皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「知的障害 発達障害違い」についてです。
あなたは知的障害というものをご存知ですか?
発達障害の子どもを育てていく中で、もしかしたら耳にしたことがあるかもしれません。
この記事では、知的障害と発達障害の違いや関係性、知的障害の特徴などを紹介します。
目次
知的障害と発達障害の違いは「遅れの範囲」
結論から言うと、知的障害は知能全般に遅れがあり、発達障害は特定の機能において発達の遅れがあります。しかし、発達障害と知的障害は広い意味で言えば同じグループに入っている障害です。
この2つの障害に共通していることは、精神障害という同じ分類に属しているということです。
大きな袋の中にボールが2つ入っている様子をイメージしてみてください。
・大きな袋が精神障害という大分類
・中にある2つのボールが知的障害、発達障害
それぞれが大きな袋の中で、独立している状態です。
しかし、これはあくまで行政上のお話。実際に診断を行う医療現場となると、後に解説する知的障害と発達障害の併発の関係もあり、一概にそれぞれを分類できないのです。
知的障害の3つの要素・要因とは
知的障害は日常生活においてさまざまな支障が出てしまう障害です。例えば、物事を順序立てて考えたり、話をしていても理解ができなかったりという場面で支障が出ることがあります。
発達障害同様に個人差は大きく、普段の様子や会話からは障害であることがわからない子どももいます。そのため、支援も一人ひとりにあった方法を見つける必要があります。
知的障害の3つの要素とは?
知的障害を医学的に診断するためには、以下の3つの要素が参考にされます。実際には、この3つの要素のみで診断が下されるものではありません。
- 知的機能の遅滞
- 生活上の適応機能に制限がある
- 概ね18歳未満で現れる
要素①知的機能の遅滞
まずは知的機能の遅滞です。
・言語や読み書きなどの学習をする能力
・物を考えたり解決するための能力 など
つまり、知的機能に遅滞があるということは言葉の通り、私たちが日常生活の中で何気なく行う物事に対して、一般の子どもと比べて遅れが出ているということなのです。
知的機能の遅滞は、知能指数とも呼ばれる「IQ」の値によって知能が分類されています。
出典:調査の結果|厚生労働省
「IQ」が70を下回ると知的障害と定義されます。
また上記のように、知的障害の程度を判定するために細かな分類分けが行われています。
要素②生活上の適応機能に制限がある
次に、生活上の適応機能に制限があるということです。
適応行動とは、日常生活において期待される要求を効率よく対処し、自立した対応ができるかどうかを示す機能のことです。
・言葉の理解や表現
・お金についての理解
・他人の考えや感情の把握、共感
・ルールを守るという概念の理解
・排泄や着替えなどの日常生活上の行動
通常であれば、年を追うごとにできるようになっていくような内容です。
知的障害の子どもの場合には、このような行動を取れない、または困難に感じることがあります。
要素③概ね18歳未満で現れる
知的障害の診断がいつ頃からつけられるようになるのかは、障害の程度によっても変わってきます。
軽度の知的障害であれば、小学校入学時期や、勉強していく内容が難しくなっていく中でわかったりします。
中程度以上になると、子どもの育てにくさを感じ、1歳半検診や3歳児検診までにわかることが多いと言われています。
知的障害を引き起こす3つの要因!
知的障害の原因については、3つの要因が考えられます。
1.先天的な要因(先天性代謝異常、脳形成異常など)
2.後天的な要因(日本脳炎、麻疹などの重症化による脳炎など)
3.突発的な要因(基礎疾患が見られない場合)
突発的な要因では、遺伝子の組み合わせからたまたま知能指数が低く、障害の範囲にみなされる場合があります。
ほとんどはこちらの要因の知的障害に該当します。
知的障害は遺伝するの?
必ずしも遺伝的要因で障害を発症するとは限りません。つまり、親が知的障害/発達障害を持っているからといって、一概に遺伝する訳ではありません。
「自分が知的障害だから…」
「発達障害だから…」
親の責任だと悩むのはよく分かります。しかしもっと他に考えていくべきことがあります。
大事なお子さまの成長の過程で、活用できる制度や専門家をどう頼れるか?で気持ちも全く違ってきます。
こちらの詳しい記事を読むと、心がすーっと軽くなります↓↓↓
知的障害の主な症状は?
3つの条件でも説明した通り、知的障害では知的指数が低いことや適応機能に制限があります。発達障害でも見られるような症状が、全般的に現れていることが多いです。
そのため、発達障害と見分けがつけづらい場合もあり、慎重に判断しなければなりません。適切な対応をするためにも、自己判断は避けましょう。
・知っている言葉が少なかったり、言葉を覚えることに時間がかかる
・初めての体験や、環境の変化を苦手とする
・集中力が続かなかったり、集中すること自体に困難を感じている
・自己判断ができない
・物事のルールや基準がわからない
・思ったことをつい言ってしまう
知的障害と発達障害は併発するかは診断基準で
知的障害と発達障害が併発する場合もあります。
知的障害は知的機能や適応機能、発症年齢を総合的に見て診断されることは既にお伝えしました。一方、発達障害はそれぞれの障害ごとに診断の基準があるため、知的障害とは基準も診断方法も異なってきます。
それぞれの障害の診断がなされれば、知的障害と発達障害を併発していることになります。ここでは知的障害と発達障害の併発について見ていきましょう。
知的障害と学習障害の併発は起こらない
知的障害の症状のひとつに、「言葉の理解や表現の遅れ」がありました。
発達障害の中でも、学習障害は「文字が読めない、書けない」「計算が困難」などの特徴があります。
こう見ると、知的障害と学習障害は似ているように感じるかもしれません。しかし、全く異なる障害です。
なぜなら、学習障害は「知的障害を伴わない、学習上の障害」と定義されているからです。そのため、知的障害と学習障害の併発は定義上起こりえません。
知的障害とADHDは併発の可能性あり
知的障害とADHDも似たような症状を持ちます。
例えば集中力が続かなかったり、困難に感じているケース。こちらはADHDの中でも不注意性に該当する特徴でもあります。また、思ったことをつい言ってしまう。こちらは衝動性に該当する特徴です。
言葉の遅れやその他の知的機能に遅れが現れていれば、知的障害を併発している可能性も十分に考えられます。
知的障害と自閉症スペクトラム障害の違い
自閉症スペクトラム障害は、主に対人関係において支障が出る障害です。
障がい | 特徴 |
自閉症スペクトラム障害 | ・他人の感情を把握できない ・他人の考えに共感できない ・ひとりごとの多さ ・オウム返しする ・感覚過敏や感覚鈍麻など |
知的障害 | ・他人の感情を把握できない ・他人の考えに共感できない |
知的障害が他人の気持ちの共感や把握ができにくいことに対し、
自閉症スペクトラム障害特有の特徴(ひとりごとの多さ、人の言ったことをオウム返しする、感覚過敏や感覚鈍麻など)が見られます。
※「自閉症であれば、知的障害も併発している」と、昔は混同して考えられることもあったようです。
診断の結果、「自閉症スペクトラム障害のみの発症で、知的障害は持っていない」というケースもよく見られます。
こちらの動画でも、知的障害と発達障害の併発について解説されています。
知的障害と発達障害の併発のあるなしで手帳が違う
知的障害や発達障害があると、さまざまな支援制度を受けることができます。そのひとつに障害者手帳というものがあります。
・障害者手帳は障害者としての証明
・福祉的なサービスを活用したい時に必要
・「身体・知的・精神」の3障害の支援を目的とされている
知的障害と発達障害とでは交付される障害者手帳の種類が変わってきます。
手帳の種類 | 障害の分類 |
---|---|
精神保健福祉手帳 | 発達障害のみの場合 |
療育手帳 | 知的障害のある場合 |
それぞれについて詳しく解説しますね。
精神保健福祉手帳:発達障害のみの場合
発達障害は3障害の内の「精神」に組み込まれています。そのため、交付される障害者手帳は「精神保健福祉手帳」です。
精神保健福祉手帳を持っていると、このような社会的支援サービスが受けられます。
・医療費や交通機関の割引
・所得税などの税金が控除される
※障害等級(1〜3級に分類される)による
交付には、発達障害の診断を受け、
・一定期間以上(半年以上)通院している
・症状が継続して見られること
の証明(医師の診断書)が必要です。
さて、知的障害を併発している場合、手帳はどうなるのでしょうか?
これは後に紹介する「療育手帳」を取得することが一般的です。
療育手帳:知的障害のある場合
知的障害と診断されれば、「療育手帳」を取得することが一般的です。
療育手帳も精神保健福祉手帳と同様です。
・医療費や交通機関の割引
・税金の控除が受けられる
※障害等級(1〜3級に分類される)による
こちらも、手帳の申請書類として医師による診断書が必要となります。
発達障害のみであれば、精神保健福祉手帳の対象で、療育手帳には該当しないため間違えないようにしておきましょう。
障害者手帳を発行するメリットに関する記事はこちらです↓↓↓
まとめ
知的障害と発達障害の違いや関係性、知的障害の特徴などについてご紹介しました。
- 知的障害、発達障害の違いは知能の遅れが全般的であるかどうか。精神障害という観点で見れば同じグループに入る
- 知的障害も発達障害も一概に遺伝するとは限らない
- 知的障害と発達障害の併発は十分に考えられる!しかし学習障害の併発は定義上は起こりえない
- 知的障害と発達障害では取得できる障害者手帳の種類が異なる
また、知的障害の特徴としては、以下のことをお伝えしました。
- 知的障害3つの要素として”知的機能の遅滞””生活上の適応機能の制限””18歳未満”であることが挙げられる
- 知的障害は先天的な要因、後天的な要因や知能指数がたまたま低いなど原因はさまざま!
- 知能全般に遅れ、発達障害の症状に似たものも多い
まずはお子さまがどのような状態にあるのか何となくですが理解できたのではと思います。
もちろん、病院の診断と行政機関のとの連携を含めて、的確なアドバイスを受けていきましょう!一番は、障害への理解を深めながらもあまり気に病まずにお子さまの成長を見守ることです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。