皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!
今回のキーワードは「発達障害 クレーン」についてです。
誰かに言われたり、何かで読んだのでしょうか?
もし、お子さんにクレーン現象が見られたことが理由で発達障害の可能性があるのではと不安になっているのでしたら…。心配し過ぎることはありません。
なぜなら、クレーン現象だけでは判断できないからです。
クレーン現象はどんな子に見られると思いますか?この記事ではクレーン現象についての解説と、発達障害が疑われる時にどう行動すればよいかお伝えします。
目次
クレーン現象は発達障害?いつから始まるのか
一般的には1歳前後からクレーン現象の傾向が見られ始め、1〜2歳頃をピークに3歳を超えると少なってきます。
発達障害のあるなしに関わらず、クレーン現象の見られる子と見られない子がいます。
つまり、クレーン現象が見られることだけで、発達障害と判断することはできません。
子どものクレーン現象はなぜなのか、まず、「クレーン現象とは」から説明していきましょう。
クレーン現象とは
自分の要求を言葉ではなく行動で伝え、満たそうとすること。
イメージしやすい行動として、何か取って欲しいものがあるときに、大人の手を取って動かし、欲しいものを代わりに取らせるような仕草があります。
クレーン現象をするのはなぜ?
言葉が話せると「●●、とって」と言えますよね。
でも、思うように言葉が話せないと、自分の意思をこのような行動で伝えることがあるのです。また、●●の部分の言葉を知らない場合にもクレーン現象が見られます。
子どもの成長は常に平均的に進むわけではありません。個人差が大きいので、1つの要素だけで発達障害かも、と心配し過ぎることはありません。
参考
「クレーン現象とは?発達障害児によく見られる?【ASD】」
こちらは、クレーン現象が自閉症児だけでなく健常児にもみられる現象だと言うことを分かりやすく説明してくれている動画です。
クレーン現象以外の気になる行動
同じように発達障害ではないかと心配される行動に「逆さバイバイ」「オウム返し」があります。
「逆さバイバイ」は、手のひらを自分の方へ向けてバイバイすること。
「オウム返し」は、相手の言ったことをそのまま同じように繰り返すことで、やはりこれだけでは判断できません。
クレーン現象と同様に、発達障害児にも健常児にもみられる行動なのです。
▼発達障害児のオウム返しにフォーカスをあてた記事も公開しています。興味があればお読みください。
クレーン現象と発達障害との関係
そもそも発達障害とはどういう状態をいうのでしょうか。
発達障害とは、自閉症スペクトラム(ASD)・注意欠陥多動性障害(ADHD)・学習障害(LD)の3つの障害をさします。
生まれつき脳の機能に障害があり、コミュニケーションや学習面などで問題を抱えている状態です。
クレーン現象は言葉の発達が未熟だと起きやすいので、専門家の間でもクレーン現象がみられる子は発達障害だと判断する人がいます。
しかし、言葉の発達は個人差が大きく、後から追い付くことも多いので一概には判断できません。
▼発達障害の可能性を考えて、不安になっている方は是非こちらの記事もお読みいただきたいです。
特定の要素だけで発達障害と判断することはできない
最近では、子どもに発達の遅れが見られたときは、より早い段階で診断をし、指導を始めることが増えてきました。早めに気づいて特性にあった対応をすることは大切なことです。
その一方で、「早く気づいて対応しなきゃ!」という思いが勢い余ってしまうケースもあります。心配し過ぎて親御さんの不安がお子さんにも伝染してしまうこともあるでしょう。
親御さん自身が違和感を感じる場合も、誰かに指摘された場合でも、特定の1つの要素だけで発達障害であると特定できるわけではありません。
発達障害チェックリスト
簡単なチェックリストで自閉症のリスクがわかるものもあります(M-CHAT)。
しかし、検査は診断を確定するものではありません。
M-CHATは確かに自閉症のハイリスク状態を検知することができます。陽性(リスクあり)とされた子どもの約半数が後に自閉症と確定診断されます。しかし、別の言い方をすれば約半数の子どもが自閉症にはならないのです。
何か変だよ、日本の発達障害の医療(4) 判断が早すぎる!
榊原 洋一(CRN所長、お茶の水女子大学名誉教授、ベネッセ教育総合研究所常任顧問)
参考
CHILD RESEACH NET 所長ブログ「何か変だよ、日本の障害発達医療」
あくまで可能性があるということなので、その後子供が成長して、発達障害の傾向がなくなることもあります。
子どもは常に成長・変化していますし、そのペースは違っているのです。
相性の問題
幼稚園や学校の先生と子どもとの相性が悪いと、発達障害が疑われることがあります。
しつけや作法を重んじる園では、協調性のない子と見るかもしれません。
厳しく指導する傾向の強い担任の先生は、指示が入らないことを子どものせいだというかもしれません。
指示が入らないのは、大人の側に問題がある場合もあるし、子どもの個性(自己主張が強いなど)が理由の場合もあるのです。
言葉をそのまま受けてしまうのではなく、まずはお子さんの現状をしっかり見てあげてください。
専門家の傷つく言葉
専門家からの傷つく言葉ってたまにありますよね。
- 乳幼児健診で、成長曲線はちゃんと描いているのに小柄な子どもに対して「発達異常が見られます」
- 家ではできる指差しが健診ではできなくて「自閉症の疑いがあるので検査を受けてください」
- 多動の相談で「聞き分けの悪そうな顔してますね」
これは全部実際にあった話です。
こんなことを言われたらショックですよね。
でも、ちょっと冷静になったら、なんか変だなって気付きませんか?
一つの気になる行動を一回見ただけで断言できるものではありませんよね。
今はその傾向が見られたけど、大きくなるにつれて発達が追い付いてくることもあるのです。
発達障害の判断は、基準がとても難しいものです。早く気付いた方が、子どものためだという考えもあるでしょう。
でも、それ以上に傷つき追い込まれて、子どもを怒ってしまうことで、二次的障害を引き起こすかもしれません。
ほとんどの専門家はこんなこと言いません。
しかし、安易に断言することで不用意に相手を傷つけてしまう人が、残念ながらいるのです。
たったひとことの言葉に振り回されないようにしてください。
成長のスピードとバランス
成長のスピード
子どもの成長は、その個人差がとても大きいものです。
運動面では、幼稚園でかけっこが断トツの速さだった子が、周りの子どもの成長が追い付いたことで順位を下げることがあります。
言葉の発達では、今まで無口だった子が、コップにたまった水が溢れ出るようにしゃべりだすこともあります。
言葉が出ないことでクレーン現象が見られていても、成長が追い付いていつの間にか見られなくなっていることもあるのです。
成長のバランス
成長のバランスは、ほとんどの子がアンバランスです。
一般的に言われている順序で成長するとは限りません。
- 言葉は早いがボールをうまく投げられない
- 知恵ははたらくが手先が不器用
- 運動能力は高いが会話は苦手
今はアンバランスな部分が気になるかもしれません。
しかし、成長とともにその差が埋まってくることも多いのです。
出来ないことを数えるのではなく、できることを数えていきましょう。
それぞれが、その子の個性なのです。
どの子も成長している
クレーン現象は、その子が目的を達成するためにとる行動です。
子どもなりに考えた結果なのです。
小さな子供が自分で考えて見つけた方法だと思うと、健気だと思いませんか?
もし、お子さんにクレーン現象が見られたら。
どうか、気持ちを汲んで応えてあげてください。
そして、言葉で説明して、どんなふうに言ったらいいのか教えてあげましょう。
決して怒っちゃダメですよ!
日々の刺激が子どもの成長を助けてくれます。
スピードや順番は違っても、みんなちゃんと成長しています。
まとめ
クレーン現象が発達障害を判断する基準にはならないことは、分かっていただけたでしょうか。
子どもの様子が心配で心配で仕方がないのは、「子どもに幸せでいて欲しい」という親心ですよね。
少しでも早く診断をつけて、少しでも幼いうちに指導を受けたら、この子の幸せにつながるんじゃないか。
でも、子どもを幸せにしたいという思いでしたことが、逆に不幸にしていたら悲しいです。
- 子どもを傷つけていないか
- 子どもを追い込んでいないか
- 大人の焦りを子どもに押し付けてはいないか
出来るようになったことを一緒に喜び、楽しいこと、嬉しいことを一緒に感じてください。