皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害 ソーシャルスキルトレーニング」についてです。
発達障害をもつ方の社会性向上のために、ソーシャルスキルトレーニング(以下SST)は有効性が示されています。
トレーニングを受けることで、社会性を向上させられるならば、ぜひ受けたい!受けさせたい!という方も多いのではないでしょうか。
しかし、ただSSTを受ければ社会性が向上するというものではないんです。
では、SSTを受ける上で大切なこととは一体何なのでしょうか。
そして、そもそもSSTってどんなことをするのでしょう。
目次
SSTを受ける上で最も大切なこととは?
SSTを受ける上で最も大切なことは、本人の意欲です。
本人が生活を送る上での困り感があり、それを改善したいと思っていることが最も大切なことなのです。
SSTの具体的な内容は下記で述べますが、SSTでは、考え得る対人場面を想定し、どのような対応をするのが良いのか考えたり、演じたりして、ソーシャルスキルを養うという活動が主なトレーニングです。
ここで学んだことを、実際の場面で振る舞うことができるかどうか、つまり、ソーシャルスキルを本当に身に付けられるかは、本人の意欲も大きく関わります。
いくら親御さんや周りの人がSSTを勧めたところで、本人に困り感や改善したいという意欲がなければ、トレーニングで学んだことは実践されず、ソーシャルスキルは身に付かないと言えるでしょう。
なので、SSTでは、本人がソーシャルスキルを身に付けたいという気持ちが最も大切なのです。
まずは、お子さんの場合は特に、本人にSSTについて説明し、トレーニングを受けることに前向きになってもらいましょう。
SSTって何?
SSTとは、対人関係や集団生活を営みやすくする技能(スキル)を養う訓練を指します。
では、SSTで養う「ソーシャルスキル」とは、そもそも何なのでしょうか。
そもそもソーシャルスキルとは?
ソーシャルスキルとは、簡単に言うと「相手に対する態度や物の言い方」です。
話す内容だけでなく、話す速度や声の大きさ、目線、表情、身振り手振りなど、相手への接し方全てを総合します。
なので、ソーシャルスキルが十分に養われていない状態では、次のような困難が生じる可能性があります。
- コミュニケーションが苦手
- 友達の輪に入れない
- 場の空気が読めない
- 感情を抑えられない
このような困難は、発達障害をもつ方に多いです。
しかし、発達障害の診断をされていなくても、友人や会社の上司との関係づくりに悩んでいる方は多いでしょう。
発達障害をもつ方だけでなく、対人関係に悩む全ての方にとってSSTは有効です。
最近では学校の授業に取り入れられることも多くなっています。
SSTは、トレーニングを通して、日常の困難を解消していくことや、円滑な人間関係の構築を目標としているのです。
SSTの具体的な内容は?
SSTには、様々な方法がありますが、多くの場合は次のような方法が用いられます。
ワークシート、絵カード、「ソーシャルストーリー」
日常の場面を想定し、適切な行動について、ワークシートや絵カードを使って、具体的な言葉や振る舞い方を学びます。
「ソーシャルストーリー」とは、一つのテーマについて、適切な振る舞い方を短い文章と絵でかかれているものです。
ソーシャルストーリーを読むことで、色々な場面で求められる行動や、なぜその行動が求められるのかを知ることができます。
これらは、子供から大人まで、多くのSSTの場で用いられています。
ゲーム
ゲームは「勝敗を受け入れる」や「ルールを守る」、場合によっては「他者と協働する」など、様々なソーシャルスキルの要素を含んでいるのです。
ゲームを通して、楽しみながら、適切な行動を学んでいきます。
ディスカッション、ディベート
数人でディスカッションやディベートをします。
他者の話を聞く、他者の話を踏まえて自分の意見を述べるなどの、多くのソーシャルスキルを学ぶ方法です。
ロールプレイ
日常生活の場面を想定し、どのように振る舞うべきかを演技したり、人形で演じたりして、適切な行動を学びます。
大人のSSTにも用いられますが、子供へのSSTで取り入れられることが多いです。
共同行動
工作や調理などを他者と一緒に取り組むというものです。
作品の完成や、料理を食べるなど、楽しいゴールに向かって、数人で共同して取り組むことで、役割分担や相談、助け合いなどのソーシャルスキルを養います。
SSTは、社会的スキルまたは対人スキルを養うものなので、子供と大人が一緒に受けるということはあまりありません。
子供と大人では、求められる社社会的スキルが異なるからです。
子供向けSSTの様子
大人向けSSTの様子
SSTはどこで受けられるの?費用は?家庭ではできない?
ソーシャルスキルは1回のトレーニングで身につくものではありません。
どのような目標を設定するかにもよりますが、トレーニングは何度か受ける必要があります。
なので、立地や費用についてはきちんと検討しましょう。
どこで受ける?
SSTは精神科をはじめとした医療機関、自立訓練事業所、就労・生活支援センター、学校などで受けられます。
職場復帰のためのリワークプログラムの一環で行われることもあり、最近では職場で受けられる、という会社も増えています。
まずは問い合わせをしてみましょう。
費用は?
費用は、民間の場合では1回につき、4500円~10000円程度が平均的です。
しかし、入会金がかかったり、時間制であったり、教材費がかかったりするので、こちらも問い合わせが必要です。
家庭ではできない?
SSTは家庭でも行うことができます。
むしろ、家庭でも積極的に取り組むべきです。
各種施設や学校で学んだソーシャルスキルを家庭でも同じように実践したり、反復練習したりすることで、トレーニングの効果を高められるからです。
家族も本人が受けてきたトレーニングの内容を知っておくと、より一層効果的です。
また、家庭でも絵カードを用意してみるのも良いでしょう。
絵カードの例
しかし、家庭だけで取り組めるものかと言うと、それは少し難しいと私は考えます。
教材・教具、本人への声かけなど、家族が準備したり勉強したりすることが多いからです。
もちろん、家族がSSTを勉強することは、大変意味があり、大切なことです。
しかし、SSTの内容は多岐にわたり、教材・教具の準備は大変です。
また、各種施設では「先生と生徒」などの関係性であるからこそ、本人が素直にトレーニングを受け入れ、身に付くということもあります。
トレーニング自体は各種施設に任せ、家庭では、本人が気持ちよくトレーニングを続けられるよう、反復練習に付き合ったり、肯定的な言葉かけで励ましてあげたりするというスタンスがオススメです。
SSTはいつ始めればいい?今でしょ!
SSTはいつまでに始めなければならない、ということはありません。
本人がトレーニングを受けたいと思った時がはじめ時なのです。
本人がSSTの必要性を感じているならば、早すぎることも遅すぎることもありません。
意欲があれば、いつでもソーシャルスキルを身に付けるチャンスです。
まとめ
- SSTで最も大切なのは本人の意欲
- ソーシャルスキルとは「相手に対する態度や物の言い方」
- SSTは絵カード、ゲーム、ロールプレイなど、色々な方法がある
- SSTは精神科、自立訓練事業所、就労・生活支援センター、学校などで受けられ、民間の場合では1回につき、4500円~10000円程度が平均的
- SSTは家庭でも取り組むべきではあるが、各種施設でのトレーニングを受けてからがオススメ
- SSTは必要を感じた時がはじめ時
SSTは、社会的スキルを身に付ける上での有効性が学術的にも示されています。
しかし、一番大切なのはトレーニングを受ける本人の意欲です。
この記事をお読みなのが、トレーニングを受ける方のご家族であれば、本人が意欲を維持できるようにサポートしてあげてくださいね。
トレーニングを続けていけば、きっと日常の困り感は軽減できるはずです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。