる など
- 歯磨き以外のことを優先してしまうケース
- 集中できる環境を整える
- 本人のルールも尊重しながら生活リズムに組み込む など
もし家庭での対応だけでは改善が難しいようなら、専門機関にも相談してみて下さいね。
歯は一生の食事について回るとても大切な部分です。お子さんに無理なく歯磨き習慣がつくように、少しずつ改善していけますように!