皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害をひきおこす可能性のある乳児の貧血」についてです。
発達障害は脳の機能に障害があることでおこるといわれていますが、「鉄が足りないことによる貧血」が脳の発達に大きな影響を与えると考えられています。
今回は、発達障害をひきおこす可能性のある乳児の貧血についてお伝えします。
貧血の恐ろしさを知り、対策方法について一緒に考えていきましょう。
目次
発達障害の原因となりうる乳児の貧血とは
生後6ヶ月以上の乳児は鉄が不足しやすいため、貧血に気をつけなくてはなりません。
乳児が貧血になると脳の機能がうまく働かなくなり、社会性や情緒の発達、運動発達、認知能力などに影響を与える可能性があります。
そして貧血の状態が長期間続くと、発達障害の症状が残ってしまう場合があるといわれています。
このように鉄が不足することによっておこる貧血を「鉄欠乏性貧血」といいます。
では、乳児が鉄欠乏性貧血になると具体的にどのような影響が出るのでしょうか。
くわしくみていきましょう。
参照:公立学校共済組合 関東中央病院、慶應義塾大学医学部 小児科
乳児の鉄欠乏性貧血のおそろしさ
一般的に、鉄欠乏性貧血がおこると次のような症状がみられます。
・動悸
・息ぎれ
・疲れやすい
・顔色が悪い
・頭が重たい
・爪の変形
・足がむずむずして寝つけない
・氷を食べたがる
・認知機能の遅れ
・執行機能の遅れ
・運動発達の遅れ
・神経発達の遅れ
・言語理解や発語の遅れ
・記憶機能低下
・知能低下
・処理速度低下
・注意機能低下
・行動機能低下
・社会性の低下
・睡眠サイクルの乱れ
参照:慶應義塾大学医学部 小児科、NHK
このように鉄欠乏性貧血になった場合、さまざまな症状がみられます。
そして乳児が鉄欠乏性貧血になった場合、あとから鉄剤などで補っても脳機能の障害の一部は改善されないまま残るケースがあるといわれています。
では、乳児の鉄欠乏性貧血を防ぐにはどうしたら良いのでしょうか。
効果的な対策を練るために、まずは原因についてくわしくみていきましょう。
乳児が鉄欠乏性貧血になる原因
乳児が鉄欠乏におちいる原因は、母乳と大きく関係しています。
赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいる時に鉄をたくわえ、十分にストックした状態で生まれてきます。
そして生まれてからもお母さんからもらう母乳で鉄を補給します。
しかし生後6ヶ月をすぎると、これらの鉄だけでは足りなくなります。
お母さんのお腹の中でたくわえてきた鉄を使いはたすと同時に、母乳に含まれる鉄分が生まれた頃と比べて60%程度に減ってしまうからです。
この時期に離乳食などでしっかりと鉄を補うことができれば鉄欠乏の状態にはなりませんが、鉄が十分に補えない場合は鉄欠乏性貧血をひきおこす場合があります。
参照:公立学校共済組合 関東中央病院、慶應義塾大学医学部 小児科
では、乳児の鉄欠乏性貧血を防ぐにはどのようにすればよいのでしょうか。
具体的な対策について、くわしくみていきましょう。
乳児の鉄欠乏性貧血を防ぐための対策
欧米では鉄欠乏性貧血の危険性を考慮し、生後4ヶ月頃から鉄の補充を推奨しているケースもあります。
しかし、日本は欧米に比べて鉄欠乏性貧血に対する意識が低い傾向にあります。
早産児や低出生体重児などの場合には医療機関で鉄が補充される場合もありますが、通常の発育をしているお子さんに関しては、家庭の中で意識して鉄をとる必要があります。
家庭の中で鉄をとるために考えられる対策は次のとおりです。
(1)食事でとる
(2)おやつでとる
(3)育児用ミルクやフォローアップミルクでとる
それぞれの対策について具体的にみていきましょう。
(1)食事に鉄などの必要な栄養素をとりいれる
食事に鉄をとりいれるために、まずは鉄が豊富に含まれる食材を紹介します。
鉄が含まれる食材を積極的にとろう
鉄は動物性の食品に含まれている「ヘム鉄」と植物性の食品に含まれている「非ヘム鉄」のふたつに分けることができます。
ヘム鉄の方が非ヘム鉄よりも吸収率が高く、効率よく鉄を摂取することができます。
それぞれの代表的な食材は次のとおりです。
【ヘム鉄の多い食材】
・豚レバー
・鶏レバー
・牛レバー
・牛ヒレ肉
・赤身肉
・赤身魚(カツオ、マイワシなど)
・アサリ
・カキなど
【非ヘム鉄の多い食材】
・小松菜
・ほうれん草
・枝豆
・乾燥ヒジキ
・大豆(豆腐、納豆、きな粉など)
・卵(卵にはヘム鉄が含まれているという説もあります)など
このように、鉄はさまざまな食材にふくまれています。
鉄の種類により吸収率が異なりますので、身体の状況や他の食材とのバランスを考えて食材を選びましょう。
そして、鉄の吸収率をアップするためには次のポイントも重要です。
鉄の吸収率をアップさせよう
食材の組み合わせにより、鉄の吸収率をアップすることが可能です。
ただやみくもに鉄を含む食材を食べるのではなく、他の食材との組み合わせも意識しましょう。
鉄の吸収率をアップするためには次のような方法があります。
非ヘム鉄は動物性たんぱく質やビタミンC、果実酸と一緒に食べることで、吸収率をアップさせることができます。
ビタミンCは熱に弱いので生野菜のサラダにしたり、食後のデザートとしてビタミンCを含む果物を食べるのも効果的です
【動物性たんぱく質の多い食材】
肉、魚介類など
【ビタミンCの多い食材】
柑橘類、キウイ、イチゴ、緑黄色野菜、いもなど
【果実酸の多い食材】
パイナップル、キウイ、レモンなど
胃酸がよく分泌されていると、鉄の吸収率がアップします。
胃酸の分泌をうながす方法は次のとおりです。
【胃酸の分泌をうながす方法】
・よく噛むこと
・酸味のある食べ物(酢、梅干し、柑橘類など)を食べる
乳児はそもそもこれらの食品をとる機会はほとんどありませんが、参考に紹介します。
タンニン・不溶性食物繊維・リン酸は鉄の吸収をさまたげるため、食事の最中や前後にこれらを含むものをとると、鉄の吸収率が下がってしまいます。
これらを含むものをとる場合には、食事から2〜3時間空けてからとるようにしましょう。
【タンニンを含むもの】
コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶など
【不溶性食物繊維を含むもの】
玄米、おから、ライ麦など
【リン酸を含むもの】
インスタント食品、清涼飲料水、スナック菓子など
参照:森永製菓 かんたん、わかる!プロテインの教科書、サントリーホールディングス株式会社
このように、鉄の吸収率をアップするために食べ合わせの良い食品と食べ合わせの悪い食品があります。
食材の組み合わせに意識して、効率よく鉄を摂取しましょう。
鉄以外の必要な栄養素もしっかりとろう
貧血を予防するために必要な栄養素は鉄だけではありません。
鉄以外に必要な栄養素は、先に紹介したたんぱく質やビタミンCの他にビタミンB2、B6、B12、葉酸、銅といわれています。
それぞれの栄養素を含む代表的な食材は次のとおりです。
【たんぱく質の多い食材】
肉、魚介類など
【ビタミンCの多い食材】
柑橘類、キウイ、イチゴ、緑黄色野菜、いもなど
【ビタミンB2の多い食材】
レバー、うなぎ、卵、乳製品、納豆、葉物野菜など
【ビタミンB6の多い食材】
レバー、魚、肉、バナナなど
【ビタミンB12の多い食材】
レバー、魚介類など
【葉酸の多い食材】
レバー、ほうれん草、ブロッコリー、納豆、アスパラガスなど
【銅の多い食材】
レバー、魚介類、ナッツ、大豆、ココアなど
鉄製の調理器具を使おう
鉄でつくられたフライパンや鍋などを使用して調理すると、鉄が少しずつ溶け出して鉄を摂取することができます。
ただし、テフロンなどで表面を加工されているものでは効果はありません。
鉄製の調理器具を持っていない場合には、「鉄玉子」など調理の際に入れるだけで鉄が補給できるグッズもありますので、ぜひ探してみてください。
このように、鉄を多く含む食材や吸収率を上げる食材をうまく組み合わせて離乳食を用意することで、乳児の鉄欠乏性貧血を防ぐことができます。
市販の離乳食の中にもレバーなどの鉄分を豊富に含むものもありますので、うまくとりいれてみてください。
乳児の貧血予防に最適なレバーを使ったレシピの動画を紹介します。
(2)おやつで楽しく鉄をとろう
鉄などの栄養成分に気をつかった離乳食を用意しても、お子さんがすべて食べてくれるとは限りません。
当然、離乳食を食べてくれなければ食事をとおして鉄を摂取することはできません。
そんな時は食事にこだわるのではなく、鉄の豊富なおやつを用意しましょう。
市販品でも「鉄入り」などと題してクッキーやビスケット、せんべいなどが販売されています。
ご家庭で手作りする場合には、ほうれん草やひじきなど鉄分が豊富な食材をお子さんが好きなクッキーなどのレシピに混ぜ込んでみましょう。
この時、ビタミンCの豊富な果物を添えることで、鉄の吸収率をアップすることができます。
参照:一般社団法人母子栄養協会
鉄分不足を防ぐためにお子さんと一緒に料理やおやつを作っている動画がありますので、参考にご覧ください。
(3)状況に応じて育児用ミルクやフォローアップミルクをとりいれよう
食事やおやつを工夫してもお子さんがなかなか口にしてくれない場合には、育児用ミルクやフォローアップミルクをとりいれましょう。
育児用ミルクやフォローアップミルクには鉄をはじめとする乳児に必要な成分が豊富に含まれています。
そのまま飲むだけでなく、料理やおやつに混ぜることもできます。
ただし、注意が必要なこともあります。
健康な身体のために必要な「亜鉛」や「銅」が育児用ミルクには含まれていますが、フォローアップミルクには含まれていません。
亜鉛や銅は味覚の形成や健康な身体のために必要な栄養素なので、フォローアップミルクに頼りすぎないように離乳食とのバランスに気をつけましょう。
お子さんが貧血になった方の体験談
ここまで発達障害をひきおこす可能性のある乳児の鉄欠乏性貧血について原因や対策をお伝えしました。
では、実際にお子さんが貧血になった方はどのような対応をされているのでしょうか。
お子さんの貧血に対応されている親御さんの声を聞いてみましょう。
土曜日は乳児検診がありまして。完母なので貧血気にしてたんだけど、案の定貧血でして
でも薬飲むまでではなく、食事で補っていこうね!というのと、この子の成長に対して栄養が追いついていないからだね〜って飲みもいいし、食事も取れてるなら大丈夫!ってアドバイスもらいました
引用元:Twitter
こちらは完全母乳で育てたお子さんが貧血と診断されたというツイートです。薬ではなく、成長の状況をみながら食事で補うよう医師からアドバイスを受けたという声です。
このように、さまざまなお子さんが貧血と診断されていますが、みなさん共通して「食事で補う」ということに意識して取り組んでいます。
毎日栄養たっぷりの離乳食を用意することはとても大変なことですので、市販品などもうまく利用しながら美味しく貧血予防をしていきましょう。
まとめ
今回は、発達障害をひきおこす可能性のある乳児の貧血についてお伝えしました。
・乳児が鉄欠乏性貧血になると、発達障害の症状が残る可能性がある
・貧血を予防するには鉄を摂取する必要がある
・鉄をとる際は食材のくみあわせに注意する必要がある
以上のことを意識して、乳児の貧血を事前に予防しましょう。
そして、貴重な離乳食の時期を楽しいものにしていきましょう。