皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害 算数」についてです。
生活していくうえで、算数の力は必要不可欠なものですよね。
足し算に引き算、掛け算に割り算。時間や長さ、割合。
どれも、わからないと困ってしまうものばかりです。
ですが、発達障害の子どもの中には、算数の基礎的なことを学ぶところで困難を抱える子どもたちもいます。
決してやる気がないわけでも、怠けているわけでもなく、脳の機能が原因でできないのです。
それでも、何が原因で苦手なのか、どこでつまずいているのか、それがわかればどう支援すればいいかも考えることが出来るようになります。
今回は、算数における困難と発達障害の子どもについてのお話です。
少しでもお役に立てれば幸いです。
目次
算数と発達障害
まず、発達障害ということばは、自閉症スペクトラム障害(ASD:Autism Spectrum Disorder)、注意欠陥多動性障害(ADHD:Attention Deficit Hyperactivity Disorder)、学習障害(LD:Learning Disorder)という三つの障害をまとめて指すことばです。
それぞれの障害もさらに細分化されますが、算数に関係する障害が含まれるのは、学習障害(LD)です。
学習障害(LD)とは
学習障害(LD)とは、知的な発達や視覚、聴覚の発達には遅れはないけれども、読み書きや計算などに著しい困難が生じる障害のことを指します。
読むことに困難が生じる読字障害(ディスレクシア)、書くことに困難が生じる書字障害(ディスグラフィア)、そして、計算や物事を推論することに困難が生じる算数障害(ディスカリキュリア)の三種類があります。
この三つは、どれか一つだけを抱えている場合もあれば、複数を併せて抱えている場合もあります。
読字障害(ディスレクシア)
文字を読むときに困難が生じる障害です。
具体的には、
- 一文字ずつ区切るようにして文章を読む
- 文章を読んでいる途中で、どこを読んでいるかわからなくなる
- 似ている文字(「ソ」と「ン」、「わ」と「ね」など)を間違えてしまう
- 文章を読んでも内容を理解できない
などの特徴があります。
書字障害(ディスグラフィア)
文字を書くときに困難が生じる障害です。
具体的には、
- 鏡文字のようになってしまう
- 他人が書いた文字を書き写すことができない
- ひらがなやカタカナでも書き間違えてしまう
- 漢字を読むことはできても書くことはできない
などの特徴があります。
学習障害のうち、読字障害と書字障害については、以下の記事で詳しくまとめられています。
読み書きについても気になる、という方は、ぜひお読みください。
算数障害(ディスカリキュリア)
数字の理解や、論理的に考えて答えを導き出す推論をするときに困難が生じる障害です。
具体的には、
- そもそも数字という概念がわからない
- 数の順番がわからない
- 数の大きい、小さいが理解できない
- 一桁でも指を使わないと足し算、引き算ができない
- 時計を読むことができない
- 「+」や「-」といった算数の記号が理解できない
- 繰り上がり、繰り下がりが理解できない
などの特徴が挙げられます。
専門の先生が算数障害について解説した動画があります。よろしければご覧ください。
算数障害の四つの段階
算数には、実は段階が四つあります。算数障害の子どもは、その四つの段階のうちのどこかに問題を抱えている可能性があります。
算数は「視覚」と「聴覚」と「触覚」を使っている
算数は、「数字」、「数詞」、そして「具体物」という三つの感覚の結びつきが基礎になっています。
数字は、「1」「2」「3」……といった、目で見る文字、「視覚」の部分に当たります。
数詞は、「いち」「に」「さん」……といった、耳で聞く音、「聴覚」の部分に当たります。
「具体物」は、「飴玉」「お金」「りんご」など、実際に触って操作できるもの、「触覚」の部分に当たります。
この「視覚」「聴覚」「触覚」の3つの感覚がそれぞれ対応するのが「数処理」の段階です。
算数障害の子どもは、この「数処理」に問題がある可能性があります。
数には二つの性質がある
数処理ができたら、次は「数概念」という段階です。
数には、「基数性」と「序数性」という二つの性質があります。
「1時」「2位」「3番」のように順序があるという性質を「序数性」、「1リットル」「2センチ」「3個」のように量を表すという性質を「基数性」といいます。
算数障害を抱える子どもは、こういった二つの性質があることがわからない、二つの区別が出来ないといったところに問題がある可能性もあります。
計算
「数処理」と「数概念」という基礎ができたら、「計算」ができるようになります。
「計算」は暗算と筆算の二つの要素から成り立ちます。
暗算の問題は、簡単な足し算や引き算、掛け算や割り算が頭の中で出来るかどうかというところになります。
筆算の問題は、繰り上がりや繰り下がりなどが出来るかというところになります。
この「計算」ができないと、次の「文章題」が解けなくなってしまいます。
文章題
「A君はりんごを8個持っていました。そこに、B君がりんごを5個くれました。全部でりんごは何個でしょう?」
このような文章を読んで、場面を具体的に想像し、「8+5は?」という式を立てて実際に計算することで答えを出すのが文章題の段階です。
ですが、知的発達や言語能力にも問題がなく、計算がしっかりできるにも関わらず、こうした文章題になると途端にできなくなる、ということがあります。
このような問題の場合も、算数障害の可能性があります。
サポートするときに大切なこと
具体的に、どのようなことが問題になっているか見てきました。
ここからは、どうやって苦手な部分を補うかについて考えていきましょう。
生活の中での体験と結びつける
例えば、「クッキーを一枚食べるよりも、二枚食べたほうがお腹がいっぱいになる」といったように、実際の体の感覚で数の感覚を感じさせるという方法はとても有効的です。
他にも、「十円よりも二十円の方がたくさんお菓子を買える」「お風呂に浸かるとき、十数えるよりも、三十数えた方が温かくなる」などといったことでも構いません。
数字と、実際の生活の中で感じるあらゆることを結び付けて考えるようにしましょう。
文章題は、場面ごとに絵を自分で描いてもらう
文章題が苦手な場合は、文章から具体的な場面が想像できないために、計算の式を立てたり、それを実際に計算したりすることが出来ないといったことが考えられます。
そこで、文章題をいくつかの場面に分けて、イメージできる絵を描くことで考えてもらいましょう。
例えば、「A君はりんごを8個持っていました。そこに、B君がりんごを5個くれました。全部でりんごは何個でしょう?」といった文章題の場合は、
- 「A君がりんごを8個持っている絵」
- 「B君がりんごを5個くれる絵」
- 「A君がりんごを8個と5個、両方持っている絵」
に分けて書いてもらうことで、どうやって計算の式を作ればいいのか理解してもらうのです。
ゲームやごっこ遊びで取り組む
苦手なことをゲームにしてしまう、というのも一つの手です。
例えば、
- 数字の書かれたカードを見せてなんという数詞なのかを当ててもらうゲーム
- トランプでカードを出して、一番大きい数を出した人がカードをもらい、最終的な枚数で勝敗を決める
- お店屋さんごっこで、お金のやり取りをする
などが簡単にできる例ではないでしょうか。
商品名 | ぴんくまーん先生のおかねのがくしゅう おもちゃ 絵本 |
価格 | 550円 |
メーカー | アーテック |
1円、5円、10円、50円、100円、500円のコインのおもちゃがついた絵本です。
絵本に沿ってお買い物をする体験ができるようになっています。
良い口コミとして、
- 同じ金額でも違うコインの組み合わせがあることも教えてくれる
- 足し算や引き算の稽古が苦手な子どもでも、お買い物ごっこを通じて計算に興味を持ってくれた
- おもちゃ感覚で楽しそうに勉強している
というものがありました。
悪い口コミは、強いて言えば、
- お金がもう少しリアルだとよかった
というものくらいでした。
お金を紙などで手作りするのも楽しいですが、こういったおもちゃで遊ぶのもいいかもしれませんね。
まとめ
算数障害についてまとめると、
- 足し算、引き算、掛け算、割り算などの基本的な部分に困難がある
- 算数は四つの段階に分けて考えられる
- 日常生活やゲームで実際に体験しながら数の概念を理解していくとよい
ということになります。
発達障害は生まれつきの脳の機能の障害のため、完治することはありません。
ですが、工夫によって、困ることを減らすことはできます。
専門機関や学校などと連携して、算数のどの段階に困難があるのかを知りつつ、その子に合った取り組みで困ることを減らしていけるといいですね。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。