皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害 学校選び」についてです。

大多数の人は、幼稚園や保育園を経て、公立の小学校に通った、という経験をお持ちだと思います。

中には、私立の小学校へ通った、という方もいるかもしれません。

学校というのは長い時間を過ごす大切な場所です。

発達障害を抱えるお子さんをお持ちの保護者の方は、そんな学校に対して、多少なりとも不安をお持ちなのではないでしょうか。

今回は、発達障害を抱えるお子さんの学校選びについてまとめてみました。

どんな学校を選んだらお子さんがしあわせになれるか、一緒に考えてみましょう。

発達障害の子どもの学校選びの流れ

まずは、どのような選択肢があるかの前に、どのようにして学校を選ぶかという簡単な流れをみていきましょう。

学校選びの流れ

学校選びの際、何から始めればいいかわからない、ということがあると思います。
目安として、以下のような流れでお子さんに合った学校を探してみましょう。

子どもの特性を知る

何よりもまず、お子さんの特性を理解していなければ、どのような学校がよいかを考えることはできません。

お子さんの得意なこと、そして苦手なこと、どのような配慮が必要か、ということを把握して、書き出してみましょう。

ご家庭での話し合いだけではなく、幼稚園や保育園、療育を受けている場合は療育施設、医療機関にかかっている場合は主治医のお医者さまと相談することも大切です。

ウェクスラー式知能検査などといった知能検査を受けたことがある場合は、その結果でも、得意なこと、苦手なことを知ることができます。

ウェクスラー式知能検査については、以下の記事で詳しく説明されていますので、気になった方はご覧ください。

情報収集をする

お子さんの特性がわかったら、次は情報収集です。

住んでいる場所によって、特別支援学級や特別支援学校などの数や種類は違い、一つのクラスに在籍する生徒の人数も変わってきます。

「都道府県名 特別支援学級」などのキーワードで検索すると、自治体の中にある特別支援学級の設置校や学級数、児童数などが出てくる場合があります。

例えば、「神奈川県 特別支援学級」で検索した場合、「神奈川の特別支援教育資料」という資料が出てきました。(リンクは令和2年度のものです。)

わからない場合は、教育委員会に問い合わせてみるとよいでしょう。

口コミや、知り合いの保護者の方に聞いてみる、というのも一つの手です。

見学する

情報収集をしてどのような学級や学校があるかがわかったら、実際に見学しに行きましょう。

学校や学級の雰囲気などは、当然ですがその学校、学級によって異なります。

「入ってみたら合わなかった」ということがないように、しっかりと見学してお子さんに合うかを考えましょう。

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小野田
また、実際に通える距離にあるか、授業料などは大丈夫か、といった現実的な面もあらかじめ調べてから見学に行くことも大切です。

学校見学のポイントを詳しく説明している動画があります。
少し長いですが、失敗しないコツを話しているので、よろしければご覧ください。

子どもに合うと思う学びの場を選ぶ

最初に書き出した必要な支援や配慮を見直して、実際に見学してわかったこと、感じたことと照らし合わせて、お子さんに必要な支援、配慮が受けられる、居心地のよさそうな場所を選びましょう。

子どもの意思

最後に、一番大切なのは、お子さんの意思です。

選択肢を提示したうえで、それぞれの良いところ、困るかもしれないところなどを説明して、どこがいいかを一緒に選びましょう。

就学相談

実は、就学相談といって、子ども本人と保護者、自治体の就学支援委員会という機関が話し合うことで子どもの就学先を決める過程があります。

小学校入学の一年前の四月から始まり、十一月ごろに就学先を決め、一月三十一日までに就学通知を受け取ります。

これは、保護者が申し込まなければ受けることができない点に注意が必要です。

申し込み方法は二つあります。

  • 市区町村の教育委員会に直接電話をして面談の日程を決める
  • 幼稚園、保育園の先生に相談して申し込む

就学相談の内容

就学相談は、自治体によって異なりますが、大体は以下のようなことをします。

  1. 本人、保護者、就学支援委員会の三者での面談
  2. 医師の診断がない場合は、検査や診断
  3. 実際の学校の見学、体験
  4. 相談先となる就学支援委員会による幼稚園、保育園等での子どもの様子の観察
  5. 就学支援委員会での、どこへ就学するのがいいかについての審議
  6. 審議を踏まえたうえでの面談
  7. 面談や話し合いの結果による就学通知

ちなみに、最終的な就学通知は最終決定ではなく、保護者や本人の意思に合わない場合は、再度面談をすることもあります。

しかし、通知の判定を覆すのが難しい、という経験談も多く見られますので、注意しましょう。

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小野田
ただし、どんな学校も入学したら必ず同じ学校、学級に通い続けなければならないわけではありません。

文部科学省は、「障害のある子供の教育支援の手引」の第四章で、以下のように記述しています。

就学時に,小学校段階6年間,中学校段階3年間の学校や学びの場が固定されてしまうわけではない。就学後の学びの場をスタートにして,可能な範囲で学校卒業までの子供の育ちを見通しながら,小学校段階6年間,中学校段階3年間の就学先となる学校や学びの場の柔軟な見直しができるようにしていくことが必要である。

引用:障害のある子供の教育支援の手引

就学後に「合っていない」と感じたら、学びやすい環境を選択しなおすこともできます。

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小野田
けれども、教員や教室が不足している等で対応できないケースもあるので、お子さんの様子を見ながら、学校や自治体と連携していくことが大切になります。

公立、私立の学校のメリットとデメリット

一口に学校、といってもいろいろな学校があります。
まずは、公立学校、私立学校のメリットとデメリットについてみていきましょう。

公立校

入学の際に試験などが必要ない、都道府県や市区町村などの自治体が運営する公立の学校が多くの人が選ぶ選択肢になるでしょう。

障害などを持たない子どもたちと同じ学校に通い、生活したり勉強をしたりしていきます。

通常学級

普通級とも呼ばれる、一般的な学級です。一つのクラスに対して一人の先生がいて、障害などのない子どもたちと生活、勉強をして、行事にも参加していきます。

  • 後々社会に出てから送る集団生活に近い環境で様々な経験を積むことができる
  • 友だちがたくさんできる
  • 申し出によって、合理的配慮という「障害ごとの特性に合わせた配慮」を受けることもできる
  • 支援員の加配を受けることもできる

などのメリットがあります。

その代わり、デメリットもあります。

  • 個別の指導ではなくクラス一律での指導のため、勉強についていけないことが起こりうる
  • クラスメイトとの関係がうまくいかないことがある
  • 先生が障害について十分な知識を持っておらず、必要な支援が行えないことがある
  • 周囲と自分を比べて苦しくなってしまうことがありうる

当然ですが、一緒に学ぶ子どもたちは、障害に対する知識があるわけではありません。

そのため、友人関係がうまくいかず、最悪、いじめに発展してしまうこともあります。

通常学級になじめるかどうかは発達障害の程度によって変わってくるため、正確な検査によってきちんと診断して、それを判断材料にするとよいでしょう。

通級指導教室

通級指導教室といって、普段は通常学級で勉強をしながら、週に何時間かだけ別の教室に移って、それぞれの障害の特性に合わせた指導や支援を受ける方法もあります。

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都築
そういえば、小学生のころ友人が週にこの時間だけは別の教室で勉強するよ、と先生から言われたことがあります。あれは、通級指導教室だったのですね。

通級指導教室では、その子どもの困りごとや通常学級では学ぶのが難しい課題などを学ぶことができます。

子どもによって指導や支援の内容が違ってくるため、教室もいくつかに分かれていて、通級する時間も子どもによって様々です。

そのため、通っている学校にはお子さんに合う通級指導教室がない場合がある、というデメリットがあります。

そういった場合には、別の学校にある通級指導教室に通う、ということもあります。

特別支援学級

通常学級とは別に設けられた、障害などがある子どものための学級です。
学校教育法によれば、以下のように定められています。

小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校には、次の各号のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特別支援学級を置くことができる。

一 知的障害者

二 肢体不自由者

三 身体虚弱者

四 弱視者

五 難聴者

六 その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの

引用:文部科学省 「特別支援学級及び通級指導に関する規定

特別支援学級では特別支援学校の学習指導要領が適応されるのが特徴で、より子どもの特性に合わせたカリキュラムを学んでいきます。

特別支援学級の数や種類は自治体によって違っており、呼び方も統一されていません。
これについては、教育委員会のホームページをご覧ください。

私立校

入学するために試験が必要な、独特の教育を行う学校で、個人の財産や寄付によって成り立っています。

特に、比較的大きな自治体にお住まいの方にとっては大きな選択肢の一つになります。

私立学校のメリット

私立学校のメリットとして、以下のような点が挙げられます。

  • 同程度の学力や特性を持った生徒が集まっている
  • 個性を尊重した教育に力を入れていることが多い
  • 公立の学校にはないカリキュラムを導入していることがある(例:授業をすべてタブレットで行う、周囲と議論しながら学ぶ、等)

私立学校のデメリット

反対に、以下のようなデメリットもあります。

  • 入学のためには試験に合格する必要がある
  • 公立学校と比べて学費が高い
  • 合理的配慮という「障害ごとの特性に合わせた配慮」が義務ではない
  • 通学できる範囲にあるとは限らない
  • 必要な支援について知識がある教員がいないこともある

特別支援学校

特別支援学校とは、障害がある子どもが専門の支援を受けながら勉強をすることができる学校です。

学校全体が特別な支援を行っており、学習指導要領も通常の学校とは異なっています。

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小野田
幼稚園から高等部まで設置されていることが多いですね。

特別支援学校のメリット

特別支援学校のメリットとして、以下のようなメリットがあります。

  • 生徒一人一人に合わせた教材を使用している
  • 「自立活動」といって、生活の中で一人でできることを増やすための時間がある
  • 進学や就労の支援が手厚い
  • 保護者の悩みに対する支援もある
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小野田
やはり、専門の知識を持った教員が一人一人に適した教育をしてくれる、というのが最大の特徴でしょう。

特別支援学校のデメリット

特別支援学校には、以下のようなデメリットもあります。

  • 誰でも入学できるわけではない
  • 子ども本人の意思がより重要になってくる

まず、入学には、障害者手帳や診断書が必要、などの様々な条件があります。

また、注意しなければならないのは、学校教育法の第七十二条では、特別支援学校の対象を以下のように記述している点です。

特別支援学校は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。以下同じ。)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。

引用:学校教育法第七十二条

このように、発達障害については、記述がありません。

実際に特別支援学校に通学している発達障害のお子さんも多くいますが、知的障害など、他の障害を併せ持っている場合がほとんどです。

そのため、発達障害のみの場合は、入学が厳しいかもしれない、というデメリットがあります。

他にも、お子さんの同意がない場合、後から「普通の学校がよかった」と不満に思われてしまうかもしれません。

特別支援学校への入学を考える際は、よく話し合い、お子さんの意思を尊重したうえで選択しましょう。

まとめ

発達障害のお子さんの学校選びについてまとめると、以下のようになります。

  • 特別支援学級や特別支援学校への進学を迷っている場合は、就学相談を受けるという選択肢がある
  • 就学後も、学ぶ環境を選びなおすことができるため、学校や自治体と相談するとよい
  • 特別支援学校は、発達障害のみの場合は入学が厳しいので注意が必要

学校は、勉強をするだけではなく、社会に出てから必要なことを学ぶ場でもあります。

お子さんが、つらい思いをすることなくのびのびと学んでいける学校を選ぶために、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。