みなさんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!
今回のキーワードは「発達障害/運動療法」についてです。
発達障害のある子どもの多くが、運動が苦手といわれています。
動きがぎこちない、ご飯が上手に食べられない、お着替えが出来ない…。
このような困りごとが、楽しく遊んでいるだけで改善できるとしたら?
日々の生活に運動療法を取り入れて、子どもを幸せに導きましょう。
目次
発達障害には運動療法が効果的
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発達障害の改善トレーニングは、
コミュニケーションや注意力の改善を求める理学療法が一般的です。
しかし、最近では運動によって症状を改善できるという研究が進んでいます。
遊びを通して体を動かすことで、生活に必要な動作を獲得していく。
さらに、「できるようになる」ことで自己肯定感も得られます。
このように、様々な刺激を受け、発達の遅れを改善していくことが出来るのです。
この、「運動療法」とは、どういうものなのでしょうか。
運動療法とは
発達障害の子どもが、運動をすることによって症状を改善していく療法です。
運動療法では、運動することで脳へ刺激(情報)を与えて、成長を促します。
運動と言っても特別なものではなく、遊びの中で必要な運動をしていくものです。
発達障害の子どもは、多くの場合、運動面でぎこちなさや不器用さがみられます。
先天性の脳機能障害のため、いろいろな感覚をうまく連携(統合)させることができない状態にあるのです。(感覚統合)
この問題は、小学校での「学習の遅れ」にもつながります。
幼児期や小学校低学年の間に、感覚統合を図り、身体の問題をできるだけ改善してあげることが重要になります。
感覚統合とは
見る、触る、動かす、姿勢を保つなどの感覚を、目的に合わせて適切に統合して、なめらかに行えるようにする脳の機能です。
知的発達、身体的発達には異常がみられなくても、この感覚統合が機能していないと、適切な運動ができなくなります。
日常なにげなく行っている、食事、着替え、歩く、運ぶ、座るなどの運動、そして学習。
生活の質を保つために必要な、このような運動が苦手だと、生活が困難になります。
そして、必要な生活習慣を身につける妨げにもなるのです。
また、子どもの時の運動は、健康な体をつくる基礎として非常に重要です。
感覚統合がうまく機能していない場合、発達性協調運動障害である可能性が考えられます。
発達性協調運動障害について
協調運動とは、一つ一つの動きを連携させて、一つの目的とする動きにすることです。
たとえば、目の前にあるボールを、目で見て、足に当てて、足を大きく振り、ボールを蹴りだす。
この一連の流れが協調運動です。
運動が極端に苦手な子どもの場合、「発達性協調運動障害」という発達障害の可能性があります。
- ボールを持つことはできるけど、ボールを蹴る、投げることが難しい。
- 歩いたり走ったりはできるけど、動作がぎこちない。
- バランスをとることや、力を加減するのが苦手。
これは協調運動の苦手な子どもにみられる特徴です。
発達障害の子どもの運動療法では、「協調運動」を意識して取り組むことがとても重要です。
発達に偏りのある子どもは、協調運動を苦手としている場合が多いからです。
運動療法によって子どもの協調運動能力が向上すれば、運動を伴うコミュニケーションの能力も向上します。
協調性運動障害と考えられる主な症状
乳幼児期
- 寝返りが出来ない
- お座りしない
- 立つ、歩くのが遅い
- 何もないところでよく転ぶ
学童期
- 姿勢が崩れやすい
- 座っていても落ち着かない
- うまく字を書くことができない
- 筆圧が弱い
- 縄跳びが飛べない
- ボール遊びができない
- 箸をうまく使えない
- メモなどを見ながらの書き写しができない
- 字を書くときにいつも紙を破いてしまう
- 靴ヒモが結べない
- ボタンがとめられない
一般的に出来るとされる発達年齢に達しても、このような様子が見られたら、
専門医に相談してみることをお勧めします。
運動療法で得られる効果
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運動療法では、発達障害の症状をどのように軽減していくのでしょうか?
遊びのなかから身につける
運動療法では、遊びを通して運動能力を向上させていきます。
子ども本人が、楽しみながら集中して取り組むことを通して、脳への良い刺激が得られるのです。
このとき、様々な感覚を連携させて運動することで、今までできなかったことが出来るようになってきます。
「できた!」という成功体験が自信を生み、ポジティブな思考が生まれるのです。(自己肯定感)
物事に対して積極的に取り組めるようになると、脳が活性化します。
年齢の低い時期に始めると、トレーニング効果に身体の発達も加わって、より高い効果が得られる!
ですから、ぜひ早いうちに始めて欲しいのです。
日常生活で基礎的な運動ができるようになると、
日々のストレスからも解放されて前向きになれます。
運動療法を進めることは、体の発達だけでなく、脳の発達にも良い影響を与えることになるのです。
大事なことは、「楽しむこと」。
遊びのなかで楽しみながら、体や感覚の使い方を覚えていきましょう。
いつのまにか集中できていた、というのが理想です。
けして意識的に集中させるのではありません。
自分から進んでやりたがる!
いつのまにか集中していた!
という状態で取り組めるのが運動療法のメリットです。
親も子どもと一緒に運動しながら楽しんでください。
一緒に楽しめることで、子どもの「自己肯定感」は、より高まります。
自己肯定感について
自己肯定感とは、自分にはできる、自分は存在価値があると、感じる感覚のことです。
自己肯定感が持てると、物事をポジティブにとらえ、新しいことに挑戦する意欲がわきます。
自分が受け入れられている、と感じられる子どもは、相手も受け入れていくことができるようになります。
しかし、自己肯定感が低いと、ネガティブな思考へと傾いてしまうのです。
発達障害のある子どもは、周りの人が普通にできることが、頑張ってもできないことがあります。
このことで、
- 良く怒られる
- 集団行動に合わせられない
- 忘れ物が多い
- 存在を否定される
などの経験が増え、自信をなくしてしまいます。
周囲とうまくいかず、疎外感を感じたり、いじめにあったりするうちに、
自分は受け入れられていないと感じるようになってしまいます。
そして、自分は期待に応えられない、役に立たない、存在価値がないと思ってしまい、
自分に自信が持てなくなるのです。
すると、何かに興味を持っても積極的な行動がとれなくなり、
「どうせできないから」とあきらめてしまうので、意欲もわかなくなってしまいます。
このように、常に不幸を感じている子どもは、自分を尊重できません。
他人にもうまく接することが出来なくなります。
なかには、他人を支配しようとして攻撃的になる子どももいます。
あらゆる面でストレスを抱え続けることで、精神障害を発症してしまうかもしれません。
幸せに生きるためにも、自己肯定感を高めてあげたいですね。
運動療法ではどんなことをするのか?
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トレーニングの内容
「運動療法」では、まず姿勢を保つことを中心に、体のバランスをとるトレーニングをします。
バランスがとれるようになったら、次はより複雑な機能を得られるような基礎作りです。
バランス機能、協調性、ボディ・イメージ(体の感覚)を順に覚えていきます。
こういった基礎ができてから、さらに学習能力やコミュニケーションなどの段階へ移っていくのです。
バランス機能
- 座ってバランスをとる
- 側方ブリッジ
- 四つ這いになってバランスをとる
- 立った姿勢でバランスをとる
- 動的立位
- バランスボールエクササイズ
- ラダートレーニング
協調性
- キャッチボール
- ボールを蹴る
ボディ・イメージ
- 動きを真似する
- 指示されたとおりの動きをする
- 動作カードを使用する
運動療法はどこで受けられるの?
発達障害と診断をうけたなら、作業療法士のいる施設で受けることが出来ます。
- 専門的なリバビリテーション施設
- 放課後等デイサービスセンター
- 子育て支援センター
- 児童発達支援センター
- 発達障碍者支援センター
などです。
参考
※福祉医療機構が運営する福祉・保健・医療の総合情報サイト
しかし、回数が少ない、なかなか予約が取れないといった問題があります。
専門の施設へ行くのはハードルが高いな…。
と、思う人もいるかもしれません。
そんなときは、家の中で簡単に取り入れられる運動療法を試してみましょう。
家で簡単にできる運動療法
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家にあるものや、手に入りやすいもので簡単に試せる方法です。
遊び感覚で、無理強いしないで楽しみましょう。
- 体ジャンケン
体全体を使ってグー、チョキ、パーを表現してジャンケンをします。
好きなお菓子を選ぶとき、順番を決めるときなどにも使えます。
- ジャンプであいさつ(好きな絵)
好きなキャラクターの絵を、ジャンプして届く位置に貼ります。
「おはよう」「ただいま」「おやすみ」など、挨拶をしたいときに、ジャンプをしてタッチしながら声を掛けます。
- フラフープ抜け(フラフープ)
一か所場所を決めて、そこを通り抜けるときは、フラフープを通り抜けるというルールを決めておきます。
上から、下から、ルールを変えてみると、難易度も上がって楽しいです。
- ボールあそび(ボール、箱、バスタオル)
ダイソーにあるような、柔らかくて大きいボールが向いています。
部屋のすみに段ボール箱や洗濯かごを置き、最初は近くからかごにボールを投げ入れます。
だんだん距離を離して、どこまでできるかチャレンジしましょう。
ボールを投げ入れる位置に目印をつけておくと、できたときに達成感も味わえます。
2人で向き合い、バスタオルの両端を持ってバスタオルを広げます。
広げたバスタオルの上にボールを乗せます。
両手を動かしてバスタオルの角度を変えながら、バスタオルの上でボールを移動させて遊びます。
うまくできるようになったら、2人でボールを落とさないように運んで、箱やかごに入れてみましょう。
- 新聞紙じゃんけん(新聞紙)
一人一枚の新聞紙を広げて上に乗ります。
新聞紙の上でジャンケンをします。
負けたら自分の乗っている新聞紙を半分にたたみ、その上に乗ります。
負けるたびに新聞紙は小さくなります。
新聞紙の上からはみ出したら負けです。
- 棒落とし(ペットボトル、すとろー、はさみ)
ストローをペットボトルの長さより少し短い長さにカットします。
何本も用意して、ペットボトルの口からストローを落として入れます。
- カード差し(カード、箱、カッター)
いらなくなった会員証などのカードや、トランプなどを用意します。
適当な大きさの箱やタッパーに、カードの入る穴(スリット)をあけて、穴からカードを差し込んで落とします。
使っていないお財布やカード入れに、カードを抜き差しするのも手指の良い運動になります。
- ペットボトルジュース(ペットボトル・折り紙)
好きな色の折り紙をちぎります。
ペットボトルの口から、ちぎった折り紙を入れていきます。
何色を選ぶかで、いろんな種類のジュースが作れます。
日常生活のなかから、たくさんの遊びが見つかりますね。
いつもの遊びでも気分が乗らないときは、無理にさせないでください。
自分で選んで楽しめることが大事です。
そんなときのために、たくさんの遊びをストックしておくと便利ですね。
参考になるサイトや本もたくさん出ています。
いろいろ試してみてください。
- 参考サイト
※公益社団法人大阪府理学療法士会 自宅でもできる運動プログラム
動画とテキストで紹介しています。
※作業療法士が考える「生活動作」と「遊び」のアイデア集
遊びのほか、生活動作の教え方が紹介されています。
- 参考YouTube
- おすすめの本
※子ども理解からはじめる 感覚統合遊び
~保育者と作業療法士のコラボレーション
加藤寿宏(監修)監修高畑脩平(著)他 クリエイツかもがわ
税込み1,980円(Yahoo!ショッピングより参照 2021年1月現在)
気になる子どものタイプ別に遊びが提案されています。
※心と体がのびのび育つ0~2歳児のあそび図鑑 波多野名奈(著)池田書店
税込み1,320円(Yahoo!ショッピングより参照 2021年1月現在)
一般的で、簡単に試せる遊びが多い、初心者向きでの本です。
※発達が気になる子への生活動作の教え方―苦手が「できる」にかわる!
鴨下賢一/中島そのみ(著)他 中央法規出版 税込み2,712円(Yahoo!ショッピングより参照 2021年1月現在)
作業療法士をされている方が書かれた本です。
幼児期に出来るようになりたい運動へのアプローチが紹介されています。
まとめ
運動は、体と心の発達や脳に大きな影響を与えます。
障害のあるなしに関わらずとても大切なものです。
子どもの発達障害を思うと、気持ちが焦って無理をさせたくなるかもしれません。
しかし、運動療法の大事なことは、
- 子ども本人が自分の自由意志で
- 自分のコントロールのできる環境で
- 楽しめる
この3つがとても重要なのです。
この3つがないと、効果が期待できなくなります。
親と一緒に楽しめているという感覚も、とても重要です。
気負わずに、お子さんとの時間を楽しみながら試してください。