皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害 優先順位」についてです。
学校、仕事、家事…と、日常の中には「やること」がたくさん溢れています。そこで重要なのが優先順位をつけることです。
優先順位を決めて、効率よく遂行していくことで様々なメリットが生まれます。逆に言えば、優先順位をつけられないことで、デメリットが生じることになります。
目次
なぜ優先順位がつけられないのか
優先順位をつけることは、子供の頃から周囲に求められます。そして殆どの子供は物事の重要度よりも、楽しいことや好きなことを優先します。
しかし殆どの子は成長するに従い、親のしつけや学校生活などの日常から、自然に優先順位をつける術を身に付けていきます。ここで、なかなか上手くいかず、困ることが多いのが発達障害のある子です。
もう少し詳しく見ていきましょう。
発達障害の特性によるもの
発達障害とは、生まれつき脳の機能に障害があることで生じます。発達障害にはいくつか種類がありますが、優先順位に関わる主な特性は自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動症(ADHD)にあります。
ASD:こだわりが強い、パターン化した行動、興味関心の偏り
ADHD:注意が散漫、記憶力が弱い、衝動的な行動
これにより、定型発達の子に比べて優先順位をつけるのが苦手になります。
優先順位とは
そもそも優先順位の定義は…
複数の事柄について順に着手していく際の順位。収益や業務効率といった特定の観点から見て、どの程度重要であるかを主な判断基準とする。
引用元:Weblio 国語辞典
と、されています。
優先順位がつけられないとどうなるのでしょうか。みなさんもこの様な場面を見聞きしたことはありませんか?
- 宿題があるのに、帰宅後すぐに友達と遊びに行ってしまった。
- テストが近いのにテレビばかり見てしまっている。
- 同僚から受けた依頼を後回しにしたら、すっかり忘れてしまっていた。
- 納期が迫っているのに、まだ終わっていない。
上記具体例から分かる通り、学校や職場、家事など日常生活のあらゆる場面に支障が出ます。様々なシチュエーションはありますが、大まかに言うと重要度と緊急度が理解できていないと言うことです。
優先順位がつけられないとどうなるのか
自分の生活に支障をきたすだけでなく、多くの場合周囲の人にも不利益を及ぼします。親しい人、近しい人からの信用を失うことにもなり兼ねません。
優先順位を決めることは、子供の頃から求められますが、親や周囲のサポートで乗り越えられる場合も多くあります。しかし社会に出てからは、なかなか周囲の理解やサポートを受けられないのが実情です。
子供の頃に優先順位をつける経験を積んでおかないと、大人になって苦労する人も多くいます。学生時代とは違い、社会に出てからは様々なことに責任がつきまとうため、問題が深刻化するでしょう。
発達障害とは全く別の、主に精神疾患が引き起こされる場合や、本来の発達障害の特性がより強化されてしまう場合のことを指します。
周囲への問題行動として外部に出るもの…「家庭内暴力」「暴言」「非行」等
本人の内面に出てしまうもの…「うつ病」「引きこもり」「対人恐怖症」「不安障害」等
参考:BAIN CLINIC 発達障害の二次障害とは?症状や治療について
何か対策はないのでしょうか?
どんな対策をしたら良いか
発達障害のある子でも、根気よく経験を積んでいけば、世間が求める対応はできるようになってきます。時間はかかりますが、子供のうちから身に付けておきたい能力です。
意味や考え方を理解させる
まず優先順位と言う考え方があることを知ってもらい、なぜ優先順位をつけるのかを教えます。
- 物事には重要度によって順番がある。
- 必ずやらなければならないことがある。
- 期限を守らなくてはならないことがある。
- やらないと困ることがある。
などが挙げられます。
子供には「物事には大事さによって順番がある。大事なことから始めると、色んなことが上手くいくよ。」と簡単な言葉で教えましょう。
同時に、物事の善悪などもしっかりと伝えておくと良いでしょう。コミュニケーションや社会性に問題を抱えている子は、社会の常識や暗黙のルールが理解できない傾向にあります。
物事の善悪や世の中のルールなども理解させておくと、優先順位を自分で考える際の助けになります。
見える化する
優先順位について理解できてきたら、実際に順位づけをしましょう。まずは、何に対して順位づけをするのか、「やること(タスク)」を決める必要があります。その際、タスクの全容を把握するため、書き出すなどして「見える化」することをおすすめします。
頭の中で考えようとすると、記憶力が弱い子や集中が切れてしまう子では、上手くまとまりません。教える側も、目に見えた方が説明しやすいでしょう。
書き出すのはカレンダーの裏でも、お気に入りのノートでも、なんでも構いません。全て書き出せたら、順位づけをしていきましょう。
見える化に使えるもの
書き出しに使うものは何でも良いと言いましたが、文房具が好きな人や、学校・職場など自宅外でも使いたい時は、デザイン性も気になりますよね。お気に入りの道具があるとやる気のアップにも繋がります。
メモ帳やノート
どちらも様々なタイプがあります。
見やすさ重視で大きめのもの、携帯性重視で小さめのものが選べます。終了した内容が書かれているページを捨てて軽くしたければ、ページがちぎりやすいもの、記録として残しておきたければ綴じてあるものと言う選択もできます。
自分が使いやすいもの、用途に合うものを選びましょう。
付箋
貼って剥がせるところが便利です。1枚に1つのタスクを記入しておくと、終わったタスクは剥がして捨てられます。付箋の枚数で、どれだけタスクがあるのかを簡単に把握できます。
発達障害の人はタスクをルーティーン化すると良いとも言われています。「やること」「終わったこと」と表を作っておけば、付箋を移動するだけですので管理がしやすくなりますよ。
ホワイトボード
書いたら消して、何度でも使えるのが便利です。ゴミが出ないのでエコにもつながりますね。直接タスクを書き込んでも良いですし、付箋を貼る土台としても使えます。
子供の学習机やリビングなど、目につきやすい場所、好きな場所に置けます。自宅で使うのに良いでしょう。
電子メモパッド
ホワイトボードと同じく、書いたら消せるので便利です。商品によって画面の文字が見えづらいですが、問題なければ使いやすいでしょう。サイズが複数あり、書いた内容を保存することもできます。
社会人や学生におすすめです。
参考:TASCLAP 電子メモパッドで仕事効率アップ。購入前に知りたい選び方とおすすめ10選
手書きで使える活用術
見える化はデジタルツールではなく、手書きをおすすめします。
現在はスマホアプリが豊富にあり、手軽でスマートに使えるところがメリットではあります。しかし、頭の中を整理し、思考すると言う点では手で書くことの方が断然優れています。手書きには脳を活性化させ、記憶に残りやすいという研究結果も出ていますよ。
参考:TABI LABO いまこそ見直したい「手書き」のメリット7つ
重要度と緊急度マトリックス
重要度が高い・低い、緊急度が高い・低い、の4つのセルにタスクを分類します。付箋にタスクを書き出して、マトリックスに貼り付ける方法がおすすめです。タスクの分類が変わった時に修正しやすいですよ。
これを利用することで、優先順位が各段に判断しやすくなります。
言葉が難しいので、どちらかと言えば大人向けですが、使い方が分かれば子供でも利用できるでしょう。試験勉強や日常生活のタスクにも当てはめるられます。
マトリックスは以下の様な表です。優先順位はA>B>C>Dの順になります。
(B)重要であるが、緊急でない | (A)重要かつ、緊急である |
(D)重要でもなく、緊急でもない | (C)重要ではないが、緊急である |
参考:よしつブログ 「重要度・緊急度マトリックス」を超簡単に解説&使い方紹介
バレットジャーナル
ノート術の1つなのですが、これを創案した人も、発達障害がある人なのですよ。タスク管理がしやすいと、多くの人の支持を受け、専門書籍や専用ノートも売られています。ネット上にもたくさんの見本やおすすめ方法が出てきます。
詳しいやり方が知りたい人は、こちらの記事からどうぞ。
周りの人はどんな配慮をしたら良いか
優先順位を教えること、タスクの見える化をすること以外にも、親や周囲の人が配慮できることがあります。
一度にたくさんの指示を出さない
発達障害の子に何かを伝える時は簡単な言葉で、順を追って、はっきりと伝えることが鉄則です。優先順位のつけ方が間違っていたり、できなかったりしても、あれこれ口を出してはいけません。結局理解できずに混乱させてしまいます。
一緒に考える
順位づけ作業は「なぜこれが1番なの?」「ゲームをするのと宿題をするの、どっちが大事かな?」などと質問を交えながら行いましょう。アウトプットさせることで、より記憶に定着しますし、深く考えるきっかけにもなります。
本人に考えさせることが大事ですが、分からなかったり、間違っていたりする場合はその都度教えます。
見守る
慣れてきたら、子供を信じて見守ることも大切です。間違ったり時間がかかったりするので、もどかしく感じてしまうでしょう。しかし、正解を教え続けてしまうと、自分で考える力が育ちません。
勿論、自分で考えた上で間違っている、どうにも解決できなさそうであれば声を掛けましょう。
できたところを褒める
発達障害の子は上手くいかないことが多く、自信を失くし、落ち込んでしまうことも多々あるでしょう。叱ってばかりですと、更に追い打ちをかけてしまいます。ちょっとしたことでも、できたらしっかりと褒めてあげましょう。
大人の場合
最近では「大人の発達障害」と言う言葉も広まりました。みなさんの周りにも思い当たる人がいるかもしれません。上記は子供に対する周囲の接し方を紹介しましたが、大人に対しても基本的な対応方法は同じです。
- 具体的に業務内容や終わらせる時間を伝える。
- 業務マニュアルを作成しておく。
- パーテーションなどで区切るなど、落ち着ける空間を提供する。
- 得意分野の仕事を任せる。
- 報告・連絡・相談を徹底する。
- 「発達障害」と構えずに、他の同僚と同じよう自然に接する
一人ひとり特性の出方が違うため、その人に合わせた支援をすることが理想です。
参考:埼玉県発達障害総合支援センター 発達障害者の就労をすすめるための支援ガイドブック
平成28年4月から、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行されました。これにより、誰でも働きやすい環境にすることを求められるようになりました。
参考:内閣府 「合理的配慮」を知っていますか?
大人の発達障害について知りたい方はことらも合わせてお読みください。
まとめ
- 発達障害の人は特性的に優先順位をつけることが苦手。
- 優先順位がつけられないことで、周囲の人に迷惑を掛けることがある。
- 上手くいかないストレスで、二次障害を引き起こす可能性がある。
- 経験を積むことで、少しずつできるようになっていく。
- 周囲の理解やサポートは必要
発達障害がある人の、特性や苦手なものが治ることはありません。しかし、経験を積むことで少しずつできるようになっていきます。
現在、十分とは言えませんが、発達障害への認知は広まっています。法整備も進み、少しずつですが環境も整えられつつあります。そして、社会の中には必ず手を差し伸べてくれる人もいるでしょう。
この記事が、少しでもみなさんの明るい未来への役に立てたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。