皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害 意味」についてです。
発達障害は、よく「先天的な脳の機能障害」と説明されます。
この記事では、発達障害という言葉を【発達】と【障害】とに分けて、それぞれを見ていきながら、発達障害の意味について考えてみたいと思います。
さらに、様々な発達障害についても具体的に紹介します。
目次
【発達障害】の意味
ここでは、まず【発達障害】という語について少し触れ、それから【発達】と【障害】の意味などを見ていきたいと思います。
発達障害の原語(英語)は?
発達障害という言葉は、英語では「デベロップメンタル ディスオーダー(developmental disorder)」と言います。
デベロップメンタル(developmental)あるいはデベロップメント(development)は、日本語に直訳すると「発達」、ディスオーダー(disorder)は、直訳すると「障害」です。
他方、後述するDSM-5(アメリカ精神医学会が発行する「精神障害の診断および統計マニュアル」の第5版)での定義においては、「ニューロデベロップメンタル ディスオーダー(neurodevelopmental disorder)」とされています。
こちらは、直訳すると「神経発達障害」となります(ニューロ(neuro)=神経)。
【発達】とは
ところで、皆さんは【発達】という言葉をどんな時に使いますか?
ここでは、成長や発育と【発達】の違い、そして【発達】の意味について見ていきましょう。
成長や発育は、英語では「growth」と言い、英語でも「発達=development」とは別の意味の言葉として区別されています。
【発達】とその他の言葉の意味
まずは発達の意味を見てみましょう。
1 からだ・精神などが成長して、より完全な形態や機能をもつようになること。「心身が―する」
2 そのものの機能がより高度に発揮されるようになること。「文明が―する」「交通機関が―する」
3 そのものの規模がしだいに大きくなること。「―した低気圧」
goo辞書 発達の意味
次に、成長と発育の意味を見てみましょう。
1 人や動植物が育って大きくなること。おとなになること。「子供が―する」「ひなが―する」「経験が人を―させる」
2 物事の規模が大きくなること。拡大。「事業が―する」「経済の高度―」
goo辞書 成長の意味
育って大きくなること。成育。「よく―した身体」「―盛り」
goo辞書 発育の意味
上記の意味の違いから考えると、背が伸びる、体重が増えるなど、身体が大きくなることを「成長」あるいは「発育」と言い、身体面だけでなく精神面など、人間として全体的に成熟していくことを「発達」と言うことができますね。
生涯発達という考え方
有名な発達心理学者であるエリクソンは、人間の発達段階について8つに分類しました。
これは【心理社会的発達理論】という考えで、それぞれの時期には対応する発達課題があるとされています。また、発達課題を乗り越えることができれば力を獲得できますが、上手くいかない場合には心理社会的な危機に陥ってしまう危険性があります。
獲得できる力に対して、課題と危機とが「〇〇vs〇〇」というふうに一対として示されています。
時期 | 獲得する力 | 発達課題 |
乳児期(生後) | 希望 | 基本的信頼vs不信 |
幼児前期(1歳半~) | 意思 | 自律性vs恥、疑惑 |
幼児後期(3歳~) | 目的 | 積極性vs罪悪感 |
学童期(5歳~) | 有能感 | 勤勉性vs劣等感 |
青年期(12歳~) | 忠誠心 | 同一性vs同一性の拡散 |
成人期(20歳~) | 愛 | 親密性vs孤独 |
壮年期(40歳~) | 世話 | 生殖vs自己吸収 |
老年期(65歳~) | 賢さ・英知 | 自己統合vs絶望 |
ここでは、「心理社会的発達理論」や発達段階、発達課題について詳述はしませんが、こうした考え方から、発達とは生涯にわたるものである、ということが分かります。
【障害】とは
さて、次は【障害】について、見ていきましょう。
「ディスアビリティ」と「ディスオーダー」
先述の通り、発達障害の【障害】は、英語で「ディスオーダー(disorder)」と言います。
しかし、実はもう一つ、英語では「ディスアビリティ(disability)」という言葉があり、こちらも【障害】と訳されます。
「ディスアビリティ(disability)」は、能力を欠く、という意味合いがあります(ability(=能力)に打消す意味のdisがつけられているため)。
一方、「ディスオーダー(disorder)」は、秩序あるいは命令が乱される、という意味合いがあります(order(=秩序、命令)に打消す意味のdisがつけられているため)。
そして、「ディスアビリティ」は身体障害の原語に、「ディスオーダー」は精神障害や知的障害の原語に用いられています。
参考:SYNODOS 「障害」から「症」へ――精神疾患の診断名の変更
「医学モデル」と「社会モデル」
【障害】についての考え方で、「医学モデル」と「社会モデル」というものがあります。
医学モデルでは、【障害】を本人が抱える機能障害などだと考えます。
社会モデルでは、【障害】を本人が抱える機能障害と社会環境(社会的障壁)との間に生じるものと考えます。
例)足が不自由で、生活に車椅子が不可欠な人の場合
- 医学モデル:障害は、その人の足が不自由であること。
- 社会モデル:障害は、建物の階を移動したいけど、階段しかないためそれが叶わないこと。
障害者基本法では
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
二 社会的障壁 障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
e-GOV 障害者基本法
障害者は、「障害だけに限らず、社会的障壁によっても相当な制限を受ける者」とされています。
また、社会的障壁は、「障害者の生活上の障壁となる一切のもの」としています。
【発達】と【障害】
ここまで発達障害という言葉を、【発達】と【障害】という2単語に分けて見てきました。
上記のことをまとめると、【発達障害】とは、「身体面、精神面その他一切を含めた全体的な発達過程の中で、生まれ持った素因や社会環境(社会的障壁)によって、何らかの障害や困難が生じるもの」と考えることができるのではないでしょうか。
発達障害者支援法では
この項の最後として、発達障害者支援法という法律の条文を紹介します。
第二条 この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
e-GOV 発達障害者支援法
この条文で注目したいのは、「症状が通常低年齢において発現するもの」としている部分です。
つまり、エリクソンの発達段階で言う【乳児期】から【学童期】あたりまでに生じるものだと理解できます。極端な話ですが、決して【壮年期】や【老年期】になってから発現するものではない、ということですね。
様々な【発達障害】
ここからは、【発達障害】にはどんなものがあるのか、具体的に紹介したいと思います。
DSM-5 【神経発達症群/神経発達障害群】
その中では、発達障害に相当する項目として、【神経発達症群/神経発達障害群(neurodevelopmental disorder)】が用意されています。
【 神経発達症群/神経発達障害群 】
(分類) | (詳細な分類) |
知的能力障害群 | ・知的能力障害 ・全般的発達遅滞 ・特定不能の知的能力障害 |
コミュニケーション症群/コミュニケーション障害群 | ・言語症/言語障害 ・語音症/語音障害 ・小児期発症流暢症/小児期発症流暢障害(吃音) ・社会的コミュニケーション症/社会的コミュニケーション障害 ・特定不能のコミュニケーション症/特定不能のコミュニケーション障害 |
自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害 | 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害 |
注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害 | ・不注意優勢型 ・多動性・衝動性優勢型 ・混合型 |
限局性学習症群/限局性学習障害 | ・読字の障害 ・書字表出の障害 ・算数の障害 |
運動症群/運動障害群 | ・発達性協調運動症/発達性協調運動障害 ・常同運動症/常同運動障害 |
チック症群/チック障害群 | ・トゥレット症/トゥレット障害 ・持続性運動または音声チック症/持続性運動または音声チック障害 ・暫定的チック症/暫定的チック障害 ・他の特定されるチック症/他の特定されるチック障害、特定不能のチック症/特定不能のチック障害 |
他の神経発達症群/他の神経発達障害群 | ・他の特定される神経発達症/他の特定される神経発達障害 ・特定不能の神経発達症/特定不能の神経発達障害 |
ここでは、一つ一つについて詳述はしませんので、以下、それぞれを詳しく取り上げた記事もあわせてご覧ください。
▼【知的障害】について
▼【ADHD(注意欠如・多動症)】について
▼【ASD(自閉スペクトラム症)】について
▼【SLD(限局性学習症)】について
▼【発達性協調運動症】について
▼【チック症】について
【グレーゾーン】の存在
発達障害の疑いがある、またはその傾向があるというだけで診断基準(前述のDSM-5など)を満たさない場合、【発達障害グレーゾーン】と呼ばれたりします。
この場合、それぞれ本人の傾向に応じた対応(ASD傾向ならASDへの対応、ADHD傾向ならADHDへの対応)をすることが有効であるとされています。
▼それぞれへの対応を取り上げた記事もあわせてご覧ください。
【ギフテッド】とは
皆さんは、【ギフテッド】という言葉、あるいは存在をご存じでしょうか。
【ギフテッド】とは、プレゼントの場面で用いられるギフトという言葉が由来で、「神様からの贈り物」という意味です。つまり、先天的な優れた才能を持つ人のことを指します。
・おおむねIQ130以上の高い知性
・創造性や芸術、特定の学術分野、運動機能、リーダーシップなどのいずれかの面で才能がある
・発達障害と似た特徴を持ち、誤診されやすい
しかし、例えば知的好奇心が強いためにじっとしていられない、あるいは特定の分野にのみ熱中するといった特性から、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)と思われがちなのです。
【2E】=発達障害×ギフテッド
【英才型】は、全般的に高い能力を持っていると言われるタイプです。
他方、【2E型】とは、ずば抜けた能力を持つギフテッドであり、かつASD(自閉スペクトラム症)やSLD(限局性学習症)など発達障害の特徴を持つ、「二重に特殊(twice-exceptional)」なタイプです。
【2E型】は、優れた才能を持ちながらも、同時に極端に苦手な部分があり、そこが目立ってしまうため、ギフテッドであるということが見過ごされてしまうようです。
本人の得意に気づいてあげること
そして、ギフテッドについて先進的なアメリカでは、国をあげて【ギフテッド教育】が行われています。
一方、日本ではまずギフテッド自体がほとんど認知されていませんし、アメリカと比べるまでもなくまだまだ【ギフテッド教育】は未充足な状態です。
そんな中で、発達障害、もしくはその疑いがあるお子さんが、実はギフテッドかもしれない、ないしは優れた才能があるかもしれない、と思ったら、まずはお子さんの得意に気づいてあげることが大切です。
まとめ
この記事では、以下のことを取り上げました。
- 【発達】の意味
- 【障害】の意味
- DSM-5に記載されている【神経発達症群/神経発達害群】について
- 発達障害の【グレーゾーン】について
- 【ギフテッド】について
発達障害(ADHDやASD)という診断名は、実のところ重要ではありません。
大切なのは、お子さん本人の特性を見てあげることです。
お子さんの発達の凹凸(得意・不得意)をそれぞれ知り、得意なところをしっかり褒めてあげる。そうした対応が大事なのではないでしょうか。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。