皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「集団行動 苦手」についてです。

お子さんが集団行動苦手で、集団に入っていけていない様子を目にすると、親御さんとしては心配になりますよね。

「この子は集団に馴染めないのだろうか」「将来どうなってしまうのだろう」と考えてしまうこともあるかもしれません。

しかし、適切な手立てや支援があれば、その「苦手」をぐっと軽減することもできるんです。

お子さんの「苦手」は手立てが必要なものなのか、手立てを講じるにはどうすればよいのか、詳しく見ていきましょう。

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都築
一言で「集団行動」と言っても、もしかしたら人によって想像することが違うかもしれませんよね。
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小野田
確かに、そうですね。
では、
・授業中や保育時間などの活動を「集団生活」
・休み時間などを数人の決まった友達と過ごすといった行動を「グループ行動」
・「集団生活」と「グループ行動」合わせて「集団行動」
と区別して考えてみましょう。

集団行動が苦手|心配ない場合と注意すべき場合とは?

一言で「集団行動が苦手」と言っても、心配いらない場合と、注意すべき場合があるのです。

心配しなくてよい/様子見でよい

下記のような場合には、心配しなくてよい、またはとりあえず様子を見てよいと考えられます。

心配ない/様子見でよい場合

・他に深刻な困り感がない場合
・就学前のお子さん
・グループ行動が苦手な場合

他に深刻な困り感がない場合

集団行動が苦手であっても、集団行動以外に深刻な困り感がない場合は、あまり心配はいりません。

単に集団行動が苦手なだけであれば、集団行動の経験が不足していることも考えられます。

成長するにつれ、集団行動に慣れたり、周囲の目に気づいたりして、馴染んでいくことができる可能性が高いです。

ただ、年齢を重ねるごとに状態が悪化していく場合には注意が必要になりますので、お子さんの集団での様子を先生に聞くなど、よく様子を見てあげましょう。

就学前のお子さん

2~3歳のお子さんであれば、すぐに手立てを講じなければならないということはありません。

集団行動ができるようになるのは、4歳頃からだと言われているからです。

3歳頃までは、友達と同じ場所にいて同じ遊びをしていても、よく見ると一緒に遊んでいない場合がほとんど。

これを「平行遊び」と言います。

4歳頃になってくると、「連合遊び」と言って、一つのおもちゃで一緒に遊んだり、協力して遊んだりすることができるようになってくることが多いです。

5~6歳頃になると、相談して役割分担をするなど、遊びが発展していきます。

これを「協同遊び」と言います。

ただ、この「平行遊び」から「協同遊び」への発達には個人差があるものです。

また、経験の差もあります。

就学前のお子さんであれば、集団での遊びに入っていけなくても、発達の個人差や経験の差の可能性も高いです。

お子さんが集団での遊びにスムーズに入っていけるよう、親御さんがお手本を示してあげましょう。

しかし、もし、お子さんが「集団行動が苦手」ということ以外にも、日常生活に困り感がある場合には注意が必要になるので、お子さんの様子をよく見ていってください。

グループ行動が苦手な場合

休み時間を数人の決まった友達と過ごすといった、いわゆる「グループ行動」が苦手という場合には、あまり心配はいりません。

お子さんが自分一人で自分の好きな遊びをして、休み時間にリラックスすることを望んでいるのであれば、敢えて友達と遊ぶように促す必要はないと言えるでしょう。

無理に友達と遊ばせようとすると、本人のストレスになり、かえって集団行動への苦手意識を植え付けてしまう可能性も。

みんなで賑やかに遊ぶのが好きな子もいれば、静かなところで遊ぶことが好きな子もいます。

子供といっても一人の人間です。

親御さんが「たくさんの友達と元気に遊んでほしい」と思ったとしても、お子さんの意思を尊重してあげましょう。

しかし、お子さん本人がグループ行動に入っていけないことを悩んでいるのあれば、お子さんに合った手立てを講じる必要があります。

お子さんが、グループ行動を敢えてしていないのか、できずに悩んでいるのかで対応が変わってくるので、お子さんの様子をよく見たり、よく話を聞いたりしましょう。

注意が必要

集団行動が苦手なお子さんで注意が必要な場合とは、以下のようなものです。

注意が必要

・集団行動以外にも困り感がある
・集団生活に大きな支障がある
・グループ行動に入れないことを本人が深刻に悩んでいる

集団行動以外にも日常に困り感がある

集団生活以外にも、以下のような困り感がある場合は注意が必要になります。

・持ち物の管理ができず、落とし物や失くし物、忘れ物が多い

・キレやすい

・物覚えが悪く、日常生活に支障をきたす

・相手の反応を気にせずに一方的に話をする

・計画や予定の通りに物事が進まないと、パニックになる

・TPOがわからない

・自分だけが人と違うことをしていることに気が付かない

上記のような様子が見られる場合には、お子さんには発達障害の可能性があります。

集団行動だけでなく、包括的に支援が必要かもしれません。

▼お子さんが発達障害かどうかを見分ける参考になります。

集団生活に大きな支障がある

集団生活において、以下のようなことがしばしばあり、大きな支障となっている場合も注意が必要です。

・授業中に勝手に立ち歩く

・全員に対する先生からの問いに対し、周囲を気にせずに大声で自分の話をする

・授業や保育内容の予定変更に、パニックになることがある

上記以外にも、集団生活において、本人や周囲の人にとって大きな支障となっていることがある場合には、発達障害の可能性があります。

グループ行動に入れないことを本人が深刻に悩んでいる

グループ行動に入れないことを本人が深刻に悩んでいる場合には、何か手立てを講じる必要があります。

前述しましたが、グループ行動を本人が望まずに敢えて一人で過ごしているような場合は、心配はいりません。

しかし、お子さん本人がグループ行動を望んでいるにも関わらず、うまく入っていけないことを悩んでいる場合は、次のようなことも考えられます。

・グループ行動の経験不足

・発達障害

・精神疾患

お子さんのグループ行動への苦手意識が経験不足からくるものであれば、成長と共に改善されていく可能性が高いです。

しかし、発達障害や精神疾患が原因であれば、放置してしまうと成長と共に問題が深刻化してしまうかもしれません。

まずは、スクールカウンセラーや保健センターの相談員さんなど、身近な専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

▼発達障害のお子さんが「グループ行動が苦手」ということもあるので、参考にしてみてください。

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都築
集団行動が苦手と言っても、心配ない場合と注意すべき場合があるんですね。
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小野田
そうですね。
ポイントとしては、
・年齢
・問題の深刻度
・集団行動以外にも困り感があるかどうか
この3点で区別できそうです。

注意が必要なお子さんには発達障害の可能性が

集団行動が苦手なお子さんで、上記の「注意が必要」に当てはまるお子さんには、発達障害の可能性があります。

発達障害で、集団行動への影響が大きく出ると考えられるのは、広汎性発達障害と、ADHD、またはそれらの重複です。

また、発達障害の二次障害が原因で集団行動への苦手意識が生まれてしまっていることも考えられます。

では、集団行動が苦手なことと発達障害には、どのような関係があるのでしょうか。

広汎性発達障害

広汎性発達障害がある場合、次のような特性が現れることが多くなります。

広汎性発達障害の特性

・うまくコミュニケーションをとれない
・社会性が乏しい
・パターン化した行動、興味関心のかたよりやこだわり

これらの特性により、集団行動が難しくなっていると考えられます。

例えば、先生の話が自分の興味関心のある内容に触れると、授業中であっても先生に一方的に話しかけ、授業を中断させてしまうといったことがあるかもしれません。

または、授業の予定が変更になるとパニックになり、先生に何度も「なぜですか」とたずねたり、変更になった内容についていけなくなってしまうといったことが考えられます。

ADHD

ADHDの特性は以下のようなものがあります。

ADHDの特性

・集中できない
・じっとしていられない
・衝動的に行動する

これらの特性により、集団行動が難しくなっている可能性が高いです。

例えば、授業中にじっとしていることが難しくて、つい勝手に立ち歩いてしまうといったことにつながりやすいです。

また、みんなで並んで歩いていても、気になったものに向かって走って行ってしまい、列からはずれてしまうということもあるかもしれません。

二次障害

二次障害とは、発達障害を周囲に受け入れてもらえないなどの経験がストレスやトラウマとなって、心身に影響を及ぼすものです。

この場合、一時障害にあたる発達障害は広汎性発達障害やADHDに限りません。

例えば、学習障害のお子さんが、障害の特性を馬鹿にされるような経験をしたことで、みんなと一緒に学習する場面で不安を感じる、というような場合もあるということです。

発達障害を受け入れてもらえず、恥ずかしい思いや悲しい思いをしたことや傷ついた経験が、ストレスやトラウマとなって、うまく集団行動をとれなくなっていることも考えられます。

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都築
発達障害が原因の場合は、適切な手立てや支援で、苦手感を軽減していけるんですよね。
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小野田
そうなんです!
なので、発達障害だからと言って、悲観することはないんですよ。
しかし、二次障害は本人が辛い思いをしているので、早期に何とかしてあげたいですね。

集団行動が苦手な子にどんな手立てが考えられる?

残念ながら「これをすれば大丈夫!」といった万能な手立てはありません

なぜなら、なぜ集団行動が苦手なのか、具体的にどのような形で「苦手」が表出しているかは、お子さんによって異なるからです。

なので、次のような手順で、お子さんに合った手立てや支援をみんなで考えてみてください。

手立てや支援の考案手順

①問題行動のリスト化と優先順位付け
②問題行動の起きるきっかけを探る
③具体的な手立てや支援を考案

ここで大切なことは、この手立ては、本人-家庭-学校や幼稚園、保育園(担任の先生やスクールカウンセラー)の3者で共に考えることです。

集団行動に問題があるのであれば、それはほとんどの場合が学校や幼稚園、保育園で起きています。

なので、学校や幼稚園、保育園の先生と相談して決めましょう。

また、お子さん自身がこの相談に加わることも大切です。

①問題行動のリスト化と優先順位付け

まずは、集団行動の「苦手」がどのような形で表出しているのか、具体的にリスト化します。

<リスト化と優先順位付けの例>

1.みんなで列になって歩いている時に、何か見つけると列を外れてしまう

2.授業中に勝手に出歩いてしまう

3.友達と協力して行う作業で、自分勝手に行動してしまう

上記のように具体的にリスト化しましょう。

例えば、「友達と協力して行う作業ができない」では、「自分勝手に行動してしまう」のか「何をすればよいかわからず入っていけない」なのかがわかりません。

「自分勝手に行動してしまう」のと「何をすればよいかわからず入っていけない」のでは、手立てが異なります。

なので、お子さんの様子を具体的にリスト化しましょう。

その上で、どの問題から解決していくか、優先順位を決めます。

この優先順位は、「解決したい順」ではなく、「簡単に解決できる順」で決めてください。

簡単に解決できる問題を解決していく成功体験の積み重ねにより、お子さんが集団行動に自信をもてるようになってきます。

②問題行動の起きるきっかけを探る

問題行動の起きるきっかけを見つけることができれば、その問題は簡単に解決していけるかもしれません。

例えば「みんなで列になって歩いている時に、何か見つけると列を外れてしまう」という問題の場合、何をきっかけに列を外れてしまうことが多いのかを観察します。

もしかしたら、「飼育小屋の前を通る時にいつも列を外れてしまう」ということが分かるかもしれません。

しかし、きっかけがわからない場合も多いです。

そんな時は、きっかけを探ることにこだわる必要はありません。

③具体的な手立てや支援を考案

手立ては、「環境整備」と、「本人との約束」の2つで考えることができます。

ここで言う「環境」とは、人、物、場所など本人以外の全ての要素を指します。

環境整備

環境を整えることで、問題を解決できることもあります。

問題行動のきっかけが分かっている場合は、環境整備で解決できるものも多いです。

例えば、「飼育小屋の前を通る時にいつも列を外れてしまう」という場合は、先生が意図的に飼育小屋の前を通らないようにしたり、「今日は飼育小屋の前を通るから、列を外れないようにできるかな」と予め声かけをしておいたりすることで、解決できるかもしれません。

また、お子さんを列の一番後ろにし、補助の先生と一緒に短い間だけ飼育小屋に行く、という支援も考えられるでしょう。

本人との約束

問題行動の代わりになる具体的な行動を、「約束」として本人に教えるという方法です。

例えば、「授業中にどうしても席を離れたくなったら、出歩く前に手を挙げて先生に知らせてね」と本人と約束する、といったことです。

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都築
お子さん一人一人に合った、オーダーメイドの手立てや支援が必要なんですね。
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小野田
「本人との約束」は、具体的な方法で、少しずつステップアップしていけるのが理想です。

▼問題行動への手立ての講じ方を詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

「集団行動が苦手」はなおさないとダメ?

前述しましたが、「集団行動」と言っても、休み時間に決まった数人の友達と過ごすといった、いわゆる「グループ行動」が苦手という場合は、変える必要はありません。

それは、本人の望みを大切に、親御さんが無理に友達と付き合うようにさせないようにしてあげましょう。

しかし、授業などの「集団生活」に大きな支障がある場合は、できる限り「苦手」が表出しないように手立てを講じてあげる必要があります。

なぜなら、周囲に迷惑をかけてしまうことになる可能性があるからです。

本来は、このような特性のあるお子さんがいても、迷惑とは捉えずに、柔軟に受け入れることができる環境(先生や周りの子)が理想です。

しかし、そうなっていないことがほとんどでしょう。

他の子がお子さんを迷惑に感じている場合、本人に不利益が生じるかもしれません。

お子さんに冷たく当たる子が出てきたり、ひどい場合はいじめに発展してしまうということも。

お子さんの不利益にならないようにするために、適切な支援と手立てを講じてあげましょう。

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都築
集団行動への苦手意識がなくなってくれば、お子さんも自信をつけられるかもしれませんしね。
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小野田
そのために、具体的な手立てや支援で支えてあげたいですね。

まとめ

  • 他に困り感がない、小さなお子さん、敢えてグループ行動からはずれている、という場合には、心配はいらない。
  • 集団生活に大きな支障がある、他にも困り感を抱えている、グループ行動に入れないことを深刻に悩んでいるという場合には、手立てや支援を講じる必要がある。
  • 集団行動が苦手なのは、発達障害(広汎性発達障害、ADHD)や二次障害の可能性もある。
  • 手立てや支援を講じる時は、本人-家庭-学校(幼稚園、保育園)の3者で、本人に合った方法を考える。
  • 本人の不利益にならないようにするためにも、集団行動にできる限り適応できるように手立てや支援を講じるべき

本来ならば、集団行動からはずれてしまうお子さんがいても、温かく受け入れられる集団が理想です。

しかし、そうではないことが大半でしょう。

お子さんが気持ちよく集団生活を送れるように、手立てや支援を考えてあげまてくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。