皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害とマルチタスク」についてです。
発達障害の人は、仕事や勉強などを同時に行うことが難しいって言われますよね。あれこれやらないといけないことがいっぱいで、少しパニックになってしまうような人を想像するかもしれません。では、実際にはどうなんでしょうか?
この記事では、発達障害の人がマルチタスクが苦手だと言われるのかについて、その背景や状況について説明します。また、後半では、マルチタスクを上手に乗り切る3つの方法や、発達障害の人を支える周囲の人が出来る3つのコツについても紹介します。
最後まで読んで頂けると、これまでの作業に追われ大変だった毎日が少し楽になってくるでしょう。
目次
発達障害の人ってマルチタスクが苦手って本当?
発達障害の人は、本当にマルチタスクが苦手なんでしょうか?
結論からお伝えすると、答えはYESです。多くの発達障害の方が、同時に仕事や学業を行うことが難しく、社会生活に難しさを感じています。
その理由は、以下の3点があります。
・1点のことに集中しすぎてしまう。
・注意が散漫になる。
・こだわりが強い。
それぞれについて、説明しますね。
1点のことに集中しすぎてしまう
発達障害の人の中には、過集中と呼ばれるほど、一度集中すると、注意が離れにくくなります。目の前のことに没頭しすぎて視野が狭くなり、周囲からの情報が全くはいらなくなることがあります。
その為、周囲から声をかけられたり、電話が鳴っても気づかないことがあり、周囲への気配りが出来なくなります。本人は、ただ気づかなかっただけなのですが、周囲から怒られてしまうことがあります。
注意が散漫になる
上記の過集中とは真逆のような話ですが、周囲の音や声などの刺激に対してすぐに反応してしまう人もいます。目の前の仕事をしていた時に、声をかけられたり、気になるものがあると、集中力が途切れてしまいます。人によっては、目の前の作業を完全に忘れて、刺激の方ばかりに注目してしまいます。
また、ワーキングメモリー(頭の中にある情報の保持量)が低い場合は、元の仕事に戻ってきた時に、すぐに中断前の状態に戻ることが出来なくなります。1からやり直しが必要になり、時間がかかってしまいます。
こだわりが強い
自分が納得するまで次のタスクに進みにくくなります。細かいところが気になってしまったり、必要以上に掘り下げて仕事を続けてしまいます。その結果、他のやらないといけない仕事が疎かになってしまいます。周囲から求められているものではなく、本人のこだわりによる影響です。
また、こだわりは、やり方を変えることの難しさにも繋がります。もっと効率の良い方法を伝えても、自分のやり方に固執してしまい、新しい方法を取り入れることが難しいこともマルチタスクの弊害になります。
マルチタスクってそもそも何?良い面と悪い面とは?
マルチタスクとは、元々はパソコンが行う処理を「タスク」という単位に分け、同時処理をしていくIT用語として使われていました。現在では、同時に複数の仕事を行うことをマルチタスクと呼ぶことが多いでしょう。
マルチタスクの良い面
時間を効率よく使うことが出来る
仕事を同時に行うことが出来るので、作業量が増えます。例えば、料理を作る時をイメージしてみましょう。
ご飯を炊飯器で炊きながら、味噌汁を作る。その間に、魚焼き器でサンマを焼いている…。短時間で夕食が出来ましたって言うのも、マルチタスクが出来るからでしょう。
気持ちに余裕を持ちやすい
やるべき仕事を早く済ませることが出来る為、時間的な余裕を持つことが出来ます。1つ1つやっていたら1日かかっていた作業を、半日で手際よく済ませ、午後はDVDでも見ながらのんびりするといった時間が、こころのゆとりに繋がりやすいでしょう。
集団生活(学校や職場)で適応しやすい
学校や職場など人が集まる場所では、人が話しかけてきたり、雑音が気になる環境があるでしょう。自分のペースが守られず、突然日程が変わったり、急ぎの仕事を頼まれたりといった臨機応変さが求められます。
マルチタスクが出来る人は、柔軟に対応できる人が多いです。柔軟に合わせられる人は、集団生活でも大きな苦痛を感じず過ごせるでしょう。
マルチタスクの悪い面
脳が疲れてしまう
マルチタスクを紐解いてみると、実はシングルタスク(1つの作業)を高速で切り替えていることが分かっています。シングルタスクの切り替えの数が増えてくることや、脳が休まる時間が持てないことにより、脳が疲れてしまいます。
実は効率が悪かったりする
マルチタスクは効率が上がる場合もありますが、逆に効率が下がるといった研究もあります。ロンドン大学が1100人の人を対象にした調査では、マルチタスクを行うと、徹夜明けやマリファナ使用後と同程度のIQに低下することが分かっています。
マルチタスクの効率化を目指すには、本人の特性や作業内容などを知った上で行わないと、逆効果になってしまうでしょう。
器用だからと雑用ばかりを押し付けられる
マルチタスクが出来る人は、器用だと評価される傾向があります。その為、簡単な雑務などはすぐにこなせてしまう為、どんどん作業量が増えていく可能性があります。雑務をすることが主な仕事であったり、それを楽しんでいる場合は良いでしょう。
しかし、本来は腰を据えて行いたい業務がある場合は、時間的なゆとりが持てなくなり、業務が出来なかったり、外されてしまうこともあるでしょう。
発達障害の人がマルチタスクを上手に乗り切る2つの方法
発達障害の人が、複数の仕事をこなす為に、重要なことは、マルチタスクをシングルタスクにすることです。つまり同時進行で行うのではなく、1つずつ順番に行っていく方法を習得することが大切です。
マルチタスクをシングルタスクにするってどうやるの?
ここでは、今日から実践できる2つの方法を紹介します。
タスクを見える化し、量と順序を把握する
自分がやるべきことは、見える形にすることが大切です。頭の中であれこれ考えていると、頭がそれだけで混乱してしまいます。では、何を見える形にすることが大切なんでしょうか。
・やるべきこと
・優先順位
たった2つだけです。自分が今抱えている仕事や課題を、とりあえずすべて書き出し、それを優先順位に並べて、1つずつ上から片づけていく方法が、最も効率よく片付けることが出来ます。
この時に、あちこちに付箋を張ったり、ノートに書きだしたりすることも出来ます。しかし、付箋がはがれて無くしてしまったり、ノートに書きだした優先順位が変わったりすることもあり、使い勝手はあまりよくありません。
ここで、スケジュール管理としておススメしたいのが、trello です。
このスケジュール表は、無料で使えるスケジュール管理ソフトです。
もちろん無料であることは魅力の1つですが、管理画面で、タスクを一覧で確認することが出来ますし、優先順位を入れ替えることも簡単です。また、現在進行形のタスクや、完了したタスクなどを分けておけることで、今何をすれば良いのかを明確にすることが出来ます。
無料で使えるソフトなので、スケジュール管理に困っている人は、是非一度試してみてはいかかがでしょうか?
自分の作業スピードを把握する
1つ1つの作業にどれぐらい時間がかかるかを把握することは出来ていますか?自分のイメージと実際の作業時間にギャップがあると、スケジュール管理が難しくなります。発達障害の人の中には、あちこち気が散ってしまったり、逆に1つの作業に没頭してしまいがちです。改めて、自分の作業時間を測ってみることで、大体の作業時間を把握することが出来ます。
把握が出来ると、自分の全体の作業時間に適したスケジュール作りに役立ちます。もし、作業が多すぎることが分かった場合には、職場の人に実際のスケジュールなどを見せながら相談することが良いでしょう。
マルチタスクに困っている人への3つのサポート
もし、周囲に発達障害の方で複数のタスクを行うことに難しさがある方がいた場合、3つのポイントを意識して関わると良いでしょう。
・指示は1つずつ、具体的に
・指示は紙に書く/メールで知らせる
・作業中に声をかけない
それぞれのポイントについて説明してみますね。
指示は1つずつ、具体的に
指示が何個もあると、頭の中で整理が難しくなります。最初に何を言われたのか忘れてしまい、結局何から始めたら良いのか分からないなんてことも起きます。また、「あれ」「それ」といった抽象的な言葉も分かりにくいので、具体的に指示を出すことが大切です。
悪い例
この書類を12部コピーをして、順番通りに並べてから、ホチキスで止めてください。書類は会議に使う人がいるので、その人の名前を書いたら、会議室のテーブルにおいて下さい。会議室のカギは、用務員さんが持っているので、取りに行って下さい。
良い例
- 書類を12部コピーしてください。
- 順番に並べて、ホチキスで止めてください。
- 1つ1つに会議に参加する人の苗字を「表紙の右上」に書いてください。
- 3Fの会議室の入り口からすぐ左にある机の上に、書類を置いてください。
- 会議室のカギが閉まっていた場合は、1Fエントランスにいる用務員さんから、鍵を借りて開けてください(扉は開けっ放しで大丈夫です。鍵は会議参加時に私に渡してください)。
少し細かいなと感じるかもしれません。しかし、曖昧な表現は発達障害の人にとっては、とても分かりづらく感じてしまいます。1つ1つの段階分けをして、伝えましょう。
指示は紙に書く/メールで知らせる
指示をする時には、口頭よりも紙に書いて渡す方が良いでしょう。発達障害の方には、耳からの情報は、入りづらかったり、忘れてしまうことが多く見られます。紙やメールで伝えると、ご本人は何度も予定を確認することが出来るので助かります。
メールなどを使用する場合は、オンラインのスケジュール管理と繋げることが出来ます。また、メールを確認することを忘れてしまう人の場合は、メールチェックの時間を決めてあげるのも良いでしょう。
作業中に声をかけない
本人が作業をしている時に、話しかけると、集中力が切れてしまいます。人によっては、すぐに元の作業に戻ることが出来る人もいますが、発達障害の方は難しい場合が多いです。
途中までの作業を、最初から思い出していく時間が必要になります。その為、作業中に声をかけるのではなく、1つの作業が終わったタイミングで声をかけることをおススメします。
まとめ
発達障害の人にとって、マルチタスクをこなすことは難しい場合があります。1つ1つの作業を行う力があるにもかかわらず、複数になってしまうことで、全ての作業がうまくいかなくなってしまいます。
この記事で紹介した様に、シングルタスクへの工夫や、周囲の適切なサポートがあれば、発達障害の人も本来の力が発揮することが出来るようになるでしょう。発達障害の人はマルチタスクは無理だと諦めず、特性や強みを理解し、それぞれに適した方法で、作業を進めていけることが大切です。