皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害トレーニング」についてです。

みなさんは、ソーシャルスキルトレーニング、ということばを聞いたことがあるでしょうか?

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小野田
SST、と略されることもあります。
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橋口
この前行った病院で、張り紙を見かけました。

子どもから大人まで幅広くターゲットにしているトレーニングですが、発達障害のあるお子さんにとっても必要なトレーニングになっています。

ソーシャルスキルトレーニングを実践して、お子さんの生活での困りごとを少なくしてみませんか?

発達障害の子どもとソーシャルスキルトレーニング

ソーシャルスキルトレーニングは、認知行動療法と呼ばれる心理療法の一つです。

カタカナの名前やSSTという略称だけ聞くと難しそうに思われますが、「相手とよい関係を築いて維持していく能力の訓練」と思えばわかりやすいのではないでしょうか。

ソーシャルスキルとは?

日本ソーシャルスキル協会によれば、ソーシャルスキルとは以下のようなものとされています。

ソーシャルスキルは、直訳すると「社会的技能」。

相手の気持ちや状況を尊重しながら、 自分の気持ちや状況を上手に伝えられるスキルです。 お互いの心を大事にしながら、問題を解決したり、創造したり・・・ 共にイキイキ生きるためのものなのです。

ソーシャルスキルは、 やり方を学び、トレーニングを積むことで、 誰もが習得し、磨くことができます。

引用:日本ソーシャルスキル協会

誰かとの関係を築いて維持していくうえで必要になる、相手の気持ちや状況を読み取ったり、自分の気持ちを把握してコントロールしたりすることで、その場に応じた行動をとれるようになるための能力、と考えればいいでしょう。

発達障害の子どもにSSTが必要になる理由

発達障害は、脳の機能の偏りによって生じる発達の凸凹です。

特に、自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)のお子さんは、コミュニケーションが苦手といわれています。

これは、脳の機能の偏りによる問題によってソーシャルスキルを学び損ねたり、間違えて学んでしまったりすることが原因の一つになるからです。

学びそこなった部分を補ったり、間違えて学習した部分を正しく学習しなおしたりすることは、対人関係や集団生活での困りごとを減らすことにつながります。

具体的に言うと、

  • あいさつができるようになる
  • 友だちに暴力を振るってしまうことがなくせる
  • 自分の気持ちを伝えられるようになる
  • 人の話を聞くことができるようになる

などの効果が期待できます。

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橋口
生きていくうえで、人とのかかわりは欠かせないものです。
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都築
その中で困ることが減らせるというのならば、やったほうがいいですよね。

ソーシャルスキルトレーニングについて、簡単にまとめた動画があります。
ご覧になってみてはいかがでしょうか?

もう一つ、トレーニングの一種として、お子さんとの接し方を学ぶためのペアレントトレーニングというものもあります。
それについては、以下の記事で詳しくまとめられていますので、よろしければご覧ください。

ソーシャルスキルトレーニングの内容

ここでは、ソーシャルスキルトレーニングの内容についてみていきます。

一般的な流れ

ソーシャルスキルトレーニングは、一般的には次のような流れで行われます。

教示

まず、教示、という段階があります。

ここでは、「なぜその能力が必要になるのか」「その能力がないとどうなってしまうのか」「身につけるとどんないいことがあるのか」をことばや絵カードを使って伝えます。

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橋口
目的がわからないと、やっていても不安になったりやる気が起きなかったりしますよね。
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都築
初めに伝えるのは大切ですよね。

モデリング

次に、モデリング、という段階に移ります。

簡単に言えば、お手本を見せます。

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小野田
いい例だけではなく悪い例を見せることもあるそうです。
ですが、悪い例が印象に強く残ってしまうこともあるため、悪い例を見せるときは慎重に選ばなければなりません。

見せるときは、お子さんがイメージしやすいように、動画や絵、プリントなどを使います。

リハーサル

次は、リハーサルという段階です。

ここでは、指導員や一緒にトレーニングを受ける仲間を相手に、教示の段階で習った能力について、実践してみます。

実践方法としては、以下のようなものがあります。

ゲームその名の通り、ゲームをします。ルールを守ったり、仲間と相談して協力したりすることでソーシャルスキルを学びます。
ディスカッション/ディベート自分と他人では価値観が違うことを知ることができます。加えて、自分の意見を伝え、他人の意見を聞いて、そのうえで協力することができるようになる効果が期待できます。
ロールプレイ実際の生活の中で困ってしまう場面などを想定して、どのように行動すればいいかを考えて練習します。課題になっている能力について直接的にトレーニングするため、とても効果的です。
共同行動一緒に何かを作って食べたり、遊んだりするという、楽しいゴールを持った行動をします。仲間と相談したり、助け合ったり、役割を分担したりするなどの能力が身につくことが期待できます。具体的には、料理をしたり工作をしたりします。
ソーシャルストーリーキャロル・グレイという人が開発した方法です。絵と、その絵に描かれた出来事について説明した短い文章が書かれたテキストで、その文章を読むことで理解力を高めたり、適切な行動やことばづかいを自分の意志で選んだりできるようになる効果が期待できます。

他にも、ワークシートや四コマ漫画、紙芝居などを使った方法もあります。

フィードバック

リハーサルが終わったら、次はフィードバックという段階です。

適切な行動がとれたときには褒めます。
反対に、不適切だった場合は、どうすればよかったのかを伝えます。

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橋口
何事も、やりっぱなしでは身に付きませんから、評価が必要になりますよね。
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小野田
ここで大切なのは、やはり不適切でも怒ったり否定したりしないことでしょう。

般化

最後は、般化という段階です。

学んだ能力を、リハーサル以外の場面でも実行できるようにしていきます。

どのような環境や方法なら日常生活の中で実行できるか、指導者や参加した仲間と一緒に考えたり、園や学校などと連携、協力したりします。

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小野田
この五つの段階を繰り返し行っていきます。
ポイントは、話を聞くだけではなく、実際に活動して学ぶという点です。
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橋口
実際に活動すると、記憶に残りますからね。
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小野田
あとは、他者からの評価を受けることで自分の行動などを見直す点も重要です。
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都築
自己評価も大切ですが、それだけでは偏ってしまいますしね。

実際の例

日常生活の中では、次のようなトレーニングができます。

挨拶をする

挨拶は対人関係の基本です。

ですが、ソーシャルスキルを学びそこなったり、間違って学んでしまったりした場合には、場面に適切な挨拶ができないことがあります。

そのため、日常生活の中で、挨拶をできるように訓練することは、立派なソーシャルスキルトレーニングになります。

まずはことばで挨拶をする習慣をつけるところから始め、段々と目を合わせて挨拶をする、場面によっては笑って挨拶をする、などとステップアップしていきましょう。

会話をする

いきなり会話をする、といわれても難しく感じると思います。
むしろ、それができなくて困っている、と思われるでしょう。

ですが、そう難しく考える必要はありません。

自分の名前、年齢など、決められた質問に対して答える、なにかストーリーに沿ってことばのキャッチボールをする、会話の内容を振り返る時間を設ける、などから始めれば、少しずつ相手を傷つけてしまうことばを使うことが減り、自分が話したいことだけを一方的に話してしまうことが減っていきます。

「お名前は?」「何歳ですか?」「好きなものは何ですか?」から始めていきましょう。

相手の気持ちを考える

これも、ロールプレイやストーリーを使って行っていきます。

「遊んでいるときにおもちゃを取られてしまったら、どう思うか」など、自分ならどう思うか、そして相手がどう思うかを意識的に考えさせることで、実際の生活や対人関係でも無意識のうちに相手の気持ちを察することができるように訓練していきます

SSTができる場所と料金

ソーシャルスキルトレーニングは、精神科の病院や療育施設の他にも、保育園、幼稚園、学校などの教育現場や、大きくなってからは就労支援など、様々な場所で受けることができます。

もちろん、家庭でも行うことができます。

無料で受けられる場所もありますが、民間の医療機関や教育事業団体などが行う場合は、内容にもよりますが、一回あたり4,500円~から10,000円ほどかかるようです。

ソーシャルスキルトレーニングについての書籍

ここでは、ソーシャルスキルトレーニングに関する書籍をご紹介します。

タイトル子どもの発達障害とソーシャルスキルトレーニングのコツがわかる本
著者西永堅
出版社ソシム
価格1,760円
ページ数176p
出版日2020年12月23日
2021年12月31日現在 楽天ブックスより抜粋

先生や保育士だけでなく、発達障害を抱える子どもを持つ保護者もターゲットにした入門書です。


発達障害の特徴とソーシャルスキルトレーニングの基本と方法を予備知識がない人でもわかるようにまとめたものです。

二部構成になっており、一部では発達障害や、必要になるソーシャルスキルの特徴をまとめ、二部でソーシャルスキルトレーニングの基礎知識と方法を説明しています。

良い口コミとしては、

  • かなり専門的だが理解できた
  • 今まで見た本の中で一番わかりやすかった

というものがありました。

悪い口コミとしては、

  • SSTの具体的なやり方をもっと知りたかった

というものがありました。

タイトル発達障害の子をサポートするソーシャルスキルトレーニング実例集
著者腰川一惠, 山口麻由美
出版社池田書店
価格2,420円
ページ数191p
出版日2017年1月20日
2021年12月31日現在 楽天ブックスより抜粋

保育園から中学校まで使える、という触れ込みの一冊です。

一番難しそうな段階である般化のポイントがわかる、と紹介文にありました。
ソーシャルスキルとは、ソーシャルスキルトレーニングとは、という基本的なところから始まり、実例集、園や学校などでの導入例などが掲載されています。

口コミはまだ「読んでみます」というものしかありませんが、「子どもの「困った!」から引けるトレーニング検索/言葉」という章があるのが役に立つのではないかと思い、おすすめしました。

少し値段が高いので、図書館などで中身が見られる場合には先に使えそうか確かめてみるとよいかと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか。

少し長くなったのでまとめると、以下のようになります。

  • ソーシャルスキルは、他者との関係を築き、維持するために必要な能力
  • ソーシャルスキルトレーニングすることで、対人関係や集団生活での困りごとを減らすことができる
  • ロールプレイやゲーム、絵カードやワークシートなどで実践して行う
  • 家庭でもできる

発達障害がない子どもや大人でさえ、対人関係や集団生活で困る場面はあります。
発達障害を抱える子どもは、特に困りごとが多いでしょう。

ソーシャルスキルトレーニングによって、その困りごとが少しでも減らせるように、始めてみませんか?

ここまでお読みいただきありがとうございました。