皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害身だしなみ」についてです。
身だしなみとは、朝起きて寝癖を治したり、歯を磨いたり、服を着替えたり、服を洗濯カゴに入れたり……と、毎日ルーティンのようにやっている日常生活のアレです。
普段何も考えずに当たり前にできているのならいいですが、発達障害の子どもの中にはしばしば身だしなみを整えることが苦手な子が多いようです。
この記事ではなぜ苦手なのかを解説し、子どものうちから無理なくできる身だしなみの整え方をご紹介したいと思います。
目次
発達障害の身だしなみ乱れ……様々な理由があるのです。
身だしなみに対する考え方はその子によってそれぞれです。
・他人に対して関心がない
・関心がないものには興味がない
・想像することが苦手
・羞恥心があまりない
または、
・感覚過敏がある
・感覚鈍麻である
・こだわりの強さが見られる
以上はどれも発達障害の特性とも言えます。発達障害の典型と言えるASDまたはADHDの特性については以下の記事で詳しく解説していますのでよろしければお読みください。
以下から、少しずつかいつまんで紹介していきます。
身だしなみに気を遣うほどの興味がない。
発達障害ではない子どもは、外出時に、どんな服を着た方が適切なのか選んだり、むしろその選ぶことを楽しんだり寝癖がないように髪を整えたりしますよね?男の子よりも女の子の方が身だしなみに気をつける傾向があります。
しかし発達障害の子は他人への関心が薄いことから、身だしなみに気を配らないことがあるのです。
他人への関心が薄いために、「他人からどう思われているのか」という意識が低く、身だしなみを整えようという意識も低くなっているようです。
発達障害の特性が影響している
仮に身だしなみに興味があっても、臨機応変に対応できないこともあります。
「今日はこの服を着る!」とあらかじめ決めておいて、その後天気などの急変で臨機応変に対応できずTPOに合わない服を着ることもあるのです。寒くなったのに半袖とか、晴れてきたのに暑い服を着ているとか。
他にも手が不器用で苦手意識を持っている、状態の確認不足(不注意)などの原因もあります。
ADHDによく見られる特性を持った上で、それが身だしなみにも影響を及ぼしているのです。
こだわりの強さが難しくしていることも
また、ASDにたびたび見られる特性『こだわりの強さ』が発揮されてしまって、服の着方や着る順番や服選びに独自の癖やこだわりを持っていることも少なくない。服の素材にこだわりを持ち特定の触感がするものは受け付けないこともあります。
タオルケットの肌触りが好きで、この感覚がないと眠れない!
特定の肌触りに安心してしているために、こだわりが強いという特性が現れてしまうのです。
感覚過敏が影響していることも
感覚過敏や感覚鈍麻も影響しているのです。
服のタグがピラピラしていたりや縫しろがチクチクするから苦手
身体を締め付ける服や下着は苦手
感覚過敏や感覚鈍麻によって苦労するお子さんもいるのです。
以上のように発達障害を持っている子どもの身だしなみが乱れている原因は、人それぞれです。
特性が影響しているものから、感覚的に受け付けない服を着ている可能性まで多岐にわたっています。
身だしなみを整えないとデメリットに
実は、身だしなみがきちんと整っていないことをそのまま放っておき、子どもが大人になってしまうと、将来ビジネスシーンなどの大事な時に「この人は清潔感がないな」「生活が整っていないのではないか」など、思いもしない印象を相手に抱かせてしまいかねません。言い換えると、
- 社会的信用・信頼を得られにくい
- ちゃんとした生活を送っていないと思われる
と言うことです。詳しく解説していきます。
この人大丈夫かな?と違和感を持たれてしまう
身だしなみとは、相手に対して「敬意」を払い第一印象を決めてしまうものです。
自分のことがちゃんとできていないのに仕事をちゃんとやってくれるだろうかと疑念を抱かせてしまいます。仕事を頼みたいと思われるような身だしなみができていないと、将来ビジネスシーンで信頼を得られにくくなってしまいます。
子どもの頃だって例外ではありません。身だしなみが整っていないことで、疎外感を受けたり、友達ができにくくなってしまう恐れもあります。
日常生活の現れにもなってしまう
身だしなみが整っているがどうかは、日常生活を過ごせているかどうかの指標にもなってしまいます。
大人で言うと決まった時間に出社し決められた時間まで就業する……と言う日常のサイクルを基本としているため、日によって身だしなみが大きく変わることなく一定になる傾向があります。ちゃんと仕事をし、ちゃんとに家に帰って暮らしているんだなという印象を周囲に与えます。結果として決まった日常を送っていると言うことは身だしなみも固定していることになり、周囲の人に信頼を与えることになるのです。
子どもの頃には特に、ちゃんとご飯を食べ、ちゃんとお風呂に入り、ちゃんと眠るという日常生活が大事になってきます。例えば身だしなみを考えずに何日も同じ服を着ていたり服が破れているなど状態が悪かったりした場合、他の子どもから見たら「不潔だ、ちゃんとできていない」と思われかねません。
それが子どもにとってはそれを火種にいじめにつながってしまいかねません。早い段階で改善するようにしましょう。
身だしなみを整えることは、細かいことも多くあり、全てをきっちりやることは大変かもしれません。しかし、身だしなみは相手に対して最初の敬意を払うという大切なもの。第一印象を決める大事なものなので、一つ一つこなせるようになりましょう。
身だしなみは子どものうちに改善してしまおう
なるべく早いうちに改善を!
以上のデメリットから、身だしなみをちゃんとしていないことは他人に不信感を与えてしまい、信頼を築きにくくしてしまいます。それは大人も子どもも同じことです。
そんな大事なことを教えるのは、子どもの早いうちからがいいでしょう。なぜなら、子どもが成長すればするほど周りの人からの注意を受けにくくなってしまうからです。
親ならすぐに注意できたことも、友達や他人は注意しにくいもの。そして子どもが成長して思春期になれば、今更になって注意されたことを恥ずかしいと思って気持ちが落ち込んでしまうことも大いに考えられます。一度習慣化されたことが直るのも時間がかかります。
気になることがあればより幼少期から注意してあげて、改善させることが大事なのです。
少し余談にはなりますが、子どもの将来を考える上で身だしなみ以外に身につけたいことが書かれている記事です。参考までにお読みください。
身だしなみの重要性を教えよう
幼い頃は身だしなみについて深く考えなくても大丈夫かもしれません。
しかし、身体が変化して思春期に突入する「第二次性徴」が始まった頃なら、身だしなみについて親が教えなくてはなりません。成長し身体も心も変わる時期ですから、身だしなみを整えることがマナーであることを教えましょう。
第二次性徴とは
雌雄が示す身体的特徴のうち、生殖腺・生殖器官を除く差異、体つきや声の質、ひげ。二次性徴とも。
デジタル大辞泉より
発達障害の子どもは、恥ずかしいと思う気持ち(羞恥心)の発達がゆっくりだったり、ふるまい方が幼いことがあります。
異性との距離や会話には暗黙のルールやマナーがあるものです。発達障害で空気を読んだり物事を察することが苦手な子どもは、ちゃんと教えてもらわないとわかりません。
発達障害者の身だしなみについて解説した本をご紹介します。大人向けのものしかありませんでしたが、子どもにも応用できると考えますので、ご紹介します。
著者 | 出版社 | 出版年 | 価格 |
門田光司 | 中央法規出版 | 2006年5月 | 2600円(2021/08/24時点) |
・各事例事に本人にあった支援がなされる過程が細部に分かり記されており、勉強になった。
2600円と、ちょっとお高めの本となりますが、発達障害の方の食事や身だしなみ・外出の支援まで幅広い情報が載っている本となります。適切な支援についてより詳しく学べそうですね。
身だしなみを整えるトレーニングサポート
発達障害の子どもは応用することが苦手です。身だしなみの正解をあらかじめ表やマニュアルにして「見える化」しましょう。そのルールをまとめてみました。
・着替える部屋や場所を定める
・着替える時間やタイミングを明確にする
・服の選び方はルールを作って
・鏡を見るようにさせる
・絵カードを使う
着替える部屋や場所を定める
着替えなんてどこでもできますが、あえて一つの部屋だけで「着替えをする」と定めましょう。発達障害の子は臨機応変が苦手な子が多いので、あらかじめ決めてしまった方が混乱しません。
リビングなどでは気になるものがたくさんあるので集中しづらくなってしまいます。おすすめは脱衣所や自分の部屋。着替えの手順を書いた紙をそこに貼っておくと自分で着替えができるようになる効果も期待できます。
こちらは身だしなみについてお手本がまとめられた動画です。わかりやすく子ども向けに作られています。
着替える時間やタイミングを明確にする
着替える時間については「朝起きてすぐ」「朝ごはんを食べた後」「歯磨きしたあと」などあらかじめ決めておくといいでしょう。
発達障害の子の着替えは「いつでもいい」としてしまうと、いつまで経っても着替えないこともあるからです。決めておくと習慣化して身についてきます。
服の選び方はルールを作って
気温によって着る服を決めておくといいかもしれません。例えば25以上は半袖、それ以外は長袖、もっと寒くなってきたら冬服にする。夏でも寒い時、冬でも暖かい時がありますからね。
曖昧な概念は発達障害の子にとってわかりづらく混乱を引き起こすもの。あらかじめ決めておくとわかりやすいのです。
鏡を見るようにさせる
全身鏡を使い、自分の姿を見させることで子ども自身が身だしなみに気をつけるようになります。人から言われるとちょっと恥ずかしいですよね。それに言う方もちょっと言いにくい。
全身鏡を使って自分で気づいてもらうことを習慣づけていってもらいたいですね。
絵カードを使う
発達障害の子どもは文字やイラスト・写真があるとイメージしやすく、何が不適切で何が正解かを知ることができるので絵カードや本を用いるのもいいかもしれません。
発達障害の子供は言葉よりも目から入る視覚情報の方が理解がしやすいもの。そんな時には「絵カード」がとても有効なツールになります。具体的には洗面所に「歯磨き」「顔を洗う」「寝癖を整える」というカードを置く。トイレに「トイレをする」「手を洗う」「手を拭く」「下着をしまう」などのカードを用意するなどです。
これは「発達障害の子が迷わず動ける!絵カード PriPri発達支援 2」の絵カード「着替え」に特化したものです。
著者 | 出版社 | 出版年 | 価格 |
佐藤曉 | 世界文化社 | 2018年12月 | 2200円(2021/08/24時点) |
この絵カードシリーズは、主に保育や発達障害児の支援施設で用いられています。特にこれは絵カード60点とポスター2点がついており、生活習慣の自立を促してくれるものですよ。絵を見た方がどんな行動を取るのかわかりやすいという発達障害の子にとって嬉しいカードになっています!
・なんとなく興味を持ってくれたので、それだけでも良かったと思います。
・カードを使うことでかなり指示が通りやすくなりました。
まとめ
いかがでしたか?今回は身だしなみについて解説していきました。
- 発達障害の身だしなみ崩れの理由
- 身だしなみが整わないことで生じるデメリット
- 身だしなみは子どものうちに改善しよう
- 身だしなみ整えるトレーニングサポート
身だしなみは少し気にすれば改善されていくものです。まずは鏡を見ることからでも始められます。習慣化したものを変えることは難しいかもしれませんが、継続していけばできるようになります。
この記事が少しでも身だしなみで困っている子どもさんと保護者さんにとってお役に立てると嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。