皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「カフェオレ斑と発達障害の関連性」についてです。
カフェオレ斑とは、お子さんの肌に見られる茶色い(モカブラウン)シミのようなもののことです。
このカフェオレ斑ですが、“ある病気”との関係から「発達障害と関連性がある」と言われています。
この記事では、
- カフェオレ斑があると発達障害なのか
- カフェオレ斑を特徴とする病気について
を解説していきます。
目次
カフェオレ斑があると発達障害なの?
まず結論から言いますと、カフェオレ斑と発達障害は直接には関係していません。
つまり、お子さんの体にカフェオレ斑があるからと言って、「発達障害かも」と心配しなくても大丈夫ということです。
発達障害は、先天性の脳の機能の障害が原因とされています。
【注意欠如・多動症】…集中することが難しい、ジッとしていられないなどの特徴がある。
【自閉スペクトラム症】…コミュニケーション面に苦手がある。
【限局性学習症(学習障害)】…知能に遅れはないが、学習において特定の機能面に苦手を抱える。
主にこの3つについての総称として用いられる名称です。
▼「発達障害について詳しく知りたい」という方は、以下の記事をご覧ください。
ただし、カフェオレ斑が何らかの病気に起因している場合、発達障害を併発している可能性はあります。
そのことについては、後ほど解説します。
そもそもカフェオレ斑とは
ところで、皆さんはカフェオレ斑について、どれくらい知っているでしょう?
扁平母斑
扁平母斑(へんぺいぼはん)は、生まれつき子どもの肌に見られる茶色い(モカブラウン)シミのようなもののことです。
症状 | 平らで茶色い(モカブラウン)シミが肌に生じるが、基本的に治療は不要で無害。 |
原因 | 皮膚の細胞内でメラニン色素を蓄えているメラノソームが増加することで、周りの肌と比べて異なる色になる。 |
治療法 | 外見的に気にする場合は、レーザーによる治療、ドライアイスによる療法、手術による切除などが行われる。 |
また、扁平母斑は全体の10~20%(10人のうち1~2人)の割合で発生し、生後間もなくに見られるカフェオレ斑としては最も一般的なものだと言えます。
▼こちらは、扁平母斑の当事者の方の動画です。
ベッカー母斑
ベッカー母斑は、思春期の主に男の子の肌に生じる茶色、または黒色のシミのようなもののことです。
症状 | 思春期に茶色、または黒色のシミが肌に生じる。徐々に範囲が広がったり、色が濃くなったりする。また、シミのある部分に毛が生えることもある。基本的に治療は不要。 |
原因 | 長い期間、陽射しに当たり続けることで、メラニンの濃度が局所的に増加することで発生する。 |
治療法 | 外見的に気にする場合、レーザー治療が行われるが、効果が見られないことも。 |
ベッカー母斑は、先天性である扁平母斑とは異なって、後天性のものです。
色素性母斑
色素性母斑(しきそせいぼはん)は、多くは生まれつき子どもの肌に見られる、基本的には黒色のシミのようなものです。
症状 | 扁平だったり盛り上がっていたりする、多くは黒色のシミが肌に生じる。ほくろのように小さなものから、直径が20cmを超える(肥大化する)ものまである。 |
原因 | 真皮(皮膚の深いところ)において活性化したメラノサイトにより、メラニンが生成されることで生じる。 |
治療法 | メスや、電気またはレーザーを用いた手術で治療を行う。生後間もなくであれば、ドライアイスを使用した治療が有効とされる。 |
色素性母斑で、肥大化したものや出血が見られるものなど、全体のうち10%前後が皮膚ガンの元になると言われています。
病気が原因のもの
茶色い(モカブラウン)シミが、何らかの病気に起因して発生する場合があります。
その病気については後ほど具体的に見ていきたいと思いますが、中には国が指定する難病や発症が非常にまれなものがあります。
そして他方、病気などではなく、つまり健康上に問題のない扁平母斑やベッカー母斑とは、厳密には区別されています。
カフェオレ斑と発達障害
さて、カフェオレ斑(扁平母斑などを含む)は、発達障害と直接の関係はありません。
しかし前述の通り、病気に起因する茶色い(モカブラウン)シミについては、その限りではありません。
お子さんのカフェオレ斑が何らかの病気が原因で生じているのであれば、もしかしたらそれが発達障害または知的障害をその症候(病気によって生じるもの)とする病気である場合も考えられます。
カフェオレ斑が特徴の病気
ここからは、カフェオレ斑をその特徴とする病気について見ていきます。
神経線維腫症Ⅰ型(レックリングハウゼン病)
神経線維腫症Ⅰ型は、この病気についての報告を行ったレックリングハウゼン氏(ドイツの学者)にちなんで、レックリングハウゼン病とも呼ばれます。
カフェオレ斑と、神経線維腫という神経上の腫瘍が、その主な特徴とされています。
また、重症である場合には、国が指定する難病として認められます。この場合、治療にあたって国の医療費助成制度を利用できます。
症状 | ・カフェオレ斑(生まれつき) ・神経線維腫またはびまん性神経線維腫(思春期に生じる) ・皮膚病変 ・骨病変 ・眼病変 ・脳脊椎腫瘍 ・知的障害 ・限局性学習症(学習障害) ・注意欠如・多動症 ・自閉スペクトラム症 |
原因 | 17番染色体の長腕にあるニューロフィブロミンという遺伝子の異常が原因とされる。患者の約半数は親からの遺伝、残りは突然変異。 |
治療法 | カフェオレ斑には、レーザーやドライアイスを用いた療法や薬の服用が行われるが、確実に消す治療法はない。神経線維腫は、外科手術による切除が行われ、特に2~4%の確率で発症する悪性の腫瘍は早い段階で切除が必要となる。 |
この神経線維腫症Ⅰ型では、その症候として知的障害や発達障害が含まれています。
日本皮膚科学会が発表した神経線維腫症Ⅰ型における知的障害や発達障害の合併率は、以下のようになっています。
- 知的障害6~13%
- 限局性学習症(学習障害)20%
- 注意欠如・多動症40~50%
- 自閉スペクトラム症20~30%
▼こちらは、神経線維腫症Ⅰ型の当事者の方が話されている動画です。
参考:難病情報センター 神経線維腫症Ⅰ型(指定難病34)
神経線維腫症Ⅰ型(レックリングハウゼン病)診療ガイドライン 2018(PDF)
レジウス症候群
レジウス症候群は、神経線維腫症Ⅰ型に似た病気です。
ただし、神経線維腫は生じません。
症状 | カフェオレ斑が生じる。 |
原因 | 15番染色体にある遺伝子の異常が原因とされる。 |
このレジウス症候群の診断には遺伝子検査が必要とされているのですが、現状(2022年1月現在)では日本には専門の機関がありません。
また、限局性学習症(学習障害)を伴うことがあるともされていますが、確実な情報は少ないです。
マッキューン・オルブライト症候群
マッキューン・オルブライト症候群は、小児、特に女の子に多く発症する病気です。
また、国が指定する小児特定慢性疾患であるため、治療にあたっては医療費助成制度を利用できます。
症状 | ・カフェオレ斑 ・線形性骨形成異常のための骨の変形や易骨折 ・性的な早熟とそれに伴う内分泌異常 |
原因 | 20番染色体にある遺伝子の異常が原因とされる。 |
治療法 | カフェオレ斑に対しては、確実な治療法はない。骨の形成の異常に対しては、整形外科における治療が行われる場合がある。内分泌異常、特に甲状腺などの機能亢進症に対しては、外科的な治療が行われる場合がある。 |
このマッキューン・オルブライト症候群では、発達障害はその症候としては認められていません。
参考:小児慢性特定疾病情報センター マッキューン・オルブライト症候群
マッキューン・オルブライト症候群の原因|Web医事新報|日本医事新報社
レオパード症候群
レオパード症候群は、発症がとてもまれな病気です。
症状 | ・黒色や茶色のそばかすのような斑点が肌に生じる ・心電図異常 ・両眼隔離症 ・肺動脈弁狭窄症 ・性器異常 ・発達の遅れ ・限局性学習症(学習障害) ・難聴 |
原因 | PTPN11という遺伝子の異常が原因とされる。 |
治療法 | 人によって発現する症状が異なるため、それぞれに応じた治療が必要となる。 |
このレオパード症候群は、症候の1つとして限局性学習症(学習障害)が含まれています。
参考:レオパード症候群とは?
難病研究や創薬開発の動向|幹細胞情報データベースプロジェクトSKIP
ワトソン症候群
症状 | ・肺動脈狭窄 ・カフェオレ斑 |
ワトソン症候群については情報が少なく、原因と治療法は不明です。
ただし、知的障害を合併することがあるとされています。
まとめ
今回の記事では、以下のことを解説しました。
- カフェオレ斑があっても発達障害とは言えない。
- 扁平母斑、ベッカー母斑、色素性母斑などは、狭義のカフェオレ斑と混同してしまうかも。
- カフェオレ斑を特徴とする病気について
カフェオレ斑(扁平母斑などを含む)には、健康上全く無害のものから、その背景に病気が潜むものまであります。
今回の情報から、お子さんにもしもカフェオレ斑以外の症状が見られる場合には、医療機関での受診をお勧めします。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。