皆さんこんにちは!本日も知って役立つ情報をみなさんと共有していきます!今回のキーワードは「発達障害 本人に伝える大人」についてです。
発達障害を持つお子さんの育児に励んでいる、皆さん。「いつかは、子ども自身も発達障害について知る時が来るだろう」と分かってはいるけれど。
「いつかって、いつ?」
「どうやって知ることになるんだろうか」
「どこかのタイミングで、自分が伝えることになるのかな?」
そう考えることはありませんか?
今回は、【誰が本人に伝えるか】【伝えた方が良い理由】【伝える際の配慮】などについて解説したいと思います
目次
発達障害を「本人に伝える大人」は親?専門家?
親が伝えるメリット
親自身が子ども本人に伝えることのメリットは、その関係性によるものと言えます。
子どもへの理解
「発達障害」と一言に言っても、人それぞれに個性があり、特性は異なります。
そして、発達障害を子ども本人に告知するなら、子どものことをよく知っている必要があります。子どもの普段の生活、得意なことと苦手なこと、具体的な課題やそれへの対応の仕方、子ども自身が抱えている困りごとなど。
親は、子どもを一番近くで見ている大人ですし、一番子どものことを知っている存在でもありますね。
親ならば、子どもに対して「困りごとも一緒に乗り越えよう!」と、心理的に寄り添って伝えることができると言えます。
子どもの信頼・安心
親が発達障害について伝えるということは、子どもの困りごとへの理解を示すということです。
子どもからすれば、最も信頼できる大人は親ですから、「お父さん/お母さんが、自分のことを理解してくれている」と感じられると安心できます。
専門家が伝えるメリット
発達障害は、今もなおその原因などについて、全てが解明されているわけではありません。一般人の私たちでは、正確な情報を得ることも難しいです。
ですが、小児科や児童精神科などで発達障害について診ている医師なら、発達障害への正しい知見を持っています。
つまり、専門家であれば、子ども本人の困りごとに対して、具体的な対策や服薬などの治療方法も含めて伝えることができるのです。
親と専門家の協力が理想
親と専門家、一方の利点はもう一方の弱点と対になっていて、両者は補い合う必要があります。
- 親の持っている子どもの情報→専門家が活かす
- 専門家の知見→親が活かす
親と専門家が協力することで、子ども本人のことを考えた告知が可能になると言えます。
本人に伝えた方が良いワケ
過剰な自己否定を防ぐ
発達障害を持つ子は、その成長過程で、本人の特性から何らかの困難に直面することが多いです。
勉強が苦手、コミュニケーションがうまく取れない、学校の授業を受けているのが苦痛などなど。その結果として、【二次障害】を引き起こしてしまうこともあります。
▼二次障害については、こちらの記事で詳しく解説しています。
例えば、自己肯定感が極端に低下してしまえば、何事にも、好きなことや得意なことにさえ、積極的に取り組めなくなってしまうかもしれません。
▼当事者の声
生活の工夫につながる
発達障害の特性によって本人が困りを感じる場面では、何らかの工夫が求められます。
発達障害には、周囲の理解や配慮は必要です。しかし、それと同じくらい、もしくはそれ以上に「本人の理解」が大切だと言えます。
「俺は発達障害だから、特別扱いしてもらって当たり前!」
…と、開き直ってしまってはいけませんが、本人が自分の苦手または得意な部分を認識しておくことは、【トラブルの回避】や【生活の工夫】につながります。
それはゆくゆく、子ども本人が就労するタイミング、つまり社会に出て自立する時のことをも想定した取り組みとなります。
▼当事者の声
▼当サイトには、具体的な工夫を取り上げた記事もあります。
伝える際に必要な配慮
いつ伝えればいい?
本人に伝えるタイミングは、長期的な目線を持ってはかる必要があります。
本人に適した時機
発達障害であることを本人に伝える場合、伝える側が焦ってはいけません。何も、「今、すぐにでも知らせなければならない」ということではないのです。
例えば、
- 通級を利用し始めるタイミング
- 療育サービスを受け始めるタイミング
- 進学や就職に関わるタイミング
など、言うなればライフイベントに合わせて伝えることも一つの考えです。
また、本人の困りごとが浮き彫りになってきた、あるいは本人が自分の困りごとを打ち明けてきた時に伝えてあげることも良いでしょう。
本人の心理状態も重要
以下のようなタイミングでは、本人に伝えることは避けたいです。
- 何かに失敗した時
- 本人が辛い思いしていて、どん底の状態の時
- 癇癪やパニックを起こしている時
このような場面では、本人に話を理解してもらうことも難しいでしょう。
大切なのは、本人がその時、こちらの伝えたい話を聞くことができる心理状態であるかどうかです。
伝え方の留意点は?
子どもからすれば、「発達障害」という字面から障害という印象を強く受けてしまうかもしれません。
ですから、伝え方にも十分な配慮が求められます。
「発達障害だからダメ」はダメ
子ども本人に理解してもらう上で、「発達障害はダメ」という誤解を与えないようにしたいです。
例えば、「あなたは発達障害だから失敗しちゃうの/間違えちゃうの」と言われれば、子どもは 発達障害=失敗する/ダメな人 などと結びつけてしまうでしょう。
また、怒りながら伝える、イライラしたついでに伝える、ということもないように気を付けましょう。その場合にも 発達障害=悪い子/問題児 という間違った解釈をさせてしまうかもしれません。
発達障害である本人には、苦手なこと(弱点)があるけれど、逆にすごく得意なこと(強み)もある、ということをしっかり伝えてあげてほしいです。
伝える側の発達障害に対する理解
子ども本人に発達障害を肯定的に受け入れてもらうためには、伝える側が発達障害を正しく理解しておく必要があります。
▼当サイトの「発達障害」を解説している記事もあわせてご覧ください。
伝えるかどうか悩む方に
ここでは、まだ本人に伝えるかの判断に悩むという方に向けて、さらに情報を紹介します。
発達障害告知の状況の研究
過去の2つの研究によって、発達障害を持つ子に対する告知の状況が明らかになっているので、参考までにご紹介します。
調査研究1
- 調査対象となった人(高校生の子を持つ親)の中で、約70%は「告知している」。
- 残りの約30%は「告知していない」。
- 告知の時期は「中学生」の時が最も多い。
調査研究2
- 調査対象となった人(18歳未満かつIQ70以上の子を持つ親)の中で、約30%が「告知している」。
- 約60%が「いつか告知したい」。
- 残りの約10%が「告知するつもりはない」。
- 告知するかしないかの差に、子どもの特性や年齢の問題による「知的水準」があった。
子どもと一緒に読みたい!関連書籍3選
本人が「自分は発達障害なんだ」ということを知った時、「当事者の実体験」が書かれた本を読むことで、何かのヒントを得られるかもしれません。
ここでは、子どもに、あるいは親子で一緒に読んで欲しい、発達障害当事者が書いた書籍を紹介します。
出版社 | 著者 | 価格 |
クリエイツかもがわ | 小道 モコ | 1,980円(税込) |
▼あらすじ
知れば知るほど私の世界はおもしろいし、理解と工夫ヒトツでのびのびと自分らしく歩いていける!
私の願いは、一人でも多くの方々にASDについて理解していただき、これから将来を歩む子どもたちが、のびのびと自分の翼を広げて、成長していってほしいということです。
私は、自分がASDと知るまで、ずっと自分の翼を隠して生きてきました。隠さないと生きてこれなかったからです。でも、翼を折って、隠して、生きていくのは、とてもシンドイことです。
クリエイツかもがわ 公式サイト
・自閉症の人が「こういう世界で暮らしているのか」ということが分かった。
・分かりやすくて、共感できる内容が満載。
出版社 | 著者 | 価格 |
角川つばさ文庫 | 東田 直樹 | 770円(税込) |
▼あらすじ
みんなが当たり前にしている人との会話や、「ジッとしていること」が、僕には難しい。
それは自閉症っていう障害のためなんだ。だれかに話したいことを考えているうちに頭の中で言葉が消えていってしまう…
伝えたいのに伝えられない苦しい気持ち、想像できる?
この本には、そんな僕の毎日のことや思いが書いてある。僕はみんなと少しちがう。でも同じ世界の一員として、いっしょに歩いているよ。
――ひたむきな思いが伝わる感動作が角川つばさ文庫に登場!
すべての漢字にふりがながついています。
角川つばさ文庫 公式サイト
・子ども用に購入した。
・自閉症の人の気持ちがよく分かる。
出版社 | 著者 | 価格 |
合同出版 | モリナガ アメ | 1,280円(税込) |
▼あらすじ
しゃべりたいのに人前ではしゃべれなくなってしまう「場面緘黙症」になったわたし・モリナガアメ。
自分のことを幼稚園時代からふりかえって、自分のこと、家族のこと、力になってくれた人たちのことを描いてコミックエッセイにしました。
合同出版 公式サイト
・マンガで読みやすい。
・この本に出会って、緘黙への理解が深まった。
まとめ
今回の記事では、以下のことを解説しました。
- 「本人に伝える大人」としての親と専門家それぞれのメリット
- 本人に伝えた方が良い理由=子ども本人を守るため
- 伝える際の配慮
- 発達障害の告知の実態
- 告知とあわせて子どもと読みたい書籍
発達障害であることを本人に伝えるかどうか。それは非常に難しい問題です。
しかし、子どもの将来を考えると、本人が自分のことを理解していることで、あるいは直面する困難を乗り越えることができるかもしれません。
もちろん、場合によっては伝えない方が良いケースもありえます。いずれにしても大事にしたいのは、子ども本人が生きる人生です。
どの判断が最適なのか悩む時には、決して一人で抱え込まず、子どもの担当医師など専門家らと協力して考えていくと良いでしょう。
今回の記事が、保護者の皆さんの悩みが解決へと向かう一助となれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。